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第2章

指名依頼

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 朝当夜が目覚めるがいつもの朝だった。日常の普通の今の当夜達にとっては何の変哲のない平和な朝だ。
 相変わらずシャクラ達にアーンされている。最近当夜は椅子から落ちなくなってきた。正確にはバランスが崩れて落ちそうになるのを抱き留められているのだ。
 当夜は彼女達に滅多にハグをする事がない。昨夜はついアモネスに抱きついたが、当夜に変化が生じているのだ。当夜に抱きつきたいと彼女達は思い、その為、わざとふらつかせ、抱きつく口実を彼女達は作っている。

 シャイなのだ。面と向かって抱きしめて欲しいと、自ら抱き着きに行けなかったりする。

 当夜は乙女心をちゃんと理解出来ないので、可哀想な事をしているのだったりする。

 朝食の後、馬車でギルド前に向かう。
 待ち合わせがギルドだったからだ。
 ギルドでピスト夫婦の馬車と合流し、二台の馬車でウツロに向かう。
 早馬で2時間、普通の馬車でも3時間程度の距離だ。盗賊が出没するには王城から近過ぎるので、この数年は王城~ウツロの間で盗賊の類の出没記録がない。

 街に着くと先ずは領主の館に向かうと思いきや、当夜に譲渡する土地を見に行く事となった。

 街の中心部から少し外れるが、ダンジョン寄りで、ピストの言うにはこれから発展するエリアという。

 土地は開墾中のエリアだが、街の入り口からも中心部からも徒歩で20分位だが、ダンジョンまでは10分位だ。離れていると言ってもその程度の距離である。

 森に近く未開墾だった為広い土地が確保できると言う。
 驚いた事に当夜達に用意された土地は500坪位になるのと、既に柵で囲われれいる。
 おまけに屋敷も建ててくれると言う。
 今回のダンジョン攻略の報酬というのと現金で100万Ḡを別途くれる。
 そして一代限りの貴族で、一応準貴族となる。

 当夜は恐らくウツロの街が本拠地となり、王城のあるブリタニアの街に頻繁に行く事となる。その為、今の家が別宅として滞在用になるのだろうと半ば確信していた。
 報酬は王に気に入られたのと、ピストの感謝の印だった。
 これからの発展を考えると些細な出費だそうだ。ダンジョンでの協力を要請されるのだろうが、当夜にとっても有り難い話だ。100階層級にまでダンジョンを拡張したいから所謂WINーWINの関係になる。

 何でも冒険者ギルドの出張所と宿屋を当夜達の屋敷のすぐ近くに作るという。
 屋敷はそんなに大きくはないが、実は今のピストの屋敷より大きいと。ピストの方もこのエリアに屋敷を建てて移るという。つまり当夜達の屋敷の辺りが今後のこの街の中心部になる。

 風呂と厨房がしっかりしている設計という。恐らくこれから弟子入りしたり、クランの設立があるだろうと、小さな貴族の屋敷という感じになると。

 三人娘は土地を見て屋敷の話を聞くと呆然とし、報酬だというとレグナスが気絶してしまった。

 そしてダンジョンに何故か向かった。
 ダンジョンに着き、入り口でピストと話をしていると馬車から一人の女性が出てきたようだ。ローブを纏い顔が見えないその女性は当夜達の方に向かってくるのであった。

 そして突如当夜に後ろから抱きついてきたのだ。そしてぎゅっと密着してきて手で目を覆い、耳元に

女性「だーれだ♪」

 突然そんな事をするのだ。当夜は固まり、ルナは面白そうに見つめ、シャクラはわなわなと震えている。アモネスは口を押さえ笑いを堪えている。そしてレグナスはポカーンと口を開けていた。ピストはというと驚いて呆気にとられている。因みに奥様はあらあらあの子ったら!積極的ね!とのほほんとしていたりする。

当夜「うーん誰でしょう。昨日食事を一緒にされた、国王様のお孫さんのどなたかでしょうか?」

 当夜は既に手の感触から誰か分かってはいるが、意地悪をする。当夜がそう言うと語尾が強くなり

女性「だーれだ?」

当夜「ど、どちら様でしょうか?」

女性「だあれだ!?」

 どんどん口調が鋭くなってきたが、諦めるのは悔しいので

当夜「綺麗なお姫様」

女性「惜しいけどそれじゃあ駄目よ。だーれかなー?」

当夜「負けました。こんにちはケイトちゃん」

 当夜の目を覆う手に力が入り、更に体をグイグイ押し付けている。

当夜「い、痛いよ。ケイト姫」

ケイト「ケイトって呼んでくれなきゃ嫌だもん」

当夜「きのうぶりだね。ケイト。こんにちは」

 急に当夜の頭を撫でだして

ケイト「やればできるじゃない。改めまして。ケイトです。御機嫌よう!当夜様」

当夜「あれ?俺はケイトって呼び捨てだけど、君からは様付なんだね」

ケイト「ええ、当夜様は当夜様ですわ。早速ここのマスタールームを見せてくださいまし」

 当夜はピストとパーティーメンバー全員に、一時的なマスタールームの入室許可の為の資格を設定し早速マスター室に入る。一緒にギルドのサブマスターも来ていた。
 ケイトはサブマスターにしているので、いつでも入ろうと思えば入れるのだ。但し、ダンジョンに来ないと入れないのだ。コンソールも一度は直接触れる必要がある。
 他のマスターの場合、冒険者を装ってダンジョンに入り、人影の無い所でマスター室に入っている筈だ。マスター室に入らないと溜まった魔石や死亡者のアイテムをゲットできないのだ。こればかりはどうしようもない。

 普段のダンジョンの設定や、ドロップの確認はコアと、サブマスター用の小さいコアの分身体が有ればマスター室に入る必要はない。但し、階層拡張やダンジョンの難易度設定はコンソールで直接操作する必要がある。その為にサブマスターが今回来ている。但しケイトはギルドでのダンジョン追認探査が終わった後だと思っていたから当夜は驚いた。
そしてケイトの当夜に対する接し方に戸惑っている。昨日初対面だろうにと。
 因み死亡時の設定はマスターにしかできない。

 二人目のサブマスターの設定も終わって、ダンジョンで特にやる事が無くなり、領主の屋敷に向かう。
 昼なので当夜達は昼食後、ブリタニアに戻る事となる。

 お昼は街で唯一のレストランで食べる事となった。但し、サブギルドマスターは急ぎの仕事があるからとブリタニアに帰っていった。ピスト達が乗ってきた馬車で帰る事となり、レストランでピスト達を降ろすと馬車で行ってしまった。そして残りの面子でレストランに入っていった。
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