異世界召喚された俺は余分な子でした

第６章

第204話 ボレロでの再会

　眼が覚めると隣でルシテルが穏やかに寝息をたてている。

　俺が優しく丁寧に接したからか、すっかり安心したようだ。

　ちゃんと刻印が有るのを確認してほっとした。

　頭を撫でていると急に呻き出し、苦しみ出した。

　急ぎ起こしたが、体を乗っ取られている間の夢を見たのだという。

　キスをし、安心させる。
　部屋を割り当てられているので、着替えて連れていった。
　そして今俺はルシテル以外の妻達全員を連れてカービングの屋敷にいる。執務室だ。

　これからボレロに迎えにいく。
　バトルシップは武装し、オリヴィアもスタンバっている。

　最後にボレロに行った時の町にゲートを出して皆と別れた。

　セレナに念話をして、至急迎えに来るよう指示をした。

　即反応し、セレナが武装して目の前に現れたが、剣を握り締めて、怪我をしていて血が垂れている

「ああ、ランスだ。助かるのね。大変なの。町がねた」

　キスで塞ぎ、 ヒールを掛けた。

「分かっている。先ずは皆の所に連れ帰ってくれ、話は後だ」

　セレナが俺の手を握り、先程までセレナがいた所に飛んだ。セレナの状態から戦闘中だと理解していたので予測通りいきなり乱戦だ。ライトソードを顕現して一気に押し返す。

　セレナが手を引き、ナンシー達がいる所に着いた。誰一人欠ける事もなく全員そこにいた。皆が俺を見て驚いているが手で制した。

「再会の話は後だ、あれを何とかしよう。スタンピードか？」

　ナンシーが返事をする。

「仲間を呼ぶから周りだけ駆除してくれ。戦えない者はゲートで避難をしろ。ナンシーとシェリーは向こうで皆を頼む」


　俺は急ぎゲートを開いた。

「戦闘中だ戦闘要員のみ来てくれ」

　そういうとバトルシップとオリヴィアのみが来た。ナンシー達に身振りでゲートに入らせるが、フレデリカ、アンバー、カトレア、クレア、ブラックスワン、ファイヤークリスタルの面々が残った。
　ナンシーは代表、シェリーは皆の護衛として行かせた。勿論セレナもだ。

　皆に周辺を駆除させ、オリンズとホーネットは好きにさせた。俺はオリヴィアを伴い飛行し、城壁に立つ。破壊された城門をアースウォールで塞ぎ、サラマンダーを20体出現させて飛ばす。

　そして城壁内にいる者に向けて大きな声で話す。

「ワーグナーのＳＳＳ冒険者のランスロットだ。ワーグナーとカービングの支配者にして皇帝でもある。俺が来たからにはもう大丈夫だ。魔物を駆逐してやる。共に戦うんだ！俺に続け！」

　魔法を駆使して城門近くの魔物を殲滅した。

　ライトを唱え、オリヴィアを抱きしめて飛んだ。神々しさを演出する為だ。
　20m位の高さから魔法を撃ちまくり、地上に降りてからは、２人でライトソードを出して魔物を倒しまくった。敢えてライトソードにしたのだ。

　わざとかなり派手にやった。まあ知名度は上がっただろう。城門の近くは内外共に俺とオリヴィアであっという間に駆逐し、一段落したので城に近付いていく。

　クレアを見付けたのでそちらに向かう。クレアに状況を聞くと、２日前に突如スタンピードが発生し、何とか持ち堪えていたが、２時間前に城門が突破されてクレア達も乱戦に巻き込まれたと。また、４日前に王都の町へ着いたばかりだという。

　必死に仲間を守ったので、幸い死亡者はいないという。予知で踏みとどまるべきとあったので、購入した拠点を中心に耐えていたという。

　そっと抱きしめてキスをする。他のメンバーもねだってくるので、オリヴィアが俺の護衛をしてくれており、久し振りの再開なのだから、抱きしめてキスぐらいする時間位は稼ぐから！と背中を押された。残り７人にも同じようにしてあげた。そうするとキスをしたメンバーに少し変化があった。俺の変質した魔力が少し流れていくのが感じ取れた。

　クレア達に俺の記憶が戻った事と、ルシテルも娶ったと簡単に経緯を説明した。セレナだけは一対一で説明する必要がある。この事態を想定して彼女だけはもっともらしい理由を付けてワーグナーに置いてきているのだ。今は伝えたメンバーにもルシテルの事は俺がセレナに話すまでは知られないようにして欲しいとお願いをした。

　ワーグナーの城にゲートを出して兵２万を引き入れる。俺と共に城を確保する為に向かって行く。勿論他のメンバーもだ。

　いつの間にかオリンズ達も戻ってきており、俺を先頭に堂々と進軍する。町は目茶苦茶だった。やはり一気に城へ向かったようで、城へのメインの通りだけが酷かった。偶に脇に逸れる奴がいたようだが、数は多くなかった。

　城の入り口で戦闘が行われている為、周辺の魔物を兵に駆除させ、俺達は城の内部に向かう。オーガの群れを中心に兵を蹴散らしていた。城の外にいるのはオークを中心とした奴ばかりで、強い魔物は全て城内に突入している。
　俺とオリンズ、オリヴィア、ホーネットの４人で謁見の間を目指し、他のメンバーは城の入り口にて侵入者を蹴散らすように指示をした。

　謁見の間で王を囲み最後の抵抗をしている。俺達がオーガを一方的に駆除しているので皆驚いていた。皆はそのまま前進し、俺は飛んで王の前に立ち、オーガをライトソードでサクサク切り捨てていく。数分で城内の安全を確保し、外周を兵で取り囲んで城を奪還したのであった。