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第3章
第344話 何が起こった?
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俺は目覚めと同時に気持ち悪さに襲われ、口を押さえながらがばっと起き上がった。すると誰かが桶を差し出し、背中をさすってくれたのだが、気持ち悪さに耐えられずに吐いた。だが、間に合ったようだ。
何がって?桶ね。
いつもの事だが、死者蘇生をした後の症状で、いつもよりも一際辛かった。目覚めてからこれ程短期で吐くのは珍しい筈だ。
それはともかくとして、急ぎ状況を確認しなければいけない。そう、いつもながらに蘇生をした前後の記憶がないのだ。妻達が全員いた。まだ少女の為結婚していないトリシア達等時が来たら娶る面々まで含めて全員いた。こんな事は初めてだ。
「誰かを死者蘇生したようだね。誰だった?」
皆、可哀想な子を見るように俺を示した。
どうやったかは分からないが、俺が死んで意識がまだあったかして、死者蘇生を自らに掛けたようだ。そんな事が可能なのか?いや、以前もやったか?
「俺が死んで、自分に死者蘇生を使ったって事か?因みに俺に何が起きたのか誰か知っているのかい?」
アンバーが手を挙げて話し出した。
「客人が来てまして、護衛当番の私を部屋の外に出されて暫く話し合われていました。急に音がして慌てて部屋に入ると、私を見たその相手が窓を蹴破って逃げていて、ランスロット様は口から泡を吹いて苦しんでいました。そして息を引き取ってしまわれました。皆に伝えたらセレーシャ様が心臓マッサージや人工呼吸なるものを行い、雷魔法を放ったりしましたが、暫くして息を吹き替えされました。また下にいたトリシア達が逃げた者の後を追いました」
「セレーシャが助けてくれたのか。ありがとう。俺と面談していた奴はどうなった?」
「はい。先程トリシアさん達が戻りましたが、その、気配を追いましたが、既に別の者に殺され、殺した者を追いましたが、逃げられたのと、死体の所に戻るも死体は無くなっていたとの事です」
「つまり手掛りは無しか。あと紹介状は?」
「そ、その、本物の紙などを使った偽物でした」
アンバーが話してくれたが、最近は緊張感が薄くなり、確認が疎かだったようだ。
後から発行者に確認したが、身に覚えもないし、そもそも筆跡が違った。ただ、蜜蝋の封印だけは本物だった。
印を確認させたのだが、確かにいつもと向きが違っていたと言う。滅多にないが、数カ月に1度位は間違えて反対向きに収納する事も無くはないので、特に疑問に感じなかったらしい。
巧妙なのは、何も盗まない事だ。
本物の封をし、印を元に戻しているから、誰かが勝手に使った事が発覚しなかった。
多少の疑問は有っただろうが、何も盗まれていないから気の所為か?位にしか思わない。相手の方が上手なのだ。
そして段々思い出す。
確か別の大陸から取り寄せた香水を献上され、香りを確認していたら苦しくなってきた。
毒を自らの体に掛けてしまったのだ。俺も甘かった。間抜けとしか言いようがない。俺に止めを刺そうとしたが、アンバーが入って来て慌てて窓を蹴破り逃げていき、トリシア達が追っていった筈だった。また、セレーシャが駆け付けて心臓マッサージしていて、そのお陰で数秒だけ意識を取り戻し、自らに死者蘇生をしたのだと。
ふむふむ。段々思い出してきた。
俺は天界の事以外にもやる事が多く、今回は他の大陸からの客人なので俺が応対した。献上品はおそらく巧妙に細工されており、最初の何回かは何もなく、俺が試す頃に毒の出番になったようだ。検閲が済んだ品にやられたのだ。
「皆済まない。今回の事は誰も責められない。責めを負うとしたら俺だ。机の下に香水がある。調べれば何か分かるかもだが、匂いはかがないように。あれを吸ってこうなったから」
警備の強化と、数少ない手掛かりから相手を追う。また、死体がないのが痛かった。状況から最低でも3人が絡んでいると判断し、組織的な犯行のようで、嫌な予感しかしないのであった。
作者からのお願いです。
少しでも面白いと思って頂きましたら、ブクマにて応援してもらえると励みになります。
宜しくお願いします!
何がって?桶ね。
いつもの事だが、死者蘇生をした後の症状で、いつもよりも一際辛かった。目覚めてからこれ程短期で吐くのは珍しい筈だ。
それはともかくとして、急ぎ状況を確認しなければいけない。そう、いつもながらに蘇生をした前後の記憶がないのだ。妻達が全員いた。まだ少女の為結婚していないトリシア達等時が来たら娶る面々まで含めて全員いた。こんな事は初めてだ。
「誰かを死者蘇生したようだね。誰だった?」
皆、可哀想な子を見るように俺を示した。
どうやったかは分からないが、俺が死んで意識がまだあったかして、死者蘇生を自らに掛けたようだ。そんな事が可能なのか?いや、以前もやったか?
「俺が死んで、自分に死者蘇生を使ったって事か?因みに俺に何が起きたのか誰か知っているのかい?」
アンバーが手を挙げて話し出した。
「客人が来てまして、護衛当番の私を部屋の外に出されて暫く話し合われていました。急に音がして慌てて部屋に入ると、私を見たその相手が窓を蹴破って逃げていて、ランスロット様は口から泡を吹いて苦しんでいました。そして息を引き取ってしまわれました。皆に伝えたらセレーシャ様が心臓マッサージや人工呼吸なるものを行い、雷魔法を放ったりしましたが、暫くして息を吹き替えされました。また下にいたトリシア達が逃げた者の後を追いました」
「セレーシャが助けてくれたのか。ありがとう。俺と面談していた奴はどうなった?」
「はい。先程トリシアさん達が戻りましたが、その、気配を追いましたが、既に別の者に殺され、殺した者を追いましたが、逃げられたのと、死体の所に戻るも死体は無くなっていたとの事です」
「つまり手掛りは無しか。あと紹介状は?」
「そ、その、本物の紙などを使った偽物でした」
アンバーが話してくれたが、最近は緊張感が薄くなり、確認が疎かだったようだ。
後から発行者に確認したが、身に覚えもないし、そもそも筆跡が違った。ただ、蜜蝋の封印だけは本物だった。
印を確認させたのだが、確かにいつもと向きが違っていたと言う。滅多にないが、数カ月に1度位は間違えて反対向きに収納する事も無くはないので、特に疑問に感じなかったらしい。
巧妙なのは、何も盗まない事だ。
本物の封をし、印を元に戻しているから、誰かが勝手に使った事が発覚しなかった。
多少の疑問は有っただろうが、何も盗まれていないから気の所為か?位にしか思わない。相手の方が上手なのだ。
そして段々思い出す。
確か別の大陸から取り寄せた香水を献上され、香りを確認していたら苦しくなってきた。
毒を自らの体に掛けてしまったのだ。俺も甘かった。間抜けとしか言いようがない。俺に止めを刺そうとしたが、アンバーが入って来て慌てて窓を蹴破り逃げていき、トリシア達が追っていった筈だった。また、セレーシャが駆け付けて心臓マッサージしていて、そのお陰で数秒だけ意識を取り戻し、自らに死者蘇生をしたのだと。
ふむふむ。段々思い出してきた。
俺は天界の事以外にもやる事が多く、今回は他の大陸からの客人なので俺が応対した。献上品はおそらく巧妙に細工されており、最初の何回かは何もなく、俺が試す頃に毒の出番になったようだ。検閲が済んだ品にやられたのだ。
「皆済まない。今回の事は誰も責められない。責めを負うとしたら俺だ。机の下に香水がある。調べれば何か分かるかもだが、匂いはかがないように。あれを吸ってこうなったから」
警備の強化と、数少ない手掛かりから相手を追う。また、死体がないのが痛かった。状況から最低でも3人が絡んでいると判断し、組織的な犯行のようで、嫌な予感しかしないのであった。
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