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第1章

顛末

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 朝食の時間になり、当夜とルナは既に着替えて準備ができていた。

 暫くすると三人娘が部屋に来たので全員で食事をしに食堂に向かった。

 今までと違いがあった。そう、アモネスが当夜の隣に座ったのだ。
 今までだと当夜の隣はルナで、アモネス達は三人で並んで座っていたから、今までにない行動にレグナスとシャクラが驚いていた。
 当夜はどうするか悩んでいた。アモネスには確かに己の秘密を知られたが、レグナスとシャクラが知らないのはいけない事ではないのか?知らせるべきではないかと。

 これまでの当夜は、己の体の事を知られるのを極端に嫌がっていた。というより知られる事を恐れていた。だがしかし、いざ知られると全員に知らせていないのは仲間に対して失礼だ、彼女達の選択肢を奪ってしまうのではないかと、言わないのは卑劣とさえ考えていた。
 そんな当夜の悩みを知ってか知らずか妙にアモネスのテンションは高かった。
 今日の予定はどうするのか?となり、まずはギルドでスタンピードの説明及び依頼達成報告と換金を行い、いよいよ王都へ向けて旅をしたいと話すと全員が頷いていた。
 その為ギルドを出た後は馬車と馬の購入と野営の準備をする事となった。また収納がどれ位かは分からないが、まとまったお金が入ると思うので、今回の報酬は旅の資金とし、服を追加で購入、武器防具の装備も充実させる、食料の購入、回復アイテムなどの購入とてんこ盛りになりそうだった。

 当夜とアモネスの二人に対してレグナスとシャクラの怪訝そうな目が痛かった。当夜は今日の夜に、己の体の事を隠さずに言う事を密かに決意していくのであった。

 食事の後にギルドに向かい、早い時間の為すぐに対応して貰ったが、受付のお姉さんに討伐依頼の時のスタンピートについての話と、オークの買い取りや魔石について聞くと、驚いていて、ちょっと待ってくださいと言い残し奥に引っ込んでいった。

 5分位するとギルドマスターが出てきて呆れ顔で

ギルドマスター「あれ程言ったのにもうばれているぞ!はぁ」

 ギルドマスターはため息をついていた。
 それもそのはず、収納スキルがばれていたからだ。

当夜「ああ、収納の事か。俺はそういうの隠すのが下手だから、絶対ばれるので隠すのを止めたんだ。知らないうちにそれ絡みでトラブルになる位なら、知られていると分かっている方が対処が出来るんだよね」

ギルドマスター「ほう、少しは考えてるんだな。で、この後はどうするのだ?」

当夜「明日か明後日から王都に向かおうかと思います。最終的にはまたこの街に戻りたいですね。中々居心地が良いので」

ギルドマスター「そうか、戻るなら歓迎するぞ」

 当夜は以前から言っていた通りに旅に出る準備が出来次第出発する旨と、スタンピード発生の詳細を伝え、握手をして別れた。もう一度受付に戻り、一部のオークの買い取りと魔石の換金を行った。
 冒険者ランクも当夜とルナがランクB、アモネス、シャクラ、レグナスの3人がCに上った。

 洞爺は上位個体の換金はここでは止めて王都で売る事としたのだった。
 皆のランクが一つづつ上がったのが嬉しかった。
 金額は全ての報酬を合わせて3500万になったので、各自の口座に700万づつ入金して貰った。皆は遠慮するが今回は思う所があり均一にしたのだ。

 当夜はギルドを出て、アモネスにちょっとした買い物をルナにしてあげてとお願いをしていた。ルナがあまりにも女性としての身なりに無頓着なので、その辺りの教育を含めお願いしてみると、アモネスは頷いて抵抗するルナを引っ張っていった。
 ルナは救いを求める目を当夜にするが、送り出した当人にお願いしても無駄な事だ。満面の笑顔で送り出し、当夜はレグナスとシャクラを伴い別の買い物に行く事とした。

 道中に必要な生理用品の買い出しだった。ルナが生理で苦労しているが、当夜が購入できる品ではない。皆の分を購入するが、自分達のを買えと言っても彼女達が恥ずかしがるので、ルナの分を多目にしてシャクラ達が必要な分も買うようにと、当夜からお金を渡され二人が買い物をする。これはカモフラージュだった。
 買い物の後、喫茶店でお茶をする事になり、当夜は二人に自分の体の秘密を打ち明けた。

 その上でアモネスが当夜を伴侶としたいと申し入れをしてきた旨を説明した。それを踏まえて先日の話をよく考えるように諭した。

当夜「例えば君たちの裸を俺が見るとしよう。実は男性として興奮できないんだ。同性が同性の裸をお風呂で見かける位の感覚でしかないんだ。かといって俺は衆道の気はないからね。俺の体が治らない限り俺の伴侶となった者は子を産めず、女性としての悦びを知る事無く朽ちる可能性があるんだ。俺には伴侶となった者を他の男に委ねるつもりもないから、俺の伴侶になるという事はそういう覚悟がいるんだ。勿論俺の体を治す為の手段を見つける旅をこれからも行うんだけどもね。だから俺が君達に手を出そうとしないのは魅力を感じないわけでも、女性に興味がないわけでもないし、俺の体の問題なんだ。紳士でも何でもないんだよ。素直に君達を綺麗だなと、可愛いなとは思うけど、触れたり、胸を揉んでみたりしたいという普通の男が抱く性的な欲望が涌かないんだ。俺の体が正常なら既に君達を俺の女にしている自信があるよ」

 そう言うと二人とも当夜の手を握り締めて

レグナス「薄々そうじゃないかとは気が付いていたんです。ルナ姉様に対する対応とか見ていて感じていました。それでも私達は当夜の事が好きなんです。だから一緒に添い遂げさせてください」

 当夜は彼女達が自分から離れるだろうと思っていたが、そうではなかった。既に感づかれていて、どうもこの思いは変わらないようだ。別の選択肢を、以前から考えていた最終手段をもってして、彼女達の幸せを考える必要があると強く考えていて悩むのだった。

 当夜は考えさせて欲しいと一旦回答を保留した。
 一人で少し考えたいからと二人に少しお金を渡し、何かデザートでも食べておいでと言うと、喜ぶ二人を見つつまだまだ子供だなと思うのだ。当夜は苦悩の表情を浮かべながら、あちこちで食料を売っている店で食料を買い、収納に入れていくのであった。

 また旅に備えて馬車と馬を購入した。人を運ぶ為の屋根の付いたのだ。中古で200万したがルナが珍しく払うというので、支払いはルナが行った。

     そして宿に戻り、馬車を預け夕方になっていた為、皆で食事をし、出発は明後日でどうかと話をして風呂を入り解散となった。 当夜は決意を新たに眠っていくのであった。   
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