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第1章

第264話 寝込んだ

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 俺はとんでもない事をしてしまったと後悔していた。
 先の300階層で愛する女性をこの手で殺してしまったのだ。

 目が覚めると傍らに裕美がいた。
 椅子に座り、俺の額に手拭いを置いてくれている。何度も何度も繰り返した筈なのだが、状況がよく分からず、俺は裕美に確認する事にした。

「おはよう裕美。先のボス戦はどうなった!?俺は誤ってウォールで女性を閉じ込めた筈だけど?」

「うん。大丈夫よ。ちゃんと救助して、死者蘇生をした後に逃したわ。確かに一度死んでしまったけど、それで呪いが解け、生きかえったから貴方は女性を殺していないのよ。殺した幻影を見させられているだけなの」

 俺は救われた。とんでもない事をしたと思い込んでいたからだ。俺が落ち着くと裕美が消化に良い物を持って来て食べさせてくれた。裕美の話だと意識を手放す前に吐いてしまっていたようだ。このダンジョンは何故か俺には精神攻撃が効いてしまう。それとも死者蘇生の影響か?
 その為女性を殺した幻影を真に受けたようだ。
 俺は食後安心して眠りに落ちる。
どう見ても真っ赤な嘘なのだが、それを真に受けていた。

 俺は再度目が覚めた。俺に突っ伏す形で裕美が寝ていた。
 何故俺はベッドで寝ているのだろうか?
 取り敢えず漏れそうなので急いでトイレに行く。
 やたらとお腹が減っていると感じたが、取り敢えず裕美をベッドへ寝かせ、そっと布団を掛けた後に食堂へ向かう。
 収納から食事を出し、ゆっくりと食べる。
 その後俺も布団に入り眠りに付いた。

 次に目覚めると布団の中にいる裕美が起きそうだった。
 ガバッと起きるが俺がにこにこしているのでホッとしたようだ。俺は裕美を眺めていた。
 俺の異常状態は丸2日に渡っており、かなり酷い状態だったと言うのだ。
 毎度の事だがよく覚えていない。

「なあ裕美、俺って想定外の状態だったか!?」

「うんうん。貴方の言う通りよ。それ以上でも以下でもないの。ボスが大切な女性に思えて、それに伴う攻撃を止めるお願いを私にしたの。言っていたように効果は2つね。ボスを大事な女性だと思う事と、女性に暴力を振るう事が出来ないの。敵も味方も関係なかったわ。それで全て説明が付くの」

「裕美は大丈夫か?俺のお守りは大変だったろう?有難うな」

 裕美は俺に抱きつき俺の胸で泣いた。
 正直なところ、精神攻撃の影響下に有った時の事を覚えていない。
 取り敢えず食事の準備をお願いしつつ、ドロップを出して欲しいとお願いしたが、何故か拒否された。俺には見せられない代物だと。まあいいやと魔石だけ見せて貰った。

 今はお昼頃だった。俺の消耗が激しく、今日は寝て過ごさざるを得なく、大人しくする事とした。

 この時間を利用し裕美に向こうで待っている妻や仲間の事を説明していった。
 それとこれまでの経緯等だ。
 また、装備品の見直しだ。裕美に以前ゲットしていた淑女の衣を渡す。
 このフロアの魔石で強化すると強化値15、付与効果は魔力を込めるとデザイン、色を変えられるという物だ。元々防御力に優れた衣で下手なフルプレートメイルよりも防御力が高いチートアイテムだ。デザインも変えられるというのは最早服感覚で着られる。震えながら受け取っていたのだ。

 今日の裕美は終日優しくしてくれた。俺が精神的に参っていると感じたからだろう。夜の営みもそうだ。
 頑なに拒否をしていたあのドロップの怪しげなセクシーな下着を着けていたりしていたのだ。

 残り300階層だ。明日からちゃんと頑張ろうと、まだ余裕があるがこの数日の遅れを取り戻そうと心に誓い、休むのであった。



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