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第6章

第198話 刻印の失敗

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 刻印が失敗した。
 俺はハッとなり、俺のステータスを見てメイベルの名前に印がなく、メイベルのステータスを見てもやはり印が無い。やはり念話も通じない。   
 つまり刻印が刻まれていないのだと理解した。

 俺は慌ててメイベルを起こした。

「すまないメイベル。君の刻印が失敗してしまった。なんて事だ!ううう」

 メイベルは俺の頭を撫でた。

「ランスロット様?寝ぼけておいでなのですちゅね。まだ3時間ですわよ。4時間必要なのですから、勿論刻印はまだこれからでちゅよ。さあ落ち着いてくだちゃいね」

 いつの間にか俺の幼児退行を彼女も知っているようだ。しかし、ドロシーとクロエにしか知られたくないし、この2人しか知らない筈なのに、何故知っている?俺は狼狽えた。

「そ、そうか。良かった。と、ところでその赤ちゃん言葉は?」

「何を言っているのでちゅか?ドロシーと私を間違えている時に赤ちゃんプレイをしてまちたよ!」

 何となく心当たりがある。

「あ、あのな、クロエとドロシーしか知らないし、出来れば他には知られたくないから、誰にも言わないで欲しいんだ。頼む」

「うふふ。格好いいランスロット様も良いけど、子供のようなランスロット様も可愛いですわね!私との秘密になるのね!分りましたわ。じゃあおっぱいをチュパチュパちゅるのでちゅよー」

 何とか黙ってくれるようだ。俺はその一言で意識が飛び、一心不乱におっぱいを求めた。そう、赤ん坊のようにおっぱいを吸いに行っていた。メイベルは赤ちゃんプレイと思ったようだが、そうではない。呪いにより幼児退行しており、本物だったのだ。

 暫くして正気に戻ったが、眠いので乳首を口に含んだまま眠っていった。

 そして俺は目覚めると啜り泣いているメイベルに気が付いた。

「どうしたの?」

「刻印がないの!どうして、どうしてなの?いやー!酷いよーうえー!私とじゃ駄目なの?ううう!もてあそんだのね?」

 確かに刻印がない。その為、俺もオロオロしている。

 そうしていると皆が部屋に入って来て、俺をなじりだした。ナンシーが俺に告げた。

「最低ね。刻印が失敗したという事は、欲望の捌け口にしたって事よね?私達も体にだけ用があったんじゃないの?クズね。何が勇者よ!ただのゲス野郎じゃないの!最低!」

 そんな筈は無いのに!どうしてこうなった?俺はメイベルを地獄の底に突き落としてしまったのと同じだ。
 純潔を奪い、しかも刻印を彼女にだけあげられなかった。俺は最低だ。生きる価値などない。

 メイベルが一緒に死のうと言ってきた。俺は既に皆に縛られている為、身動きができない。
 メイベルが両側に刃が有り、中央に鍔のある特殊な短剣の刃先を俺の胸に押し当て、自らの胸にも刃先を当てていた。

「ごめんなさい」

 そう言うと、体重を俺に預けてきた。そして彼女の胸に深々と短剣が刺さり、俺の胸にも刺さった。そうやって2人共に心臓に短剣が突き刺さった。俺は身動きも転移も出来ない。胸からドクドクと血が吹き出ており、辺り一面が黒い血の海と化していく。

 俺の心同然に赤い血じゃなく黒い血が流れていく。そしてメイベルが先に逝き、俺もやがて逝ってしまった。いつかは女に殺されるとは思ってはいたが、まさか今とは思いもしなかった。

 これも人生、まあ俺にしてはよくやったな。

 俺の体を皆が雑に扱い、床に転がした。俺の体は皆に踏み付けられ、股間を蹴られていく。そしてクズが!と告げられ、ツバを吐き掛けてから油を掛けていた。

 彼女達は屋敷を出る時に、松明を投げ込み火を放った。やがて屋敷全体に火が回り、俺の体身も火が着いた。先ずは俺の"短い黒い髪"があっという間に燃え、体全体が燃え始めた。段々と俺の体は勢いよく燃えていったが、暫く燃えると霧散していったのであった。
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