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第1章

宿

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 当夜達は、特に道に迷う事も無く無事目的の宿に辿り着いた。
 宿は二階建てで古いが清潔感のある趣の凝らされていて、好感が持てた。
 部屋に風呂が有る部屋を希望するとこの宿には一部だが風呂付きの部屋が有り、確認して貰うと空き部屋が有った。1泊銀貨15枚になり一週間分を払い部屋に行く。

 宿にて服屋が何処にあるか教えて貰い服を買い揃える事にし、夕方の為急ぎ服屋に向かった。

    店の大きさは一般的な地方のコンビニの半分位で、概ね都心部の小さい店舗位だ。特に置いている商品にこだわりがなく、一般人が普通に着る服が買える程度だった。

  冒険者向けの服を各々二着と靴を買った。まだ時間が有るので防具宿で安い革鎧を買ったが、手持ちのお金は殆どなくなった。明日の昼食分位しか残らなかったが、宿は朝晩食事を含んで居たので大丈夫そうだった。初心者講習の後にギルドにて報酬を貰うから何とかなると当夜は判断していた。
 
 
 当夜達は宿の部屋に戻り、取り急ぎ荷物を置いた。改めて部屋を確認したが部屋の大きさは10畳位で、椅子、机、ダブルベッドがあり、風呂とトイレは別々。水道は有るが、こちらの世界はトのイレは下水直結で、桶に貯めた水で流すのが主流だった。

 荷物を置き、部屋を一通り確認した後はお腹が鳴った事もあり、風呂の前に食事をする事になった。ルナは食事の食べ方も分からず、当夜が半ば食べさせる事になった。食器の使い方も教える事となりとても大変だった。ルナは知識が合っても経験値がゼロなのだ。そう、まるで雛の餌付けだった。

 ルナはトイレの使い方が分からないので改めて教えたのと、人間の体がよく分からないと言うので、急遽保健体育の時間になってしまった。

 風呂場でお互い裸になり、当夜は女性と男性の体の違いを教えていた。
 体の感じ方の確認をし、綺麗な女性の裸をまじまじと見れたり、触れる事の喜びは一切無く、親が小さな子供の面倒を見ている感じで大変だった。
 当夜はドール2での感覚がよく分からず、ルナに体のあちこちを、何処を触るか言いながら触って貰った。当夜もルナのあちこちを触り、お互い体の感覚を覚えるようにしたが、やはり当夜は性的な反応が出来なかった。何をどう頑張っても当夜の男性器が大きく成らなかった。裸のルナの体を見ようが、胸を触ったり色々試した。性的に興奮しないかルナが手伝うもやはり無理で、当初の見解通り当夜の体を治す事が出来ないと、彼女に当夜の子供を生んで貰う事は出来ないと理解した。強制的な禁欲生活を送る事になるのだが、体を動かす術が見つかっただけでも有りがたかった。
 しかし当夜はショックだった。目の前に絶世の美女の裸が有るのに一切欲情しないのだ。
『裸の美女がいるなあ』
 程度に無感情で認識するだけだった。お店に買い物に行き、『おっさんがいるなあ、小学生がいるなあ』と同列な感覚だった。普通の男だと絶世の美女の胸が目の前にあれば揉んでみたいと思うが、一切そういう感情が沸かなかったのだ。


 当夜の方で分かったのは痛みに鈍感だと言う事だ。腕や背中を強く叩いて貰うも痛くなく、何かが当たったな位の感覚なのだ。
 それと当夜はルナに、俺達は恋人としておくようにお願いした。
 
 当夜「俺の呼び名をとうやと言うんだよ。恋人だと名前を呼び捨てだからね」

 そう言うとルナは頷いていた。

 風呂で背中を洗いあい、当夜はルナに対してルールを作った。
 当夜以外の男に裸を見せてはいけない。
 キスを人前でしない。
 当夜以外にキスをしてはいけない。
 外では当夜の許可無しに服を脱いだり、スカートを自分のも他人のも捲らない。胸を露出させない。
 また、他の男に安易に胸やお尻を触らせない等の常識を教え、男性の股間は人前では服を着ていても見たり触ったりしたらダメと念を押した。
 それと、性行為の大雑把な仕方と人前でそういった事をしたり話すのもダメなのと、中学で行われるような性教育までする羽目になり、当夜は精神的に疲れたのだ。
 勿論当夜の許可なしに性行為をしてはならないと、ルナにきつく言いつけた。

 風呂のお湯は、お湯生成の魔道具に魔力を注入するか魔石をセットする。普通の者は魔力が足らない為、魔石を買い魔道具にセットして魔石の魔力を注ぎ込みお湯を作る。その為、殆どの者は自前の魔石が無ければ宿で魔石を買うそうだが、当夜が注入したらあっさり行けたかのだが当夜は
『俺の魔力は恐らく桁外れなのだろう』
 と自問自答していたのだ。

 寝る前にルナが大事な事を伝えてきた。人形使いの、ドールシステムの特殊な魔力の補充が必要となり、当夜の場合必ずキスをする必要が出てきた。ルナがチャージをと言っていたのがこれだ。食事以外にもこのチャージというのが必要で、やらないと魔力が枯渇し、三日で動く事が出来なくなり一週間程で死ぬだろうという。もし当夜が死ぬと彼女は長くても一週間しか生きられないというのだ。召喚ちょく後は落下中で、無事に着地する為に召喚時に魔法を使い、持っていた魔力の80%以上を使ったという。その為に今は魔力が枯渇寸前で行動不能になる前に急いで魔力の補充を行ったのだ。  

 おでこにキスをしておやすみなさいの挨拶をし、眠りに着くがルナが横になると直ぐに寝たのが分かったが、当夜も疲れているのか直ぐに意識を手放した。
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