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第6章

第194話 100階層へ

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 朝から俺は気合いが入っていた。それは双子の囁きが原因だった。

 ドロシーとメイベルの双子は見極めが困難だ。そう同じ顔でスタイルも変わらないうえにスリーサイズからは分からない。また、顔にホクロがないので、その違いから判断はできない。

 そして同じ顔が左右から俺に囁く。

「今日は格好いい所を~み・た・い・な♪」

 そうやってステレオで迫られた。
 彼女達は暫く離れていたからか、性格も仕草も胸の大きさ、声もそっくりなのだ。確かそんな事を調べた者がいたっけな。

 ステレオチックにハモられ、俺はメロメロだった。

 昔TVかなんかでやっていたが、双子は同じ家にいると別の性格になるが、離れ離れだと遺伝子からもたらされる性格に、つまり似通った性格になる傾向が有るそうだ。一緒にいると、兄だの弟だので親からその役割を押し付けられるので、一人の時と違う性格になる。

 本作と関係ないが、筆者自身の経験から身を持って経験したりしている。

 メイベルは剣の修行をしていて、ミノタウロスに殺された時も守られる姫ではなく、民を守る一振りの剣として散ったのだと。

 身支度や食事も終わり、皆の準備が整っている事を確認し、俺が先頭でボス部屋を出ようとしたところ、アリゾナに窘められた。

「危険ですぞ。我らとの場合と違い、陛下を生き返らす術を我らは持たぬのですぞ!」

 はっとなり、そこからは先頭をアリゾナに譲り、殿はホーネットに預けている。

 100階層で終わると予測したが、他の階層と殆ど変わらず、90階層へ辿り着いていた。その為、誰も言わないが、本当に100階層で終わるのかな?と不安が出てくる。

 そして今はボスを倒した後のボス部屋の所にいる。やはり大して強くはなかった。オリンズとシカゴの2人だけで挑ませたが、余裕で倒せた程度だ。と言っても2人は既にSS級の実力を手に入れている。

 昼休憩を行い、次の91階層へと進む。

 階段を降りた途端、突如熱風に晒された。
 砂漠だ。しかも何故か太陽が有る。勿論太陽もどきなのだろうが、これにはかなり驚いた。

 出てくる魔物は急に強くなった。サンドワームというミミズを大きくした直径2m位の奴が出てくる。長さはよく分からないが、優に12mは超えている。2t車程度の大きさのトラックが向かってくる感じの大きさだ。

 ここでは俺の出番だった。ファイヤーボールでガンガン焼き払っていく。

 また、サソリの大きいのやら、とにかく見知った生き物が大きくなっている感じの魔物ばかりだが、魔力が無尽蔵に近い俺の独壇場だ。

 階段がある場所は分かっている。遠くに祠の様な何かが見えているからだ。しかし、ここを抜けるのに3時間程掛かった。砂漠なので歩き難く、歩みが遅いのだ。一人なら飛んでいけるのだが。

 92階は草原で、低木すらなかった。出てくるのはリスや兎、小鳥だとしたら小動物なので可愛らしいのが、そんな愛らしい見た目で体長が150cm位あるのだ。可愛いのではなく怖い。しかし女性陣は駄目だった。可愛らしい顔をしているから攻撃ができなかった。そこは空気の読めないホーネットが顔を中心に蹴りとパンチで倒していく。顔がドンドン腫れていき、その愛くるしい顔が見るも無惨な状態になっていく様子を女性陣達は涙を浮かべながら見ているしかなかった。

 93階は氷だ。物凄く困った。そう、当たり前だが滑るのだ。そしてペンギンが出たのだが、やはりでかい。体高が2m位と人よりでかいペンギンなのだ。

 俺が丸焼きにすると、女性陣からはこのひとでなし!とか聞こえたが、人ではなく、魔物だと言いたいが睨まれて言えなかった。

 それでもめげずにファイヤーボールを使いまくり、道を溶かして遅々とだがなんとか進んでいった。

 93階層を終わる頃には既に20時位で、皆ヘトヘトだった。取り敢えず階段を降りた所で、つまり94階層での野営とした。
 この階層はどうやら森だった。

 良い事なのか悪い事なのか、ここへ来て漸く大きな変化が現れた。苦行になる環境とやっとおさらばになったのだ。

 皆疲れていて、明日に備えて早々に寝る事にした。俺の見張り当番は最後で、ユリアと、メイベルと一緒だ。

 時折獣型の魔物が出る程度で、野営は大きな問題も無く順調だった。

 ダンジョンの中でいつものというのも変な話だが、なんの変哲のない森林でのキャンプのような雰囲気の中で朝食を摂り、さあ最後の日にしよう!と気合を入れてからこの階層をスタートするのであった。
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