上 下
240 / 241
第3章

第240話 ぺったんこは世界を救う

しおりを挟む
 ドラゴンがこちらに向かって飛んできたが、俺はお構いなしに上空に上がる。

 みっちゃんに予め棒を仕込んだ投網を渡しており、その両端はロープが付けられている。
 ドラゴンがニーナの方に向かって飛んでくるので、ロープを持って左右に散り、ここぞと言う場面でロープを引いて網を起こす。

 網でドラゴンを食い止めるのではなく絡める為なので、網に突っ込むとロープの先に付いた石を反対側に投げる。

 すると、どうにもならないレベルでドラゴンが絡まり、なすすべもなく転がっていく。
 そしてのそ上から・・・・ヒューン・・・ドッゴーン!

 勿論ぺったんこさんですわ!

「もう出てこないのかな?」

「あれじゃあないですか?」

 建物の入口から2足歩行の魔物が出てきた。

 建物は窓もなくただの柱にしか見えないが、よく見るとはめ殺しの窓がなくもない。

 魔物は次から次へと出てくる。

「元を断たないと駄目だな」

 俺達に近付いてくる飛行型の魔物はアイリーンが弓やロケットランチャーで倒している。

 取り敢えず建物の真上に行き、天井まで上がる。

「あーあー!?聞こえているか?絶対に建物へ近付くなよ」

「聞こえたわよ!早くして!あまり長い事持たないわよ!もう!数が多いわよ!」

 みっちゃんから悲痛な声が聞こえる。

「よし、行くか?」

「ぺったんこですよね?」

「そう。3,2,1,0」

 ビューン・・・ドッゴーン!

 頭の中に謎メッセージが来た。

【魔王討伐完了を確認しました】

 実に呆気なかった。

 建物ごと押し潰したのだ。死んだ事に気が付かないうちに死んだだろう。

「ぺったんこさんお疲れ様です!」

「さあ、みんなを助けに行くか!」

 魔王討伐はあっさり終わったのだが、これからは残った魔物の掃討戦だ。

 ニーナは風の腕輪を使いウインドカッターを繰り出し、シャルルは杖からファイヤーボールやアイスボールを中心に放っており、時折フレイムランス等を織り交ぜている。

 みっちゃんは重火器をぶっ放しており、恍惚に浸っている。

 アウィンはセレネと近接戦闘を繰り広げており、アイリーンは俺の背中の上からスナイパーライフルで倒していく。
 今の俺は運搬屋だ。

 俺は着地すると建物を押し潰した岩側から斬り込んで行く。
 アイリーンはと言うと岩の上にて寝転がり、やはりスナイパーライフルで魔物を討ち取っていく。

 やがて動く魔物がいなくなり、俺は建物を押し潰した岩を収納した。

 すると背後から先程の女が絡みついてきて股間を弄る。

 俺が剣を振るとさっと下がり、俺に跪いた。

「主様、ご命令を。伽がよろしければこの場で致しますが、ベッドがありませんので後ろからになるかと思いますが宜しいでしょうか?」

 すると裸同然の服だったが脱ぎ出した。

「ま、待て。脱がなくて良い。お前は何者だ?俺に下ったのは分かるが」

「失礼致しました。このダンジョンの管理人を致しておりますサキュバスのコリナルスと申します」

「俺がなぜ君の主になった?」

「魔王を倒したからです。ダンジョンマスターを殺した者が新たなマスターとなります。その者がこのダンジョンに付随する私を配下におく事になります。前マスターの魔王を殺した貴方様が私の新たなマスターにございます。どうぞ私めに精をぶつけてください」

「それは別にいらないんで。それよりもこのダンジョンの事についてだが・・・」

 1000年前に魔王が作ったダンジョンで、このサキュバスは魔物から精を貰い生き永らえてきた。
 話を聞くと少し工夫のあるダンジョンにして、冒険者を鍛える事が可能だった。

 面倒だからこのサキュバスにそのまま管理を任せたが、入り口までの道を整備して稼ぐ事の可能なダンジョンとし、町を作る事にした。

 次に魔王が現れたとしても根城にされないように。
 ただ、サキュパスも生き残っていて、このサキュバスの管理に入った。

 魅了は禁止し、襲われた時の自衛以外は人を傷付ける事を禁じた。
 数ヶ月後面倒だからと運営を任せた事を公開した。

 エロの殿堂と化したからだ。
 ある程度魔物を討伐しないと外に溢れるので、冒険者に入って貰う必要がある。
 だが、あのサキュバスは自らが倒した魔物の魔石を換金した貢献度に応じ性的なサービスを提供した。
 プラスして少しの精を吸う事を報酬とし過激なオプションが話題になり、連日盛況だった。
 各種ドロップアイテムなどで町は潤う事になる。

 その為今更止められなかったが、俺は一大性産業の町を生み出してしまった。
 冒険者達は目をギラギラさせてエッチを目的としダンジョンにこもるが、その冒険者を相手にしたサービスが大盛況となり・・・大陸最大の町になったのはまた別のお話。
 やはりエロのパワーは凄いです。

 真面目な話として昔ビデオデッキが普及したのは、アダルトなビデオを見る為に買う者が多く、一気に普及したのだとか。
 また、この町のお陰で性犯罪が激減しており、必要悪の体をなしていた。
 だから俺が死んだ後もそのまま機能し続けたとか、後の裏歴史書に犯罪件数を半減させた性の伝道師となり、俺の死後トチロウタウンに改名されたとかなかったとか・・・

 そんな未来が待っているとはついぞ知らず、まずは瓦礫をのけて、ドロップ品や魔石を回収する。

 そうして魔王の魔石を回収した後はダンジョンを去り、クマーシャルへと凱旋するのであった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow
ファンタジー
 日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】  変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。  【アホが見ーる馬のけーつ♪  スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】  はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。  出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!  行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。  悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!  一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!

外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。 しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。 『ハズレスキルだ!』 同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。 そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

俺だけ異世界行ける件〜会社をクビになった俺は異世界で最強となり、現実世界で気ままにスローライフを送る〜

平山和人
ファンタジー
平凡なサラリーマンである新城直人は不況の煽りで会社をクビになってしまう。 都会での暮らしに疲れた直人は、田舎の実家へと戻ることにした。 ある日、祖父の物置を掃除したら変わった鏡を見つける。その鏡は異世界へと繋がっていた。 さらに祖父が異世界を救った勇者であることが判明し、物置にあった武器やアイテムで直人はドラゴンをも一撃で倒す力を手に入れる。 こうして直人は異世界で魔物を倒して金を稼ぎ、現実では働かずにのんびり生きるスローライフ生活を始めるのであった。

処理中です...