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第4章

第80話 ダンジョン初日

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 ボス部屋に入る順番を決めた。
 俺、シータ、セリカ、シェリー、クレア、ブラックスワン、ニーベルング、ナンシー、エリシス、フレデリカの順で突入する。万が一途中で分断された場合に備え、戦力を分散させるので、俺が先頭でフレデリカが最後なのは外す事は出来ない。

 そんな感じで身構えていたのだが、拍子抜けした。全員入れたからだ。

 石造りのテニスコート2面位の部屋だ。

 俺達が部屋に入ると、部屋の中央が球状に1、2秒位光り輝き、その光が消えるとそこにはオーガが3匹居た。

 俺が1匹を相手にする。
 フレデリカ達ムーンストーンがもう1匹だ。
 そしてブラックスワンとナンシーがもう1匹。

 シェリーにはセリカの護衛と、状況を見て加勢に向かうように指示を出した。

 俺はアンタレスで打ち合った。
 10合位打ち合った時に右手を切り落とした。そこからはあっという間に左腕を切り落とし、首を刎ねた。

 もう2匹も既に満身創痍でトドメを待っている。
 順調に行っている。スキルの関係で俺がトドメを刺して回る。
 トリシアが吹き飛ばされて脚を折ってしまったが、他には怪我をしている者は居なかった。セリカは出番とばかりに駆け出し、トリシアを治療していた。

 3匹を倒し終わると魔石とドロップ品が残された。
 ドロップはオーガの皮鎧だった。早速セリカとニーベルング、ライトアイに着せる。今は市販品を着ているが、軽い上に、遙かに防御力が高い。
 ボス部屋を出た後は階段へ進むのだが、今日の目標の階層まで来られたので、ここで野営をする事にした。

 俺がテントを出して3帳設置する。既に組み立てており、中に布団を置き、皆に整えて貰った。

 1つのテントで4-5人位が寝られる。
 ブラックスワンで1つ、ムーンストーンで一つ、ナンシーとシェリーと俺とセリカで一つ。

 食事をする。と言っても収納から出来合の物を出す簡単なお仕事だ。
 一通り食べた後、クリーンを掛けて回り、休む事にした。今回は3人一組で見張りをする。
 俺は一番最後だ。途中をするというと皆に却下された。そもそも見張りに加わるのを皆が猛烈に反対したが、俺は押し切った。
 セリカだけは不慣れだからと全員一致で見張りから外した。

 フレデリカが組み合わせを考えていてくれた。俺の当番はライトアイとニーベルングと一緒だ。

 見張り以外はテントに入っていく。
 俺はセリカとテントに入り、シェリーとナンシーもすぐに入っていく。セリカはいつの間にか俺にべったりとくっついてきている。
 腕を組んで放そうとしない。
 そっと抱きしめてあげると、しな垂れかかり、俺とナンシー達との関係を聞いてきたので、これまでの経緯を説明すると、俺の受けた扱いに絶句して泣いてくれた。

「そんな酷い事をされていただなんて知らなかったです。志郎は凄いな。でも何人もお嫁さんが居るなんて破廉恥だなー。私も志郎のモノにされちゃうの?」

「何れもしも縁があればね。今は生き残る為の努力をしよう。それに俺は体の関係を強要した事は無いよ。ハーレムが出来ちゃったけどさ。皆を愛していきたいんだ。複数の女性を娶っていて軽蔑した?」

「そうじゃないの。最初は驚いたけど、全員が志郎の事を慕っていて、自らの意思で身も心も捧げていると誰に聞いても言うし、そのあれの時も物凄く優しいと言っているから驚いたの」

 顔を真っ赤にしているが話を続けた。

「私達こっちに連れてこられてからまだ2週間位だよ。何をしたらこんな美人ばかりのハーレムが出来上がるの?確かに志郎は魅力的で強いし格好いいけど、きっとそれだけじゃないんだよね?」

「いやいや、偶々命を助けたから、皆さん本来より俺の事が格好良く見えて、恩人に惚れたって感じじゃないのかな」

 ナンシーが話に入ってきた。

「フフフ、ランスはね、自分の価値を分かっていないのね。私は貴方に命を救われたという訳じゃないのよ。貴方の行いと、その優しさがステキなの。常に自分の事は後回しで、周りの者達を助ける事を優先にし、常に私達の為に戦い傷付いているんだもん。キュンとなるのよ。だからね、私は伴侶としてランスを選んだの。それに今だってセリカさんを救うのに必死じゃないの。勇者だから選んだのではないのよ!」

 うっとりして言っている。
 そう言えばセリカは俺の事をいつの間にかさん付けから呼び捨てになったな。

「なあセリカ、辛いかもだけど、城での事を教えて欲しいな」

 そう言うとボロボロと泣き出した。俺は抱きしめて背中と頭を撫でて落ち着くのを待ったが、やがて話してくれた。

 召喚翌日に俺がとんでもない事をした為に放逐したと聞いた。
 周りの同級生が皆、俺の事をくずだの何だのと罵っていた。
 普通に考えて、騎士の宿舎から王城の王女の所に忍び込んで暴行を行える訳が無いのに、皆盲目に従っている。場所すらわからないし、見張りの目を逃れるのは不可能だ。
 首輪は魔法を使う上での補助具だと聞いていたが、奴隷の首輪を着けられたとすぐに理解でき、絶望的になった。
 毎日座学がメインで、時折剣術訓練などに参加させられていて、今回遂に実戦訓練になり、今に至ると。
 それと王が女の子を順次寝室に呼んでおり、手籠めにしている。精神を支配されているので喜んで身を捧げていて、順番を決められていた。セリカが一番最後だったようだ。

「言っちゃ何だが、セリカ以外はそんなに綺麗な子が居た訳じゃない。そこそこ可愛い子が居る程度で、俺の好みの顔はいない。なのでセリカを最後のメインディッシュにしようとしたっぽいな。今更どうにもならない。可愛そうだが生き残る力が無かったのだろう。今は王城をどうこうするだけの力がない。策を弄してセリカを救うのが精一杯だ。命を賭ける程のお人好しではないし義理も無い。ぶっちゃけセリカが美人じゃ無かったらリスクを背負わなかっただろう。
 尤も初日に口を利いているし、面識を持ってしまったので顔には関係なく自然に救う決断をしていたんだよな。俺ってお人好しなのかな?それに同郷の者との会話に飢えていたし。セリカとはどういった関係になるのかな?」

 と己の中で考えを整理していたのだが、小声で呟く感じだが、つい口に出していたようだ。

 皆が黙って聞いていたが、ナンシーは俺の手を取った。

「何だかんだと言って体が勝手に動いてしまい、お人好しな行動をするんだからずるいよ。口では俺はゲスだのって言っているけど、それって照れ隠しよね。旦那様」

 セリカの目の前でキスをしてくるものだから、セリカが赤くなり困っていた。

 俺は決断した。何れこの国の王を殺すと。このままではこの国すら滅びかねない。
 セリカはよく喋った。俺も日本人との会話に、芸能人のゴシップやくだらない話に飢えていた。気が付くとどちらからともなく唇を合わせていた。異常環境で好感度がマックスになった為だろう。でも、セリカとはこの後どうなっていくのだろうか?彼女だけでも日本に帰す事を考えてあげたい。
 だから俺が守ってあげよう!

 今は辛くても魔物を倒し力を付けて生き残りを図る事の必要性を彼女に伝えた。
 それと俺の能力の全てを知っている限り話した。絶倫の能力をステータスカードで見た時はジト目をされ、俺は小さくなっていたりした。
 やがて横になると、セリカは俺の布団に入ってきて隣で抱きついてきた。

「隣にいて欲しいの」

 か細く言う。そっと抱きしめてあげるが、彼女の肩は小さく、そして震えていた。やがて疲れからか早々に瞼が閉じていった。意識を失くす前にセリカは何やら独り言?を言っていた。

「私は負けないよ。志郎の為に頑張るね。いずれお嫁さんにして・・・・」

 俺に囁いていたが、途中までしか聞けなかったのであった。
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