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第2章

第280話 魔法陣

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 俺は急ぎこの町を調査をしている全員をまとめて城へ向かった。城門はへレニスが迎えに来てくれており、その慌て振りから急ぎ目的の場所に案内される。

 そこは城の中にある広間だ。

 謁見の間でもなく、何かの儀式でもする様な場所なのだと感じ取れた。
 そして連れて来られた場所を見て絶句した。

 この部屋は地下にあるのだが、大きさは20m4方だろうか。高さは4m程だ。
 
 階段とドア位しかなく、このフロアはこの広間の為だけに存在している。 一際大きな魔法陣がそこに描かれていた。
  それだけでは 大して驚きはしなかったのだが、ルシテルが俺を慌てて呼び寄せたのはその魔法陣が今も光り輝いており、術式が発動している事を示していたからである。
  魔法陣が大き過ぎて、今立っている所から見る限りだとどういう魔法陣なのかが分からなかった。その為、俺は 天井の高さすれすれまで飛んでみた。

 魔方陣を上から俯瞰して見ると、概ねどういった魔法陣なのかが理解できてしまった。 俺は顔を青ざめながら皆の所に戻り、オリビアを伴ってもう一度上から魔法陣を眺めた。
 やはりオリビアもどういう魔法陣なのかが理解出来たようで震えていた。
 そして俺は 皆に告げる。

「この魔方陣は生きている。しかももの凄く危険な術式だ。そしてこの国で見てきた一連の異常事態に繋がるものであると俺は確信した」

  レニスが俺に質問した。

「一体この魔法陣は何なのですか?」 

「本来の目的は勇者召喚をするような魔法陣であったと思われるが、術式を一部間違ってしまっており、大変恐ろしいものに変貌してしまっている。しかもこの大きさだ。かなりの魔力を必要とし、召喚に伴う生贄の数も多かった筈だ。 今ここにある魔法陣により何かを召喚した筈なのだが、おそらく直径300から500 km 位の範囲内のありとあらゆる生き物の命や体の全てを差し出し、それを生贄として大変強力なものを呼び出したと思われる。この城の中を捜索しよう!何かこの魔法陣に関する資料が出てくるかもしれない」

 それと念の為に俺はルシテルも抱え、俯瞰して魔法陣を見る事にした。やはりルシテルも 一目見てどういった魔法陣なのかを理解できたようだ。 実はルシテルの方が詳しかったのだ。バルバロッサで魔法陣を書いたのはそもそもルシテルだ。バルバロッサの召喚が失敗したのは、魔王が降臨する前に召喚を無理矢理行ったからであった。ルシテルが成功したのはその時には既に魔王が呼び出されていて、魔王が降臨した状態であったからであると説明された。

 そしてこの魔法陣は 本来の目的はともかく、俺達がいた地球ではなく別のどこかの世界と繋がっており、そのゲートが常に開放されている状態だと言う。
 その為そこにいる何か恐ろしいものがいたとしても、ずっとこちら側に来られてしまう状態が続いているという。

 一刻も早くこの魔方陣を止めた方が良いと判断し、俺は左手を魔法陣に触れながら魔力を込めて魔方陣の停止を命じた。

 するとバチッという大きな音と共に俺の左腕が吹き飛んだ。
 幸い魔法陣は何とか止める事は出来たので、すかさず欠損修復を行った。
 またルシテルが言うにはゲートが開いていたのはおそらくこの大陸の別の所からだと言う。
 ゲート から出てきた者もどこで召喚した為にゲートが発生したのか、おそらく分かっていないだろうと言う。

  この魔方陣は危険な為、ウィンドカッターを出せる者で魔方陣を切り刻んだ。

 おそらく中途半端な知識で魔法陣を書いた為、誤りに気付かなかったのであろう。その代償はあまりにも大きい。

 一国の生命がまるまる失われたのである。
 問題なのは生命が失われた事もあるが、この中途半端な知識で勇者召喚を行おうとした訳にある。
 何か切迫した理由があり、勇者召喚に頼らざるを得なかったのであろうと想定される。
 それはつまり、バルバロッサによって召喚された魔王が活動を開始した事を意味するのではないかと思われた。そして城の内部の調査に繰り出すのであった。
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