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第5章
第177話 戴冠式
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謁見の間は正にザッツ城!その期待を裏切らない俺のイメージ通りだった。
通路の脇に円柱の柱が左右にあり、等間隔に並んでいる。
その端の壁際には槍を構えた近衛兵がずらりと並んでいる。
突き当たりに階段があり、そこには一際立派な座席が、則ち玉座がある。そこには玉座に座わった王がおり、隣には王妃が立っている。更にその横にロトナが居た。
先のスタンピードの英霊への追悼式の後、引き続き戴冠式となっていた。参加していたアリアは王の後ろに控えている。
階段の下には大勢の者達がいる。王座の近くからアレイ殿や各貴族が爵位の順におり、通路を挟み男性と女性で別れて椅子に座っていた。
貴族の後ろに騎士団の幹部が儀礼用の装備で並んでいた。
1000人は居ると思うが、正確な人数は良く分からなかった。
通路を進むと騎士と貴族達との間に、俺の屋敷のメンバーが全員居た。
そしてそこで一度止まり、左右から儀礼用の鎧を着たアリゾナとオリヴィアが俺の斜め後ろに加わった。いつの間に用意されたのやら。
これまたホーネットがいつの間にか作ったのか、大きな旗を持って旗手として俺の前に入った。
シカゴとアリゾナは俺の斜め前に陣取り歩き出す。
貴族の列の一番前の更に前にクロエ、ドロシー、セチアがいる。
玉座の前に着くと旗手は所定の場所に行き、オリヴィア達は俺の後ろに儀丈兵として並んだ。
俺は片膝を着き、一目礼をすると王妃が問うてきた。
「よくぞ参られた、勇者ランスロットよ。此度の目的を我が王に述べよ」
「この度は私に対する王権委譲を執り行うとの要請に従い、承諾の証として訪問致しました」
そういうと王が告げる。
「よくぞ承諾して頂いた。感謝を致します。本日これより我がワーグナー王国国王レハルトの最後の命令をここに伝える!勇者ランスロットに王権を譲渡し、その庇護下に入らんとする。その証として、我が娘ロトナとアリアは勇者ランスロットの妻として嫁ぐものとする。ロトナよ我が王冠を勇者ランスロットへ被せるのだ。勇者ランスロットよ、そなたにはワーグナー王国の国王を任ずる!」
アリアがレハルト前国王から外した王冠をトレイに恭しく載せ、俺は玉座の階段を登り、アリアから王冠を受け取ったロトナが俺の頭に冠を載せると、王が宣言をした。
「これによりワーグナーの国王は勇者ランスロット様が引き継がれた。勇者、いやランスロット陛下万歳!」
そう言うと、全員が万歳を始めた。
暫くして俺が告げる番だ。
「新国王になったランスロットだ。先の混乱をこれから鎮めていく。これからカービング帝国へ向かい、その後大陸統一に乗り出すべくバルバロッサへ向かう。一番の目的は混乱の元凶であるバルバロッサ王家を討伐する事にある」
皆を見渡し、一呼吸置いてから続ける。
「国王に就任しての最初の勅命を下す。前王レハルトよ!そなたに勅命を与える。ワーグナーのそなたが王をしていた領土の総督に命ずる。これより遠征に向かう我の名代としてワーグナー領を引き続き治めよ。それと兵2万を引き続きバルバロッサ討伐に従事させよ。又、我は自らを皇帝と名乗り、ワーグナー領からの皇帝への税負担額はこれより協議により決めるものとする。レハルトの爵位はワーグナー領にて序列第1位の大公とする。他の爵位の者も現状の爵位を認め、総督には大公より下の爵位の任命権を貸与する。但し大公は朕が任命権を持つ物とする。これより統合していくであろう各国にても、敵対行為が無ければ同様の措置を取るつもりである。但し、バルバロッサのみ現王家は取り潰し、皇帝直轄領とする予定である。皆に我の力を伝える。スキルにより我れ自ら一度訪れた場所には瞬時に移動出来るゲートを開く事が出来る。これにより例えばボレロとワーグナーを1日で往復する事が可能となる」
せチアが俺に近付き、水の入ったグラスを持ってきたので、受け取ると喉を潤してから続けた。
「政策の一貫として我が配下の領土に対し、奴隷に対する決まりを、つまり法律を制定する。これより併合する国々も併合後一律に定める。法律の施行開始はワーグナーではこれより30日後、併合した国も併合後30日後の施行とする」
皆を見渡すとざわめいている。
アリゾナが大きな声で一言告げる。
「皇帝陛下がお話しをされておる最中である。皆、静まれい!」
怒気をはらんだ声にシーンとなったので、俺は続けた。
「先ずは服装の改善を図る」
俺はくいくいと脇に控えている奴隷の格好をさせた騎士を連れてこさせた。
「こちらの騎士に一般的によく見られる奴隷が着ている貫頭衣を着て貰っている。すまないな。このような服を着せる事を禁ずる。粗末な履き物、裸足で外を歩かせる事を禁ずる。飲食店等で床で座って食べている者を見るが、床に座らせて食べさせる事や、待機させる事を禁ずる。また、奴隷食の廃止を命ずる。抜け道を探すな。飲食店で奴隷を同行させる場合、主人と同等な物を食べさせる事。くどいようだが、抜け道を探そうとするな!大事な事なので、二度いう。奴隷を店の外で待機させたりしていて主人が店の中や、奴隷のみを外で食べさせたり食事抜きにするのも禁ずる。恐らくこういった事をしだすであろう。まともな人として扱うようにする事。奴隷を物扱いにする事を禁ずる。奴隷に一方的な暴力行為を禁ずる。罰などで手、脚を切り落とす、目を潰したり耳を切り落とすなどの行為が散見されるが、これらも禁ずる。性行為も暴力と見做す。同意無しの性行為を行う事を禁ずる。奴隷販売時は性行為の可否を販売時に明示する事。現在奴隷の立場の者は新たに作る奴隷局に登録する事。奴隷の首輪に本来備わっている機能に、意図しない性行為を行った場合首輪が発光するというのが有るのだ。これは奴隷の主人が責任を持って行う事を命ずる。この項目を設定する事。つまり奴隷を国に対して登録する事の義務化を図る。首輪が光っている奴隷は国で保護し、没収して奴隷開放を行う。奴隷以外の生活をして行く為に一定期間必要な教育や職の斡旋を行うものとする」
皆驚きと戸惑いの表情が現れている。
「奴隷税を設立する。奴隷購入後、又は奴隷を連れて我が領土に入った場合、そこを起点としてスタートする。犯罪奴隷は適用外とするが、再審査で犯罪具合を確認し、罪を償う期間を選定し直す事とする。登録奴隷に対して税金を課す。但し奴隷を取得後、その主は国に対して所有者登録の義務を課す。未登録の奴隷は発見次第没収する。新設する奴隷局にて奴隷登録時に、何月が税金の支払い月になるのかを決定する。奴隷一人に対し奴隷税は1年目は年額金貨10枚として、以後年を重ねる事に前年の倍額を税金とする。5年目だと金貨160枚、10年目だと金貨5120枚となる。払えない場合は奴隷没収とする。これは奴隷商人に払い下げても年数のカウントは変わらない。つまりある程度の年数で解放する仕組みにする為だ。他の国に出てもリセットはされない」
周辺のざわつきが大きい。
まあそうだろうな。奴隷制度の根幹に関わる話だ。
俺は演説を終え、後を総督に任せてゲートでカービングに向かっている一軍に、ロトナ達を連れて合流したのであった。
通路の脇に円柱の柱が左右にあり、等間隔に並んでいる。
その端の壁際には槍を構えた近衛兵がずらりと並んでいる。
突き当たりに階段があり、そこには一際立派な座席が、則ち玉座がある。そこには玉座に座わった王がおり、隣には王妃が立っている。更にその横にロトナが居た。
先のスタンピードの英霊への追悼式の後、引き続き戴冠式となっていた。参加していたアリアは王の後ろに控えている。
階段の下には大勢の者達がいる。王座の近くからアレイ殿や各貴族が爵位の順におり、通路を挟み男性と女性で別れて椅子に座っていた。
貴族の後ろに騎士団の幹部が儀礼用の装備で並んでいた。
1000人は居ると思うが、正確な人数は良く分からなかった。
通路を進むと騎士と貴族達との間に、俺の屋敷のメンバーが全員居た。
そしてそこで一度止まり、左右から儀礼用の鎧を着たアリゾナとオリヴィアが俺の斜め後ろに加わった。いつの間に用意されたのやら。
これまたホーネットがいつの間にか作ったのか、大きな旗を持って旗手として俺の前に入った。
シカゴとアリゾナは俺の斜め前に陣取り歩き出す。
貴族の列の一番前の更に前にクロエ、ドロシー、セチアがいる。
玉座の前に着くと旗手は所定の場所に行き、オリヴィア達は俺の後ろに儀丈兵として並んだ。
俺は片膝を着き、一目礼をすると王妃が問うてきた。
「よくぞ参られた、勇者ランスロットよ。此度の目的を我が王に述べよ」
「この度は私に対する王権委譲を執り行うとの要請に従い、承諾の証として訪問致しました」
そういうと王が告げる。
「よくぞ承諾して頂いた。感謝を致します。本日これより我がワーグナー王国国王レハルトの最後の命令をここに伝える!勇者ランスロットに王権を譲渡し、その庇護下に入らんとする。その証として、我が娘ロトナとアリアは勇者ランスロットの妻として嫁ぐものとする。ロトナよ我が王冠を勇者ランスロットへ被せるのだ。勇者ランスロットよ、そなたにはワーグナー王国の国王を任ずる!」
アリアがレハルト前国王から外した王冠をトレイに恭しく載せ、俺は玉座の階段を登り、アリアから王冠を受け取ったロトナが俺の頭に冠を載せると、王が宣言をした。
「これによりワーグナーの国王は勇者ランスロット様が引き継がれた。勇者、いやランスロット陛下万歳!」
そう言うと、全員が万歳を始めた。
暫くして俺が告げる番だ。
「新国王になったランスロットだ。先の混乱をこれから鎮めていく。これからカービング帝国へ向かい、その後大陸統一に乗り出すべくバルバロッサへ向かう。一番の目的は混乱の元凶であるバルバロッサ王家を討伐する事にある」
皆を見渡し、一呼吸置いてから続ける。
「国王に就任しての最初の勅命を下す。前王レハルトよ!そなたに勅命を与える。ワーグナーのそなたが王をしていた領土の総督に命ずる。これより遠征に向かう我の名代としてワーグナー領を引き続き治めよ。それと兵2万を引き続きバルバロッサ討伐に従事させよ。又、我は自らを皇帝と名乗り、ワーグナー領からの皇帝への税負担額はこれより協議により決めるものとする。レハルトの爵位はワーグナー領にて序列第1位の大公とする。他の爵位の者も現状の爵位を認め、総督には大公より下の爵位の任命権を貸与する。但し大公は朕が任命権を持つ物とする。これより統合していくであろう各国にても、敵対行為が無ければ同様の措置を取るつもりである。但し、バルバロッサのみ現王家は取り潰し、皇帝直轄領とする予定である。皆に我の力を伝える。スキルにより我れ自ら一度訪れた場所には瞬時に移動出来るゲートを開く事が出来る。これにより例えばボレロとワーグナーを1日で往復する事が可能となる」
せチアが俺に近付き、水の入ったグラスを持ってきたので、受け取ると喉を潤してから続けた。
「政策の一貫として我が配下の領土に対し、奴隷に対する決まりを、つまり法律を制定する。これより併合する国々も併合後一律に定める。法律の施行開始はワーグナーではこれより30日後、併合した国も併合後30日後の施行とする」
皆を見渡すとざわめいている。
アリゾナが大きな声で一言告げる。
「皇帝陛下がお話しをされておる最中である。皆、静まれい!」
怒気をはらんだ声にシーンとなったので、俺は続けた。
「先ずは服装の改善を図る」
俺はくいくいと脇に控えている奴隷の格好をさせた騎士を連れてこさせた。
「こちらの騎士に一般的によく見られる奴隷が着ている貫頭衣を着て貰っている。すまないな。このような服を着せる事を禁ずる。粗末な履き物、裸足で外を歩かせる事を禁ずる。飲食店等で床で座って食べている者を見るが、床に座らせて食べさせる事や、待機させる事を禁ずる。また、奴隷食の廃止を命ずる。抜け道を探すな。飲食店で奴隷を同行させる場合、主人と同等な物を食べさせる事。くどいようだが、抜け道を探そうとするな!大事な事なので、二度いう。奴隷を店の外で待機させたりしていて主人が店の中や、奴隷のみを外で食べさせたり食事抜きにするのも禁ずる。恐らくこういった事をしだすであろう。まともな人として扱うようにする事。奴隷を物扱いにする事を禁ずる。奴隷に一方的な暴力行為を禁ずる。罰などで手、脚を切り落とす、目を潰したり耳を切り落とすなどの行為が散見されるが、これらも禁ずる。性行為も暴力と見做す。同意無しの性行為を行う事を禁ずる。奴隷販売時は性行為の可否を販売時に明示する事。現在奴隷の立場の者は新たに作る奴隷局に登録する事。奴隷の首輪に本来備わっている機能に、意図しない性行為を行った場合首輪が発光するというのが有るのだ。これは奴隷の主人が責任を持って行う事を命ずる。この項目を設定する事。つまり奴隷を国に対して登録する事の義務化を図る。首輪が光っている奴隷は国で保護し、没収して奴隷開放を行う。奴隷以外の生活をして行く為に一定期間必要な教育や職の斡旋を行うものとする」
皆驚きと戸惑いの表情が現れている。
「奴隷税を設立する。奴隷購入後、又は奴隷を連れて我が領土に入った場合、そこを起点としてスタートする。犯罪奴隷は適用外とするが、再審査で犯罪具合を確認し、罪を償う期間を選定し直す事とする。登録奴隷に対して税金を課す。但し奴隷を取得後、その主は国に対して所有者登録の義務を課す。未登録の奴隷は発見次第没収する。新設する奴隷局にて奴隷登録時に、何月が税金の支払い月になるのかを決定する。奴隷一人に対し奴隷税は1年目は年額金貨10枚として、以後年を重ねる事に前年の倍額を税金とする。5年目だと金貨160枚、10年目だと金貨5120枚となる。払えない場合は奴隷没収とする。これは奴隷商人に払い下げても年数のカウントは変わらない。つまりある程度の年数で解放する仕組みにする為だ。他の国に出てもリセットはされない」
周辺のざわつきが大きい。
まあそうだろうな。奴隷制度の根幹に関わる話だ。
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