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第4章

第357話 占拠とライルニ大陸

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 取り敢えずこの国を俺が1度占領する事になった。

 大統領が軍部を把握していない事が露見した。からだ。つまり実効支配をしている者が別にいるからだ。

 大統領自体は協力的で、我々の所に攻め入ってはならない理由として、こちらの方が強く、戦えば負けるからと分かっていたからだ。そう、俺達には魔法があるからだ。大統領には代々ちゃんとした裏歴史書が引き継がれていて、それを書写させてもらい、写しを得る。それを複数部書写させ、各地方へ送る分の複製を作るよう手配した。

 魔力の特異点がシューマン山の向こうにあり、そこを中心とし、半径500km位の見えない障壁があり、その範囲の外側は魔力が極端に薄くなる。アルヒオーネとヘイラニア大陸そのものがすっぽり入るのだ。その書物によると、大陸でさえなかった。大島の扱いだ。

 元々魔法を使える者達が迫害されており、彼らの流刑地であり、大陸に戻る為の航海術を持たずに置き去りにされ、大陸に戻れなかったらしい。

 こちらにない情報だった。

 平和なこの大陸で戦争は無い筈だった。大陸の名前はライルニという。

 大統領はひたすら謝罪をしていた。
 俺は戦争を好まず、和平を結べるならそれで良いとし、和平を結ぶ事に向けて交渉をしていた。

 兵士を送った場所から続々と復員していると大統領から伝えられ、死亡者が殆どいない事に対して感謝をされた。実際は航海中の病死や躓いて頭を打ったりで、ワーグナーに攻め入る前に30人程が亡くなったらしいが、俺には関係ない。

 こちらの総督や妻達、有識者達を交えて情報交換をする事になった。

 また、ゲートを通して貿易を始める事になり、商人組合相応の組織が希望商品の目録を作っていた。

 そこからの数週間は、俺も半ば交易人と化し忙しかった。いや、ゲートを出して人と物を運ぶ手伝いをするだけの運び屋ともいう。

 時間限定でゲートを繋ぐリストを作成して貰い、各町を繋げていた。
 一時的な事だが、交易をする為にサンプルとして魔石を運び、魔道具を配備し、逆に商品を受け取ったりしていた。

 そちら方面は順調で、軍部の制圧と粛清というか、追放等が完了し、本来のあるべき姿に移行していた。

 そんな中、未確定情報としてこの大陸にいない筈のオークが出没し、大騒ぎになった村があるとの情報が噂として流れてきた。

 取るに足らぬ情報とされていた。醜男や病気の山賊がそのように見えたのだと取り合う者が居なかった。
 勿論俺の所にも噂話以外の情報が入らなかったし、行政にも報告がなかった。

 しかし噂話が聞こえてから約2週間、無視できぬ情報が入ってきた。
 ある町が全滅したと。得体の知れない奴らに占拠されたとの報告が大統領の耳に入った。最寄りの都市から兵士を1000名程差し向けたが、その兵士達が壊滅したと聞かされ動揺していた。情報を持ち帰る為に数名が何とか逃げ戻ってきたと。口々に魔物又は怪物に占拠され、太刀打ちできないと報告をしていた。

 俺は様子のおかしい大統領を伴いブランチをし、雑談の中で問い詰めた。聞けば俺が1度行っている町だったので、俺が自ら仲間を率いて調査、可能なら奪還を買って出た。

 魔物が出たのは初めてだそうで、歴史にもなかったと。勿論俺がゲートで引き入れたのでもなく、何かが始まっていると、嫌な予感しかしなかったのであった。
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