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第1章

当夜の苦悩

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 宿に帰り当夜は、女性陣を風呂に順次入らせたが、風呂を出た後が大変で、全員下着姿なので思わず『何故こうなった?』と呟いていたのだ。
 当夜が医者【治癒術師】と判断して着用のアドバイスが欲しいのと、間違えた着け方をしていないか確認して欲しいと、懇願されたのだった。
 全員の着こなしのアドバイスを行った後、下着を着けた皆で見せ合いをしていたのだ。
 当夜は耐えられず風呂に入る事としてその場を逃げていったのだった。先のお店とは訳が違う。あの場では医者の延長で、患者として見れたが、今は違う。プライベートな時間だから、いくら不能になっていても、女性として意識してしまう。彼女達の下着姿を見ても興奮出来ない自分が、男として惨めだと感じたのだ。

 実は下着姿を見せているのは3人が下着を買う時に、ルナに当夜を好きになってしまったと打ち明けて相談した結果で、後に3人の美少女は相談する相手を誤った事に気がつくのだが、三人共当夜に惚れてしまった。しかし鈍感なのか全く気が付いてくれない。そう言うとルナが悪魔の囁きで

ルナ「当夜様のお国では15歳というのは子供なのです。今日買った下着を着けて知識がないから教えてと言い、見せつければ貴女達のボディーラインがあれば十分女性として、大人の女性として認識して頂けると思ういますよ。風呂上がりに行ってみてはどうですか?当夜様が受け入れるなら、三人でお嫁さんにして貰えば良いのですよ!」

 三人が頷き、下着姿のお披露目を実行に移した結果、当夜が恥ずかしがり風呂に逃げたのを見てルナが

ルナ「ね、言った通り意識したので逃げていきましたよ!もう一押しだと思いますよ!」

 当夜が風呂を上がると4人が下着姿で決めポーズをしている。

アモネス「似合っていますか?」

当夜「うん目のやり場に困る位に魅力だよ。でもね、未婚の女性がそんなはしたない事をしてはいけませんよ。今日は下着を買った嬉しさのあまり、ついついだと大目に見ますが、下着姿はちゃんと結婚を意識した相手に見せるまで取っておきなさい」

 そう言うと当夜は布団に逃げ込んでいった。

シャクラ「だから見せてるのに。鈍感ねばか」

 シャクラがぼやいたが、当夜には聞こえない。正確には聞こえなかった事にしているのだが、一緒にいる三人共に頷いていたのだ。そして当夜は涙を流していたのだ。不甲斐ない自分と、おそらく自分に付き従うであろう三人に申し訳なく思っての涙だ。

 彼女達は当夜の事をちゃんと分かっていなかった。これが年齢からくる経験のなさであり、当夜が子供扱いしている最大の理由でもある。自分の気持ちで一杯で、相手の本当の気持ちを考察できないのだ。既に当夜は彼女達の事を彼女達が思う以上に好きと言うより愛してさえいた。挑発する必要がなかったのだ。今は男としてドキドキしたり、性的に興奮できない為?、当夜は苦悩し苦しんでいたのだ。

 当初シャクラ、アモネス、レグナスの達三人の当夜に対する印象は悪かった。レグナスはそうでもないが、アモネスとシャクラは嫌悪すらしていたのだ。
 ルナに何かしらの拘束力をもっていて、立場を利用して手籠めにしていると思い込んでいたのだ。しかし、いち早く違うと認識できたのがレグナスで、三人共にルナと当夜が恋人同士ではないと早々に認識していたのだ。

 初心者講習の時に彼女達がルナに近付いたのは、単純に綺麗なお姉さんに対する憧れで、少女の、大人の女性に対する憧れからの行動に過ぎなかった。

 ルナと当夜に接しているうちに、二人の複雑な関係に気付いていったのだが、最初はルナを悪辣な悪い奴の手から救いたいとの思いから、ルナにパーティーを組んで欲しいと申し込んだのだった。
 そして気が付くと皆、当夜に命を救われていた。少女特有の大人の男性に対する恋い焦がれる感じや、ルナの策略もあり、段々当夜に惹かれていったのだった。そして父親の姿をそこに重ねているのだ。

    しかしながら、異世界からの召喚者や強者に対する憧れではなく、レグナスの裸を当夜が見たが、ボス部屋での治療時に当夜が見せた対応が紳士そのものであり、それこそがアモネスとシャクラが当夜に惚れた最大の決め手だった。女性と分かると直ぐに肌を隠し服も自分のを脱いで着させたりとあり得ない位の紳士だと思ったのだ。

 当夜を男性として意識したのは、ルナにからかわれて胸を揉んで欲しいとお願いした時に、下衆な事をせず諭されてからだった。
    けれども、レグナスは模擬戦の後の講師とのやり取りでキュンとなってしまい、男を装い騙している事の葛藤からどうしようもないレベルで惚れていったのだ。
 しかし悲しいかな当夜は彼女達に手が出せない。倫理観とかではなく肉体的に無理だからだ。自分達に手を出して来ないから余計に振り向かせたいと燃えてしまっているのだ。子供扱いされて女性として見られていないと思うので、余計背伸びをしたがり、見向きもされていないと思い込み更にと、無限ループに陥っているのだった。

 実は当夜は、既に彼女達が自分に惚れていると言うのは重々承知しているのだが、肉体的に繋がれないので、手を出していないだけなのであって、決して鈍感でも紳士でもないのだ。思いと行動は別なのだが、結果的に紳士と見られていて、少女達の心を捕えてしまっていた。彼女達からとても大きな好意を向けられていて、逃れられない状況になってしまっているのだった。断じて朴念仁ではない。大事な事なのでもう一度言う、当夜は決して朴念仁ではないのだ。
 ちなみにドール2で自分を動かしている状態で女性の胸を揉んでも、リンゴを掴んだな、自分の脚を揉んだな位の認識しか持てず、性的な満足感は0なのである。先ほど布団に逃げ込んだのは、性的に反応していない事を悟られない為に逃げたのであって、少女達が思う理由とはまた違っていたのだった。 
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