異世界召喚された俺は余分な子でした

第５章

第146話 オークションの下見と鑑定の封印

　俺、クロエ、オリヴィアの３人で奴隷商に行くと、クロエの姿を見た職員が慌てて中に戻り、更に慌てている主が出てきた。

「これはこれはミスクロエ 、本日は如何されましたか？」

「久しいなドホルザーク。今日は私の夫となるS級冒険者を連れてきたのよ」

「御初にお目にかかります。ワーグナー王国公認商館のドホルザークでございます。以後お見知り置きを」

　握手を求めてくるので、普通に握手を交わした。

「S級冒険者のランスロットです。こちらこそ宜しくお願い致します」

「これはご丁寧に。それで、本日のご用件は？」

「今度のオークションの奴隷と欠損奴隷で強い奴がいないか見に来たんだ。つまりオークションの下見だよ」

　奴隷商は頷くと、ついて来るように促しているが、何故か女奴隷の方へ連れて行くのだが、やはり綺麗な女が多くオークションの性奴隷想定の者だと思われた。

「女性は間に合っているから、戦闘奴隷を見たいんだ」

「分かっておりますよ。ここはわざとこの者達の前を通らないと辿り着けなくしいるのでございます。目移りして購入意欲を掻き立てる為でございます。初めて来られますと、半分位の方は釣られますので」

　解説をしてもらっていると戦闘奴隷の所に着いた。

「最近出現したダンジョンに入りたいのだが、それに同行可能な奴を探している。特に前衛が欲しいんだ。回復と魔法は俺で間に合っているのでね」

「ではこ奴らではどうでしょうか？」

　ざっくり見ると気になるのが２人おり、そのうちの１人がかなり屈強な奴で、何か違和感があった。よくよく見るとヒューマンではない事が分かる。それは鱗が見えるからで、ドラゴニュートという種族だった。

　俺の鑑定系の能力は封印されているようで、残念ながらステータスは見れない。だが、気になる女性のスリーサイズは分かるのだが…

　ふと考えてみると、セチアの場合は隷属契約者の主には見えるので、封印とは別能力で見えているようだ。クロエ達の場合は、【仮称:スケコマシ】の能力で男として気になる女性の情報が見えているような気がしてきた。いや、確定だろう。奴隷商人に試したり、一般人や職員の女性では見えなかったからそう結論付けていた。

　もう一人は獣人で、それも狼系だろうか。聞けば人狼族と言うので、この２人と面談する事にした。

　女の屈強なのもいたが、顔付とか体付きが生理的に無理だったので、スルーしたんだよね。 

　念の為奴隷商に聞くも、戦闘奴隷とはいえ異性であれば、主人に男としての能力があるうちは刻印を刻む義務があると言うのだ。

　俺にはとても無理と言うとクロエは満足して笑みを浮かべていた。

　それ以外の奴隷は筋肉ムキムキで強そうではあるようだが、これといって特筆しているポイントがなく、精々商隊の護衛程度の強さのようだ。

　面談の準備をしている間に、欠損奴隷を見せてもらう事にして連れて行って貰い、見ていく事にした。

　戦闘系が欲しいと伝えてあったが、いるところにはいるものだ。

　屈強で両腕がないのが何故かいるので、話を聞くと屋敷の連絡役位は出来るのと、男娼として安い奴隷を買う奴もいるので、値段さえ低ければ大抵は買い手が付くそうだ。 

　彼は戦隷であり、敗戦時に殿を命ぜられて主達を逃がした所で捕まり、捕まえた兵士が腹いせに両腕を切り落としたという。金貨10枚だ。

　次に両脚が膝から下が無い屈強な者で、義足を着ければ辛うじて歩く事は出来るので、店番（用心棒）位を想定している。元冒険者で貴族と喧嘩になって奴隷落ちとなり、買われた先で護衛をしていたが、移動中に魔物か獣の群れに襲われた。その場に踏み止まり主を逃がせと命ぜられ、その場から動けず何とか全滅させるも脚が食いちぎられていた強者だ。貴族との喧嘩も町娘を強引に屋敷に連れ帰ろうとしているのを止めた為だという。

　他にも１０歳の女の子と１２歳の男の子の兄弟がいて、各々右腕を切り落とされているのと、右目を潰されていたのがいた。
　貴族の子供で親類が反乱を起こすも失敗し、この２人以外の一族徒労全て処刑するも、２人は幼さ故処刑を免れた。とはいえ、片腕と片目を奪われて奴隷落ちとなったそうだ。２人で金貨60枚

　クロエが俺を脇に引き込んだ。

「あの兄弟を何とかしてあげられないでしょうか？不憫で・・・・」

　最後まで言えんかったようだ。嗚咽まじりだった。

「うん屋敷のメイドに良いかな。流石に10歳の女の子と刻印を刻むのは勘弁してね。だからあの子達は、女の子の方が16歳になるまで俺の所の奴隷として保護し、16歳になった時に自分の身を買い戻させ、その後どうするか決めさせれば良いかな？それとメイドか執事を出来る人を探して、この子供達を教育しないとね。それと、この女の子は君が買う事にすれば刻印の儀は不要だろ？」

　クロエは泣きながら何度も頭を下げるので激しく揺れていた。そうわっさわっさと。
　そっと抱きしめた。

「クロエは優しいね」

　次に案内されたのは、執事が出来そうなと言うよりも、していたが目を潰された男と、その妻もいた。2人はメイドと執事だったが、仕えていた家が先の子供の所で、雇われていた屋敷が反乱軍として国軍に攻められた時に、戦いに巻き込まれ妻は左足と両目を、夫は両目と右肘より先を失い、関係者として奴隷落ちになったそうだ。

　この6人を買う事として、面談の準備が出来たオークション奴隷が待機する面談室に向かった。

　２人同時だったが問題なさそうで、ダンジョンは興味があるようだ。奴隷引換券を見せて俺が落札するのと、俺がＳ級でクロエがギルドマスターだと伝えると驚きと安堵をしていたが、最終的に俺の所有になってから詳しい話をするが、ボレロに向かうと伝えると頷くだけで、気の所為か喜んでいる感じだった。

　欠損奴隷を受け取りこの後どうするか悩んでいたが、そういえばいつの間にかオリヴィアがいなかったなと思っていると、馬車を連れて戻ってきていた。

　クロエをギルドで降ろしてオリヴィアオを連れて服屋に行き、俺が取り急ぎ今着る服を買ってから屋敷に着いたのであった。