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第3章

第221話 町の現状

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 朝全員裸でクッチャクチャというような事もなく、旅に適した服で寝ていた。

 何が有るか分からないから直ぐに行動出来る服で寝ていたのだ。
 小屋は狭いので布団を片付け、代わりにテーブルと椅子を出して朝食を済ませる。

 幸い昨夜は平和そのものだったが、見張りは誰がしたのだろう?
 俺は熟睡していたぞ!

 野営地を離れて少し進むと街道に出た。暫く進むも人の往来が無い。
 道に草が生えていないから間違いなく使われている街道になるが、人とすれ違わない。

 1時間程進むと町が見えた。
 半壊しているが、人はある程度いた。

 早速事情を聞こうと思ったが・・・俺達を見ると逃げ出し家に入ると戸口を固く閉じてしまった。

「悪い。ニーナ頼む!」

「頼まれるのは良いけどさ、なにすんだよ?」

「名前が売れているだろ?調査に来たとして領主の所に行くんだよ」

「なるほどな。分かった」

 領主の館は大概町の最奥にある。
 激しい戦いの傷跡の残る町の中を進んだが、町の最奥にあったのは瓦礫の山だ。

 兵士と思われる者にニーナが声を掛けた。

「そこの兵士。私は剣聖ニーナだ。少し話を聞きたい」

 逃げようとしていたが、ニーナだと聞いて止まった。

「えっ?まさか!」

「嘘をついてどうすんだ?国境の町がやられてクマーシャルから調査に来たんだよ」

「国境もですか」

「ですがというと、あちこちやられたんだな?」

 兵士がキョロキョロしているので人目のつかない所に移動した。

 囲まれているので観念したように話してくれた。

 3週間ほど前に王都は魔王に支配され、歯向かうなと言われている。
 この町の領主も瓦礫の下にあると。
 何がしたいのか分からないが、よそ者に話すと敵対行為と見做されかねないとなり皆警戒している。

 どうやら剣を探しているが、それさえ献上したら引き上げると言われているが、無いものは無いと言っていた。
 剣の名前はグラムだそうだ。

 兵士による見回りで犯罪者を取り締まるのが精一杯だと。
 王都には数体のドラゴンがおり、名のある冒険者は立ち向かったのだが、1頭を倒すのが精一杯だったとの事だ。

 ここから王都へは徒歩で3時間位だと言う。

 俺達は食料を少し渡してやり、町を後にした。俺はどう対処するか考えたが、先ずは王都の状態を調べないと話にならず、町を出てから少しして道を外れた所で魔導通信でクマーシャルに伝えた。

 そこからの足取りは重かった。

 途中で見た町や村はやはり半壊しており、領主も村長も殺されており、住民も半数近くがドラゴンに殺されていた。

 途中休憩を挟んだが街道を進む者とは出くわさず、魔物すら出なかった。

 そうしていると王都が見えて来たが、黒いモヤに包まれている感じがするので、皆顔色を変えざるを得なかった。

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