上 下
179 / 566
第5章

第178話 カービングへ

しおりを挟む
 戴冠式での演説を短時間で切り上げ、逃げるように進軍の兵達が休んでいる所へ俺はゲートで移動した。

 馬車の御者席に立ち、無事に?戴冠式が終わった旨、皇帝になった旨の訓示をし、再び進行を開始した。

 現在馬車にはセチア、アリア、オリヴィア、ドロシー、ユリア、ロトナがいる。
 後ろの馬車にはバトルシップの4人が乗っている。ちなみに馬車の中は拡張済みだ!

 今後の事を話す事にした。

 まず道中の兵を1000名に減らし、午前と午後で入れ替える。

 野営はせず、都度ゲートで城に戻す。

 俺は屋敷にて夜を過ごす事に変えたのだ。

「誰も言ってくれないけど、移動は俺が進めばゲートで皆を引っ張ってこれるから、馬車には誰か一人居て貰えば良いかな。まずは明日はロトナな。翌日はドロシーかな。その先は皆で決めてね」

 皆頷いていてアリアが俺を無視して話し始めた。

「それではクロエ姉さまがいらっしゃらないですが、第一回嫁会議を開きますが皆様宜しいですね?。僭越ながら本日は私が司会を務めさせて頂きます。ではまず明日はロトナ、明後日はドロシー、その次がオリヴィアが同行と刻印を刻んで貰う。ユリア様、セチアさん、クロエ姉様、私の順番でローテーションでどうですか?」

 皆一斉に頷き了承されていったが、勿論俺が意見を挟む余地はそこには無い。

「あ、あのう…」

 言い掛けるもアリアがうるうるした目で見つめ、無言の圧力を掛けてくるので俺は縮こまった。

「いいえ、何でもないです。仲良くね」

 そう言う以外に選択肢が無かった。

 ロトナが続いた。

「部外者はお黙りなさい。今は神聖なる嫁会議の場ですよ?男の発言を誰も許可してはいません事よ!」

 俺はいじけて不貞寝を決め込んで泣いていた。皇帝になった筈なのに!と。

 俺がいじけて、のの字を書いている間も何か良からぬ?相談をしていて、耳を塞いでいた。
 時折誰かが頭を撫でてくれている。多分セチアかアリアだろう。
 この二人は俺の癒し手だ。
 ロトナとユリアはいじめっ子だ。ドロシーとオリヴィアはノーマルっと。
 悔しいのでロトナに仕返しを決行する。右肩をとんとんする。
 驚いて振り向くも当然何もない。次に左肩。次に足の裏をくすぐる。
 そうそう、馬車の中は基本的に靴を履くのだが我々は脱いでいる。馬車の出口に俺用の即時に履ける靴を置いておき、襲撃に即時対応可能なように備えている。
 ロトナが驚いて立ち上がった。

「キャッ!私の足に何かが触れた!」

 俺は皆に背を向けているが顔はにやけている。
 次にお尻を撫でるとロトナが強張った。
 そしてトドメにお腹をこちょこちょくすぐりだした。

「うひゃひゃひゃひゃひゃきゅええええ」

 面白い反応だ。

「ちょっと静かにしてくれないかなあぁ!お昼寝したいぞおぉ」

 笑いを必死に堪えて苦言をする。
 そうすると急にドロシーがロトナに告げた。

「さっきのはラン様は気分を害されたのだと思いますよ?そんな事では刻印は夢物語になるわよ。ラン様は邪険にされると落ち込むのよ。謝った方が良いと思うけど如何?」

「さっきは悪巫山戯が過ぎました。ご、ごめんなさい」

 俺は不貞腐れて返事をしない。更にドロシーが追い撃ちを掛ける。

「そんなんじゃラン様は元気にならないわよ。こっちに来なさい!」

 ドロシーはおれを無視し、ロトナを俺の目の前に座らせた。

「失礼します」

 俺の向きを変え体を少し持ち上げ、そこにロトナを滑り込ませ、膝枕をさせた。
 間もなく膝枕されている俺の顔が濡れた。そうロトナが泣いていたのだ。俺は激しく動揺した。

「ランスロット様はやはり私の事をお嫌いなのですか?だから刻印の儀をして頂けないのですか?やっぱりアリアのようにお淑やかじゃないと嫌なんですよね?ううううう」

 本格的に泣いてしまい、慌てて起き上がり思わず抱きしめた。

「さっきのはショックだったけど、ロトナはその弄られキャラな性格も含め好きだよ。ただ、もっと君を知りたいんだ。それからちゃんと愛したいんだ。明日はちゃんと色々話そうね。それともうさっきの様な事はしないでくれると嬉しいな」

 俺は皆が見ているがお構いなしにロトナに熱いキスをした。
 ロトナは急にしおらしく顔を真っ赤にした。

「あのね、そのね、さっきひゃごめんなさい。嫌だったよね。もうしないから許してね。それとね今のがファーストキスなの」

 くねくねしていてちょっと舌を噛んじゃったのがいじらしかった。
 俺はロトナを許してあげた。
 道中町が有ると俺は町に一度入り、ゲートポイントを確保していっている。变化の指輪を貸してもらい、騎士や兵士を装い、兵士達と紛れてだ。護送隊から数名の者と離れ俺達が町に入っている間に女性陣を屋敷に送り、馬を休ませたりしている。又は城へゲートを繋げ、馬を含めた人員の入れ替えもだ。入れ替え後に再編成や引き継ぎにそれなりに時間が掛かるのだ。

 その日は出発早々の魔物との遭遇以外は特に大きなトラブルはなく、無事に夕刻を迎えており今日は終わりとなった。兵を城に戻し、俺達も屋敷に帰っていった。

 今日の添い寝はくじ引きを当てたユリアとなった。

 ユリアは本当に添い寝だけだった。今日一日の濃い内容に疲れたようで、俺の胸に抱きつくと早々に寝ていったからだ。そうそう、理性が飛ぶからと、普通の寝間着を着ていないと一人で寝るからねと言っておいたので、ちゃんとした寝間着を着ているからね!
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...