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第5章

第127話 2人の旅路

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 荷物を受け取り、セチアと一緒に隣町を目指して出発した。

 実は彼女が自ら私への報酬の代わりとして、自分を差し出すように進言したという。俺は彼女に質問をした。

「どうしてそのような事を言ったのですか?」

「あの、その、助けて頂いた時に戦っているお姿を見て感じたのです。私の生きる道はこの方にあると。それとお風呂でご主人様に触れた時に体中に痺れが走ったのです。その時に何かが見えたのです。一緒に旅をしていて、私は娶って頂いていました。そこでは私は幸せそうにしていて、魂が間違いないと感じたんでしゅ」

 私が感じた事?見た事?と同じ内容を彼女も見ていたようだ。あっ!また舌を噛んだ!大人の女性のそんな素振りが愛おしくなってしまう。

 村長にお礼を言い出発する事にした。
 馬車が出る時に大金貨、つまり、100万G相等を1枚おもむろに投げて渡した。

「世話になった」

 一言のみ言い放ち出発した。セチアによると、俺の仕草に痺れたのだそうだ。

 御者をセチアに任せて手帳の確認と荷物の確認を行った。
 荷物の中に持ち運び式のトイレ小屋があり、途中のトイレ休憩の後彼女に抱き付かれて涙して感謝をされた。

 俺は色々魔法が使えるようで、正に手帳様々だった。一度手帳に記載されている魔法を使えば、当たり前のように使えるようになるのだ。

 セチアには俺が異世界転移者、つまり勇者と伝えると肉食動物のように懇願をしてきた。

「今晩私を抱いて女にして下さい。ご主人様!お情けを!刻印を!」

 何故か必死に迫ってきた。よくよく話を聞くと、異世界転移した勇者はおとぎ話の主人公であり実際にあった事として有名でそして憧れであるという。

 俺はデコピンをして心が愛するまで待とうねと言い聞かせるが、彼女の事は既に気に入ったし、好感も持てる。今はバルバロッサに向かう必要があり、恐らく数ヶ月は掛かる。抱いてしまい下手をして妊娠をされてしまっては困るのだ。
 少なくとも収納に避妊具は無かった。
 もしも避妊の手段を持っていたのならば、もう抱いている自信があった。

 途中で弱い魔物が出ただけで特にイベントもなく、かなり早く町に着いた。馬車にあった荷物等を収納に入れていた為に重量が大幅に減っているから早く来れたのだ。
 町に入るのは犯罪者の確認だけで、守衛で宿を教えて貰い先ずは宿に向かった。
 宿に着くと馬車を預けて馬の世話と餌の用意をお願いして部屋を取った。2部屋取ろうとしたらセチアさんに怒られ、結局1部屋にせざるを得なかった。
 安宿ではないが、ちょっと財布に余裕の有る冒険者が使う感じの中級宿であり、部屋にお風呂がある。

 彼女は意外な事に、お姉さん気質で何かと世話を焼きたがる。奴隷云々だからではなく彼女の性質だ。

 部屋で少し落ち着いてからギルドに向かった。
 セチアの冒険者登録と盗賊のカードを渡して換金をする為だ。
 20分程受付で並ぶと順番が回ってきた。受付にいたのは銀髪のロングヘアの美人さんだ。
 俺のカードを見せると震えて奥に行ってしまった。
 間もなく別室に案内されてしまい、ギルドマスターと対面した。村が襲われ、その盗賊を討伐した分の換金と彼女の冒険者登録とをお願いし、 討伐した盗賊のカードを見て絶句していた。
 討伐依頼のある盗賊団で、しかも特別依頼の為に達成報酬が1千万Gだ。

 そして討伐した盗賊の懸賞金が3200万Gになった。200万Gを現金で、それ以外をカードに入れて貰う。

 それと並行してセチアの登録を行い、俺のパーティーメンバーに加えた。
 俺のパーティーはブラックオニキスと言うそうだ。メンバーの枠がまだ余っているようなので登録をお願いした。

 登録を済ませてから宿に引き上げ、食堂で食事をしようとした時に問題が発生したのだ。せチアが床に座ろうとした為に、慌てて止めたのだ。奴隷は床で座るのが当たり前だという。俺はかなり慌てており、後でちゃんと話すとして、今は目立ちたくないから一般人として行動するようにと諭した。

 メニューを読むのが難しかった。辛うじて読める程度だ。

 ホーンラビットの煮込みシチューを頼み食したが、薄味だった。

 部屋に戻りお湯を張るが、お湯を発生させる為の魔動器に自前か宿で買った魔石をセットする、又は魔力を込めるかだった。

 だが、俺が手を添えるとあっさり行けた。一般人には無理で、宮廷魔術師レベルでやっと行えるとジト目で見られた。

 風呂に入ると案の定セチアも入ってきたが、予めバスタオルを巻かないとダメだと伝えておいたので、バスタオルを巻いていた。彼女の裸は破壊力があり、いつ理性が飛ぶか怪しかったからだ。

 風呂を出た後俺は手帳をよく読んだ。ナンシーとシェリーが妻で、同郷のセリカと言う高校生と婚約している事等が分かった。
 魔法やスキル、ギフトの記載があり、ステータスが見れなくてもなんとかなりそうだ。
 驚いたのが欠損部位を修復できると言う。試しに手帳の通りに眼を思い、

「欠損修復」

 と言うと眼が再生された。
 

「うへえええええ」

 セチアが驚いているが、反応が面白く笑い転げてしまった。俺はどや顔だ。

「眼が治っちゃったよ」

 セチアはひれ伏して俺を崇め奉っていたのでちょっと引いた。

 先程から自分の言質や思いが変わってきていると感じていた。自身の事を 私 から 俺にシフトしていっていると自覚していたのだ。

 そうこうしていると頭に

「しろ  どうか  私たち  いまど・・」

 ノイズ混じりで何かが聞こえてきた。

 そう言えば「あ」「ラン」とか女性の切迫した声が時折聞こえるが、よく分からない。

 ゲートが便利そうなので村の近くに出したら出た。ひょっとしてとバルバロッサに試すもゲートが出なかった。行った事がある場所限定らしいが、色々試してみると、記憶を失う以前に行った分の場所では無理と言う事が分かった。

 それと俺はハーレムを築いていて、2つ名がハーレム王らしい。
 色々考えていると、ふとセチアがベットの上で膝枕をしてくれていた。
 俺は既に妻がいて、20人以上のハーレムを持っていると分かったと伝えたら、驚きはしたがただ頷いており、自分も加えて欲しいと伝えられた。色々考える事が多かった。

 驚いた事に収納の中に家と言うか、屋敷が入っている。俺は一体何をしたんだ?

 考えをまとめていると眠気に勝てず、膝枕のまま眠りに落ちていったのであった。
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