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第6章

第230話 復興に向けて

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 目覚めるとルシテルが俺をじっと見つめていた。
 キスをしおはようの挨拶をするとルシテルが謝罪をしてきた。

「昨夜は申し訳ありませんでした。もう大丈夫ですので、普段通りに接してください」

「辛くなったらいつでも言うんだよ。無理はするな!いいね!?」

「はい。ランスロット様。ではちょっとだけ胸をお貸しください」

 そう言うので俺は黙ってルシテルを抱きしめようとしたら、何故か俺が抱きしめられていた。いや違う、お互いが抱きしめられるのではなく、相手の体を抱きしめているのだ。

 俺も泣いていた。あの高校生達を救えなかったからだ。
 試しに高校生の一人を蘇生しようとしたらシステム?に撥ね付けられてしまい、誰1人として救えなかったのだ。

 国王に食って掛かっていた生徒会長?と俺が勝手にそう呼ぶ者の顔や、アホな事を言っていた男の子をなじる女の子。あの子達の会話がまだ耳を離れない。

 暫くの間2人共泣いていたが、やがて落ち着いたので起きる事にした。もう一度ルシテルを抱き寄せ、熱いキスをしてからもう一度抱きしめて気持ちを切り替えていった。

 着替えが終わると朝食を食べる為に食堂へ向かう。丁度よい時間に食堂へ行った。
 皆と穏やかな朝食を食べた後、ロトナ達に復興の指揮を一旦お願いし、セレナを伴い高校生を安置している部屋に行った。そう、別れを済ませる為だ。俺も一人一人をちゃんと見て、この世界で生きていた事を覚えておいてあげよう。名前が分からないのでセレナと一緒に回り、教えて貰った。
 セリカを抱きしめ、そっと涙を拭う。
 今日これから火葬にするのだ。死体を収納に入れる事も考えたが、それでは駄目だと悟った。但し、召喚時に着ていた服は保管して遺品とする。その為にこの子達にはこの世界の死に装束に着替えさせている。

 また、魔王軍との戦いでバルバロッサを救う為に命を落とした英雄として墓標に名を刻む事にした。

 首謀者は既に全員死亡していて、最早罪を償わせる者がいない。国王も結果的に既に魂食いに魂を喰われていたのだ。召喚関連の事も最早誰が何の理由で始めたのかが分からない。ルシテルも騙されて、魔王を討ち滅ぼす為の召喚だと微塵も疑う事が無かったのだ。

 バルバロッサは俺の直轄とするので、妻の1人であるルシテルを総督に任命する事にした。
 実はルシテルは国民の人気のお姫様だった。元の王家の生き残りとして復興のシンボルとなる。

 気になったのでトマスに父親の事を聞いたら、建物は壊されたが元気という。俺はホッとした。まあ、アンテナの感度は高そうだから当然と言われればそうだ。後で奴隷について話し合おう。

 その後、復興についての会議を開いた。
 酷だがルシテルとロトナに復興の指揮を任せて俺は別の事をする。負傷者の治療と欠損修復だ。救える命は救ってあげたい。
 続々と治療院に怪我人が運ばれていると言う。俺はセリカを伴いその場に向かい治療をする事にした。セリカが通常の治療で、俺は欠損修復だ。

 奴隷商も呼んでいる。もう店を再建するのが困難というので丁度良かった。奴隷は怪我のみで死んではいないという。生き残った奴隷は全て買い取る事とした。特に高級奴隷は奴隷引換券を使い購入した扱いにする。

 彼には廃業して貰い、奴隷管理局の責任者に任命する打診をした。尤も彼ももう廃業だと唸っており、快諾してくれた。

 俺は基本的に10年後を目処に、奴隷制度の完全な廃止を行おうと決めている。

 本当は即刻したいが、いきなりは無茶だからだ。混乱するだけだ。

 奴隷管理局は最終的に奴隷取締局になる。奴隷を見付け、保護した後に開放する事を目的とする。

 取り急ぎ購入した奴隷には城のメイドや執事を行わせる。
 城の者は全員死んでいるからだ。
 そしてやはり酷い欠損奴隷がいるというので集めておき、手厚く面倒を見るように指示をした。夜に治す事にしたからだ。

 可哀想だが、今は命に関わる状態の者を優先する必要があるからだ。そうして俺は救える命を一つでも救おうと必死に治療を行うのであった。






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