異世界召喚された俺は余分な子でした

第６章

第197話 帰還と入れ替わり

　ダンジョンから城に戻ると、アリアとセチアが涙を浮かべながら迎えてくれた。

「遅くなったね。ただいま」

　２人は泣きじゃくっており、まともに話ができなかった。予測よりも遥かに長かったので、気が気ではなかったようだ。

　俺は先ずはギュッと抱きしめた後、そっとキスをした。そして頭を撫でながら長い時間留守を託していた事のお礼とお詫びをした。

　メイベルは国王を呼びに行っている。

　俺達が不在の間は時折魔物が攻めて来たが、精々1000匹が纏まって来る位だったと報告を受けた。その数でもかなりの数なのだが、それまで万単位で攻め込まれていた事を考えると可愛いものだ。

　ダンジョンの入り口近くに監視兵の一団を配置していたが、ダンジョンからは新たに魔物は沸き出ては来なかったようだ。

　俺はカービング国の王にダンジョンの攻略宣言を出すように指示をし、王都周辺を兵士１０００名単位の隊で巡回させ、魔物の殲滅を命じた。

　皆の前で命じてハッとなった。まだ彼は国王だ。
　しかし恭しく命令を受理しており、側近に色々な命令を出していった。既に俺の部下になっていた。ごめんなさい御父様…

　俺は次にワーグナーの城へゲートを出し、ワーグナーから来ている兵士達の全てを送り返した。久し振りに家に帰る事が出来ると皆安堵していた。

　既に夕方近くだったのもあり、今日はメイベルを連絡役としてカービングに残し、俺を含め皆ゲートでワーグナーの屋敷に帰った。一人は連絡役が必要であり、この国の出身者であるドロシーとメイベルが連絡役としては最適だった。多分メイベルとドロシーは交代交代で連絡役を担う事になるだろう。尤もロトナとアリアもそうなると思われる。

　ダンジョンを出た早々だが、明日の朝からカービングからジャックナイフ国に向かう事にした。

　屋敷に戻るとクロエとロトナに熱烈に迎えられた。遅い！と散々クロエに文句を言われたな。

　夕食の準備が出来ていたので、久し振りの屋敷での食事となった。

　それと風呂の後、クロエの指示通りに皆の部屋を訪問していった。

　おかしいと気が付くべきだったのだが、アリアとロトナの２人を双子セットで不思議な経験をした後、最後の訪問ではなく、俺の寝室への訪問者がドロシーだった。筈である。

　ドロシーを可愛がっている時に違和感があった。
　そう嵌められたのだ。というかメイベルは連絡役でカービングにいるのだが、そこにいたのはメイベルだったのだ。

　熱烈に愛し始めた当初、それが生娘である事に気が付かず、熱烈合体！した時に漸く今相手にしているのがメイベルなのだと気が付いたのだ。

　俺は焦った。刻印の儀を急遽行う事になったからだ。もうしちゃったからなぁ…

　既に後戻りできない状況になっていた。彼女は用意周到で、腕を結ぶ紐も持っていたのだ。

　彼女とはダンジョンでずっと一緒だったのだ。デート自体をしてはいないが、人となりは十分理解できた。

　性格も人格も尊敬できるし、
　一緒に戦った信頼の置ける仲間だ。共に命を託しあった掛け替えのない存在なのだ。

　そして何より、俺は彼女の事を愛している。

　俺の心配は致し始める時に彼女の事をドロシーだと思い込んでいた事だ。

　その為に、抱いている女性を愛しているとの強い思いが有るとはいえ、無事に刻印が刻まれるかどうか分からないのだ。

　俺は彼女と長い年月を共に過ごしたいと思う。だから刻印が無事に完成して欲しいと祈るしかないのだ

　しかし、疲れている為に猛烈に眠かった。一つになり、メイベルを大事に抱き寄せながら眠りについたのであった。