異世界召喚された俺は余分な子でした

第２章

第294話 基地の調査

　基地での戦いの後、レニス、アリゾナ、オリヴィア、日本人達を連れてきて基地の調査を開始した。バリアーが発動中で、外からは入れないので直接ゲートで呼んだ。

　奴等の腕に装着されていた端末を操作して確認するが、奴らはもういないっぽい。少なくともこの端末で見る事の出来る範囲ではだが、この端末を操作しての検索以外の方法が分からなかった。検索だけはなんとなく見様見真似で分かっているが、その他は分からないし、あの爆発が有るので下手にいじれなかった。

　あちこちで回収した装置は一応装置に扉があり、中に入る事ができた。恐らくバリアーの発生装置だろうとしか判断できず、俺はこの星の本来の文明レベルとの乖離具合が大き過ぎて、調査して有効利用をする事は止めて、封印し取り敢えず収納に入れっぱなしにしようとした。
　奴らの航空機もそうだ。使い方が分からない。調査すればなんとか使えるのだろうが、余りに文明レベルが進み過ぎており、剣以外は使用するのを避ける事にした。剣は俺の仲間や妻達の分以上集まったが、一般には流通させないとした。ただ、高性能なのでこれから魔王との戦いに使えるだろうと。ただ、航空機は操縦の練習をして使う使わないかはともかくとして、使えるようにはしたい。

　アリゾナや、レニス達この星の者は尚更ここの装置はちんぷんかんぷんで、バリアーの中は安全と思うが、念の為警戒班になってもらった。

　レニスが俺に質問してきた。

「これは結界を発生させる魔道具なの？それにしても物凄い結界ね！」

　返事に窮した。日本人はなんとかついていけるだろう。進んだ文明の本来ＳＦの話だと。しかし、魔道具が発達したこの世界では電気がない。正確にはサンダー系の魔法が雷を発生して電撃を放つのだが、電力という意味での発明や電気がない。

　こちらの世界で手に入る物で電気を発生出来るのは、俺がいない間にセリカ達が必死に研究している事は分かっている。セリカ達は己が持っている知識をこの世界に伝え、文明レベルを上げようとしていた。それが良いのか悪いのかは分からないが、セリカ達が行う分には良いのかな？と思う。オリヴィアは天界の技術の伝播は良くないと判断し、知識を封印するという事を以前話していた。

　オリヴィアの言うにはこいつらの文明でも天界には及ばないと。通常下界の事には特殊な魔法陣からのリクエストに応える以外干渉しないそうだ。

　俺はレニスに答えた。

「俺やセリカがいた星は魔法がない代わりに、科学が進化しているんだ。例えばこの通信装置もそうだ。また、俺のいた世界の物だがこうやって絵を切り取り記録する写真というのがある。鉄の船に羽をつけ、そこに推進機という前に進む風を常に出す装置をつけて空を飛ぶんだ。こいつ等は俺のいた星よりも更に進化しているんだ。恐らく星と星の間を移動できていたんだろうな。コイツ等の手に掛かれば、そうだなあ月まで行ける筈だよ」

「星にですか！？そこはどんな世界なのでしょうね！？。私達も月や他の星に行けるものでしょうか！？」

「そうだな。俺達の子孫がなんとかするさ。俺達は恐らく１万年位の寿命になる。その間にはかなり科学も進むだろうな。セリカ達がその足掛かりを伝えようとしている。俺は判断出来ないんだ。予知できないな。良い方に進むのか、悪い方に進むのかがね。願わくば我らの子達が正しい方向に力を使い、発展して行って欲しい。」

「ふーん。ランスは考える事のスケールが違うのね。私なんかあいつらの物を使って楽できないのかな？ってつい考えてしまうのよ」

「作り方が分からないので、壊れたら終わりなんだ。使うのは良いけど、一度甘い蜜を吸うと危険なんだ。製造方法が分かり、継続して使えるなら経済の発展に良い影響が出そうだが。俺のゲートを貿易に使わないのはそういった理由なんだ」

　等と話しているとアリゾナが警告を発して来た。

「我が主よお話中申し訳有りませんが、招かれざる客のようですぞ！」

　そう言い、何者かの接近を伝えるのであった。