上 下
399 / 566
第1章

第397話 歓迎

しおりを挟む
 食堂に入るとカグヤとオルフィーネは拍手喝采で迎えられた。2人はかなり驚いていたが、それでも直ぐに自分達が祝福されているのだと分かり涙していた。またその人数の多さと、見た事のない顔触れに時間の経過を思い知らされたのである。

 彼女達は自分用に出されている食事を見て戸惑っていた。みんなと同じ物が出ていたからである。俺は優しく声を掛けた。


「体の方は完全な健康体に作り変えられているはずだから大丈夫だよ。万が一異変を感じたら言っては欲しいけれども、その場合は俺の治療魔法で治すから、みんなと一緒に普通に食べてみて」

 そう言うと2人はパッと明るくなり、食事を食べ始めた。

 どうやら先程まで食べていたのは消化に良い特別食だったようで、普通の食事を普通に食べられる事にひたすら喜び、泣きながら食べていた。

 俺はそんな彼女達を見てほっこりしながら食べている!・・・どころではなかった。そう、彼女達の涙を拭うのに忙しかったからである。

 そして食事の後はお風呂だ。お風呂は今日はナタリー、カグヤ、オルフィーネの3人が俺と一緒に入ると言い出した。そして誰の入れ知恵だろうか、体を隅々まで洗って欲しいと言う。

 どうせトリシアだろう。何故か俺の妻達は俺と一緒に過ごす日は俺が体を隅々まで洗う習慣があるとそう聞いていると言う。

 まあ、今ではなく後日に訂正はしようとは思うが、それは丁寧に洗ってあげた。体を人に洗ってもらうなんて子供の頃に親に洗われて以来だと、それはそれは喜んでいた。

 そういう事を言われていたので、ちゃんと?まじめに洗わざるを得ない。彼女達にも洗われたが、又もや違う種類の洗い方をされて昇天したとかしないとか。

 ただやはりカグヤとオルフィーネはそれなりに消耗している為か、長湯の為か少ししんどそうにしていた。その為、お風呂の後は1人ずつ俺はお姫様抱っこで、彼女達にあてがわれている部屋に連れて行く。そう俺は死者蘇生の時には丸1日経過するまでは一緒に過ごすと言ってあるので、俺に対して添い寝をするのだそうだ。 

 明日になれば残りの3人に対処しなければならない。 
 次に試そうと思うのは、3人を一度に死者蘇生をする事だ。例え2人しか死者蘇生を1度にできなくても、丸1日以内に残りの1人を死者蘇生するだけの魔力が回復している筈なので特に問題はない。

 1人ずつやる事も考えたのだが、何故かは分からないが、そうしなければならない!と思ったのだ。


 2人は鏡で自分の体を見て戸惑っていた。そう10年前と体が大幅に違うからだ。徐々に徐々に成長していくその姿を本来は自分で認識するのだが、寝たきりで何もできない状態で自分の体の変化というのがよく分からなかったからであり、小中学生だった者が気が付けば大人の体になっている、それ位の違和感がある。更に戸惑いを隠せなかったのが、初潮が来て妊娠できる体になっている事だ。

 今までは生理の処理は世話をしてくれる者達が行なっていたが、これからは自分でしなければならない事だとは分かってはいるが、如何せんやり方が分からない。その為、明日からそういった女性特有の教育を姉妹達から教えて貰うと言っていた。 

 そんな話をしながらベッドで横になっていたが、先にカグヤが寝ていき、その後間もなくオルフィーネも眠りに落ちて行った。

 俺も色々な事を考えてはいたが、やはり眠りに落ちる。
 それはそれはとても心地良い至福の時を過ごしていたのだが、今はまだ、暫くの間はそのような日々を過ごすのだと思っていたのだった・・・
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...