異世界でぺったんこさん！〜無限収納５段階活用で無双する〜

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第３章

第178話　セイドリック新王と皇帝

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　深刻王の様子が明らかに変だった。
　しきりに先程やっていたメイドを呼んでおり、会話も成立しない。

　仕方が無いので、引き離して別室に軟禁しているメイドを連れてこさせた。

　その姿を見るなり胸を開けさせ、チュパチュパと赤子のように吸い出したのだ。
　目の前に家臣や俺達がいるにも関わらずだ。

　先程の情事を見ても誰も何も言わず、驚く事も無かったからおかしいなとは思っていたが、いよいよもって理解できない。

　今は騎士団分隊の詰め所の会議室にいる。
　捕らえた家臣達がそこにおり、ニーナとセレネには入り口を守ってもらっている。

　救出した高校生達は別室に集められており、みっちゃんとアイリーンが面倒を見てくれており、２号は何かあった時に俺に伝える為に俺の側にいる。

　また、元々高校生達を保護していた敗戦側の王子を開放し、テーブルに座ってもらっている。

　どう見ても深刻王は気が触れている。
　深刻王の深刻とは、その精神の事だとしか思えない。
　つまりこいつは傀儡だ。
　となると、操っている奴はどこかにいるはずだ。

　俺は目があった１人の家臣に訪ねた。

「こいつの状態は何だ？とてもではないが、為政者のそれではなく、精神異常者だぞ。傀儡だよな？」

「はっ。こ、この御方は先代国王陛下の次男にござまいます。また、こちらにいらっはいます御方が今回内戦の敗戦者となる３男に当たります。その、新国王陛下はその、担がれて、傀儡になっておりまふ」

　慌てているのか、精神的に追い込まれているのか、カミカミだ。

「落ち着け。取って食ったりしないぞ。で、実質的な深刻王を操り支配していた者はどこだ？」

「先程の混乱に乗じて逃走いたしました」

「そいつが俺の同胞に隣国の国王を殺すように強要したんだな。それと長男はどうした？何故王座を争ったのが次男と３男なんだ？」

「はっ。長男は数年前に王位継承権を放棄し、出奔しております」

　そこからの話は呆れるしかなかった。
　深刻王は愛するメイドを人質に取られ、よくわからないまま国王になるべく次男と戦争をした。
　勿論横に立つ奴がおり、そいつに全権を委ね飾りの王になっていた。

　一応謁見の間にて謁見をするのは何とかしていたが、短時間しか持たなかった。
　出来た褒美にメイドと宜しくやれるようにしており、黙って玉座に座り、摂政となった深刻王の飼い主に言われた事をオウム返しのように発していた。
　幼稚園児以下の精神しか持ち合わせておらず、それで３男が担がれていた。
　だが、傀儡にする者が現れ、３男は破れたのだ。

　俺はこいつの廃王を決めた。
　今のこの国はというと、あっさりと俺の手中に落ちた。
　それ程体制が脆弱になっていた。

　俺が思案に耽っているとシャルルが先走り気味に仕切り出した。一応交渉を一任しているので特に止めなかった。

「私はレオン様より交渉の全てを委譲されましたサルベル国のシャルルです。皆分かっていると思いますが、今この国はレオン様こと栃郎様の占領下にあります。しかし、レオン様はこれからやらねばならぬ事が多々あり、この国の実質的な政事をこなせられません。ですから、先代国王の次男たるセイドリックにこの国を預けます。現国王を廃王とし、セイドリックに次期国王になる事をレオン様の全権代理として命じます。レオン様には皇帝として、まずは当トライデル王国の象徴になって頂きます。レオン様、宜しくて？」

　俺はこの世界の政治に精通していない為、シャルルに一任しておりよそ事を考えていたのと、体調が良くなくちゃんと聞いていなかった。

「分った。シャルルの話に同意するよ」

　何故か拍手が起こる。

「それでは今後の活動に支障が出ますので、皇帝の名は栃郎とし、冒険者名のレオンというのは、当面の間は我らの中でのみの秘密にしたいと思います。アーリバン国が栃郎様達を召喚した時に魔王が発生したはずです。証拠となるのは既にドラゴンが活動している事です」

　ざわめきが起こる。

「正直に申し上げますと、この国の国王が誰になるのか、誰が統治するのかは栃郎様にとってはどうでもよろしいのです。既に他国に拠点があります。ですので、基本的に国難の際に助けてくれるのが栃郎様になります。また、シャルワルー国はご存知のように真の勇者信奉国であり、サルベル国も恐らく同様になります。お分かりかと思いますが、サルベル国を属国としているクマーシャルはトライデル～サルベル国が統一されたと知ると、栃郎様に降るでしょう。各国の国王には総領事として国王時代の領地の統治をそのままお任せします。戦争が無くなり寧ろ国力を付け易くなるはずです・・・」

　俺についてのとんでもない話がなされ、しかも全会一致で受け入れられていた。
　そしてセイドリックなる次男が深刻王から王を引き継ぐ事になった。

　深刻王はメイドの同意もありそのメイドを妻として城の１つの部屋に元国王として押し込まれる事になった。

　俺はというと、考え事というより、魔力のつかい過ぎによる魔力酔でフラフラになり、話し合いの最中にいびきをかいていたのであった。

　後で思い知るが、人まかせは良くない。
　任せた以上結果は受け入れなければならないからだ。
　シャルルのそれは斜め上どころではなかった。俺へ微妙に配慮をしてはいた。　
　シャルルのその見た目だけではなく、手腕にも惚れ込んでいたのだが、いつも驚かされる・・・

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