異世界召喚された俺は余分な子でした

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第2章

第33話 午後からの講習

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 午前中の講習は特に何事も無く終わり、お昼休憩の時間になった。

 3人で近くのお店に食べに出掛けた。
 ナンシーが俺のパーティーに加えて欲しいとお願いしてきたので、加わる事を了承した。

早目に昼食から戻り、ナンシーがパーティーメンバーの変更手続をしていった。これにて正式にブラックオニキスの3人目のメンバーとしての登録手続きが終わった。
 ギルドの職員は一応D級冒険者として登録されているという。休日に冒険者として活動する者もおり、兼業は禁止されていないと教えてくれた。

 ナンシーから次の休みの日に、一緒に冒険者として連れていって欲しいとお願いされた。

 冒険活動をするに当たり、ナンシーについてパワーレベリングをする必要が有ると思い、夜に大事な話をする旨をナンシーに伝えたらにっこりと微笑んでくれた。この笑顔に乾杯!

午後からの講習は魔石の取り出しからだ。意外だったのはナンシーは経験者だった事だろうか。ギルドの職員は例え受付嬢であっても、時折魔物の解体に付き合わされるので、解体全般も出来るとの事。大物や大量に持ち込まれたりした時に、受付の窓口業務が終わった後に、ギルドマスターを含め、全員で取り掛かる事も有るそうだ。

 俺もシェリーも魔石の取り出しについては経験をしているが、解体の経験は無かった。解体スタッフとナンシーに教えられ、研修で用意されたオークを解体した。オークは食用としても需要が多いのだ。そう言えば豚肉とほぼ同じ味や噛み応えだったなと今更ながら気が付いた。
 食卓の肉の主力となるのがオークで有る。

 その後は戦闘訓練となり、剣の基本的な使い方を教えられた。後衛者向きのダガーの使い方も教えられた。
 後衛は普通スタッフ等を持って魔法を用いるが、サブウエポンとして弓やダガーを持つのは常識とされている。

 因みにナンシーの戦闘スタイルは、エルフの血が入っているからだろうか、弓が得意であり、弓とショートソード、予備でダガーを使うと言う。

 ふと思い、ナンシーに種族の事を聞くと、自分がハーフエルフだという事を周りには隠しているそうだ。

 特にこの国は人間至上主義で、亜人やハーフの者でも冷遇される事が多いので、黙っていて欲しいと。昨日は慌てており、ついつい口走ってしまったそうだ。

 外観からは殆ど分からない。少し耳が尖っているが、エルフの外観面の影響が少ないと言っていたが、何せ耳は髪の毛で隠せば分からないから目立たない。それに俺もナンシーが口を滑らせるまでは、純粋なヒューマンだと思っていたのだ。ただ、ハーフだろうが、亜人だろうが、そんな事はどうでも良かった。ナンシーはナンシーだからだ。



戦闘訓練の締め括りは講師との模擬戦闘だった。木剣を使っての戦闘を順番に行っていたが、皆数合と持たずに致命傷となる箇所に一撃を貰っていた。俺達3人が最後で、3人の中ではナンシーが最初になった。
 他の冒険者と同様で、4合目で首筋に剣を添えられ轟沈。
 シェリーはステータスに物を言わせ善戦しており、20合位は何とか頑張った。力はシェリーの方が強かったが技術的な地力の違いで、遂に手の甲を打ち付けられ、武器を飛ばされて終わった。
 飛びきりの美少女が、B級冒険者でも有る講師に善戦し、一時は押していたので凄かったねと歓声が上がった。

 最後が俺だった。ステータスに委せれば瞬殺出来るが、折角の模擬戦闘の意味が無いので、力を押さえるようにした。お陰で5分位互角に打ち合っていた。剣技の上昇には実力者との模擬戦の効果は絶大だと痛感した。
 俺は負けず嫌いなので最後は倒すと決めていたが、俺も経験が浅いからか隙を突かれて武器をはじき飛ばされてしまった。講師がニヤリと笑う。

「そろそろ終わりだな」

 そう言い放つと突っ込んできた。
 俺はその勢いを利用し、巴投げを決め込んだ。間髪入れず縦四方固にて講師をホールドした。脱出できなくなった講師がギブアップし、模擬戦が終わった。本当は男相手に寝技は嫌だったが、周りの女性達に格好良いところを見せたくて張り切ってしまった。
 皆の目、特に俺を見る女性の目が怖かった。まるで獲物を狙う狩人だ。そんな視線の中に、先の4人組みのパーティーの男の目線もあり、寒気が走った。俺そっちの気無いから!

 所が俺が思っていたのは、講師による模擬戦の総評の話で間違いと分かった。
 先ずはこのパーティーだが、女性の4人組だった。
 彼ではなく彼女だったのだ。女の子だけだと舐められるので、4人の中で一番背の高い彼女が男装して誤魔化そうとしていたのだそうだ。僕っ子じゃなくて、男装の麗人だったのだとほっとした。

 講師は予め参加者の事は知っていたので、前衛の女性を集め、前衛の女性の戦い方をアドバイスしていて分かった。

 講師が俺にお前さん手加減をしていただろう?と暴露し、既にA級冒険者以上の実力があるし、シェリーの強さはもう少しでB級だと言われた為に皆驚いていた。
 
 そうして講習は無事終わり解散となった。
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