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第1章
第385話 酷かった
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町で病が流行った時は、町には病に対する備えと治療法があったので、薬の効かなかった2名の犠牲者が出ただけで済んだと言っていた。
ヒナタが異常に気が付いた時には既に手遅れで、彼女達の手足が腐り始めており、切断せざるを得ない状況だったという。病を知らなかった為、風邪としか思わなかった。病について誰かが知っていれば手遅れになる前に手を打つ事が出来たのだが、無知だった為に、異変に気が付く迄に、かなりの時間が経過していたのだ。
医者が飲ませた薬のおかげで進行は一時的に遅くなったが、遅過ぎた為に1日か2日程度の延命をする事にしかならなかったのだ。
医者からダメ元で提案されたのが、ヒナタの血を飲ませる事だったと言う。
ドラゴンの血には不思議な力が宿っていると言い伝えられており、運頼みになるが命が助かれば御の字というような状況だった。ダメ元で試しに飲ませた所、胸がそげ落ち、鼻や耳が落ちてしまったと言う。それでも劇的に効果があり、体の一部が鱗状と化したりと、半ば龍化したが死を待つ直前のような状態は脱したのだと。何とか体の崩壊は止まったというのだ。
但し手足が失くなってしまい、自力では食べられず、皆視力も失っていたが、聴力が辛うじて有るのが見て取れるというような状況だったという。声帯も潰れ、あーとかうーとかしか発せられなくなっていた。寝たきりの為、体は弱り、体力が段々落ちていった。そして10年の月日が経過した事により、彼女達の体はとうにもう限界が来ていて、命が尽きようとしていたのだ。
1番酷い者から見るとして、6人が寝かされている部屋に行く。大部屋にまとめて寝かされており、交代交代にて常時10人位で面倒を見ていると言っていた。
俺は覚悟を決め、1人1人を見て行く。ヒナタが猛烈に反対していたのも頷ける。
想像以上に酷かった。見た目もそうだが、何よりかなり臭かったのだ。常時腐敗臭を出しているような状態で、常に部屋の中の空気を入れ替えていると言う。
まず1人目に触れた。意識が有るのか無いのかよく分からなかったが、はっきりとした幻影が見えた。
日本人ではないが、黒髪黒目のストレートのおっとりした美人さんだった。
幻影ではどこにいるのかイマイチ分からなかったが、彼女を抱きしめ、夜空の散歩に出掛けているようだった。散歩が終わり、地上に降りたところでキスを交わし、愛を囁きあっている状況で幻影が消えた。
今は耳がそげ落ち、鼻も酷く曲がっている。肌はガサガサの鱗状だ。
幻影ではそんな状態ではなく、1人の完璧な美女だった。
「俺は君の事を必ず治してやる。大丈夫だ!君も今幻影を見ただろう?あれは必ず起こる事なんだ。君の本来の姿をはっきりと覚えた。あの姿に治してやる。だから頑張るんだ。もう少しの辛抱だからな。今までよく頑張ったな」
そう言ってまずは内臓に対して欠損修復をした。
内臓は何とかなったようだったが、それでも完全に機能が回復するには至らなかった。こんな事は初めてだった。
ヒナタに聞くと、後1週間も持たずに命が尽きそうだと言っていた。そしてまず腕の復元を行った。
綺麗な手が再生されるが、再生された途端に手が鱗状になり、カチカチになっていき、動かなくなってしまった。
そう、ほんの一瞬だけ綺麗な手が顕れ、1秒も経たないうちに完全に鱗に覆われていた。ひょっとしてと思い、この女性には一旦寝て貰う事にした。
「すまない。次に目覚めた時はきっと綺麗な体になっている。ちゃんとした体にしてあげるからな!今は信じろというのは厳しいかも分からないが、次に目覚めた時に綺麗な体になっている事を今は夢見て、俺を信じて寝ていてくれ」
彼女は何とかあーとか発し、辛うじて返事をした。そうしてスリープを掛け、眠らせるのであった。
ヒナタが異常に気が付いた時には既に手遅れで、彼女達の手足が腐り始めており、切断せざるを得ない状況だったという。病を知らなかった為、風邪としか思わなかった。病について誰かが知っていれば手遅れになる前に手を打つ事が出来たのだが、無知だった為に、異変に気が付く迄に、かなりの時間が経過していたのだ。
医者が飲ませた薬のおかげで進行は一時的に遅くなったが、遅過ぎた為に1日か2日程度の延命をする事にしかならなかったのだ。
医者からダメ元で提案されたのが、ヒナタの血を飲ませる事だったと言う。
ドラゴンの血には不思議な力が宿っていると言い伝えられており、運頼みになるが命が助かれば御の字というような状況だった。ダメ元で試しに飲ませた所、胸がそげ落ち、鼻や耳が落ちてしまったと言う。それでも劇的に効果があり、体の一部が鱗状と化したりと、半ば龍化したが死を待つ直前のような状態は脱したのだと。何とか体の崩壊は止まったというのだ。
但し手足が失くなってしまい、自力では食べられず、皆視力も失っていたが、聴力が辛うじて有るのが見て取れるというような状況だったという。声帯も潰れ、あーとかうーとかしか発せられなくなっていた。寝たきりの為、体は弱り、体力が段々落ちていった。そして10年の月日が経過した事により、彼女達の体はとうにもう限界が来ていて、命が尽きようとしていたのだ。
1番酷い者から見るとして、6人が寝かされている部屋に行く。大部屋にまとめて寝かされており、交代交代にて常時10人位で面倒を見ていると言っていた。
俺は覚悟を決め、1人1人を見て行く。ヒナタが猛烈に反対していたのも頷ける。
想像以上に酷かった。見た目もそうだが、何よりかなり臭かったのだ。常時腐敗臭を出しているような状態で、常に部屋の中の空気を入れ替えていると言う。
まず1人目に触れた。意識が有るのか無いのかよく分からなかったが、はっきりとした幻影が見えた。
日本人ではないが、黒髪黒目のストレートのおっとりした美人さんだった。
幻影ではどこにいるのかイマイチ分からなかったが、彼女を抱きしめ、夜空の散歩に出掛けているようだった。散歩が終わり、地上に降りたところでキスを交わし、愛を囁きあっている状況で幻影が消えた。
今は耳がそげ落ち、鼻も酷く曲がっている。肌はガサガサの鱗状だ。
幻影ではそんな状態ではなく、1人の完璧な美女だった。
「俺は君の事を必ず治してやる。大丈夫だ!君も今幻影を見ただろう?あれは必ず起こる事なんだ。君の本来の姿をはっきりと覚えた。あの姿に治してやる。だから頑張るんだ。もう少しの辛抱だからな。今までよく頑張ったな」
そう言ってまずは内臓に対して欠損修復をした。
内臓は何とかなったようだったが、それでも完全に機能が回復するには至らなかった。こんな事は初めてだった。
ヒナタに聞くと、後1週間も持たずに命が尽きそうだと言っていた。そしてまず腕の復元を行った。
綺麗な手が再生されるが、再生された途端に手が鱗状になり、カチカチになっていき、動かなくなってしまった。
そう、ほんの一瞬だけ綺麗な手が顕れ、1秒も経たないうちに完全に鱗に覆われていた。ひょっとしてと思い、この女性には一旦寝て貰う事にした。
「すまない。次に目覚めた時はきっと綺麗な体になっている。ちゃんとした体にしてあげるからな!今は信じろというのは厳しいかも分からないが、次に目覚めた時に綺麗な体になっている事を今は夢見て、俺を信じて寝ていてくれ」
彼女は何とかあーとか発し、辛うじて返事をした。そうしてスリープを掛け、眠らせるのであった。
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