異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
58 / 241
第1章

第58話 アーリバン国での提案

しおりを挟む

 俺が直接奴隷にした3人はフリオールの部下で、今は別の馬車に乗っている。

 フリオールが語ったその後の話はこうだ。

 アーリバン王国は混乱を極め、俺達が召喚された日の夜になり漸く会議を開いたと。フリオールも俺達の顔を直接見た者として会議に参加していた。俺達の事を犯罪者とし、国中に手配書を回す事になった。翌朝隣町の領主の館から全ての町に対して、魔道具による一斉連絡を行う。
 その内容は各町の入口に手配書を掲示させる事だった。本来であれば城からその連絡を行うのだが、その魔道具が有るのは王都の場合城にのみある。つまり王都にある唯一の通信手段の魔道具は城ごとなくなってしまったのだ。

 その日の夜、国王は国王派の公爵の屋敷に身を寄せる事になった。
 フリオールはその屋敷にて行われた御前会議の場で隣国に俺達を捕らえに行く提案をし、その為の許可と通行許可証を取得した。

 俺が隣国のクマーシャル王国に逃げ込む可能性が高く、自分が捕えに向かうと。その為の偽装として奴隷を全員引き連れてクマーシャル王国の王都に売りに行く事にするとした。偽装の為に非戦闘奴隷を売払い、その間に戦闘奴隷を使って逃亡者を捕まえる。奴隷を全て売り払うには数週間掛かる見込みになる。

 奴隸売買をした実績を残すのは、それはあくまでも逃亡者を捕える為の時間稼ぎなのだが、正式な奴隷商が行商をしていれば、それが偽装行為だとまずバレないだろうと。兵士だと活動出来ないが、奴隷の売買は元々各国との間で行われている事から特に不審がられないはずだ。

 今回は屋敷を空にする必要があり、フリオールの商会の職員全員を連れて行き、家族も連れて行く。家族全員で来たとなれば、嘘偽りがないと疑われるリスクが限りなくゼロになるだろうと。
 城を失った今、使える屋敷もほぼ無く、無理に貴族から接収すると遺恨を残す為においそれできない。国王も貴族の屋敷に身を寄せるのは肩身が狭く、何かと心苦しいのだ。フリオールが捕縛の旅にでている間、国王がフリオールの屋敷を使えば万事丸く収まるとした。その為にクマーシャル王国に奴隷を売り、別の奴隷を仕入れる許可が欲しい旨のお願いをしたのだ。あくまで別の活動をしている事が露見しない為の偽装だとかなりくどくどと説明したのだという。チョロかったらしい。通常時なら絶対に許可は降りないし、かなり追い込まれており、まともな判断ができず目の前の餌に飛びついたのだろうと言うのだ。

 勿論裏切るのではないのか?と家臣の誰かが言ったのだが、その時は屋敷を没収すれば良いと伝えた。例え今いる全員を売り捌いても、屋敷の費用とは釣り合わな過ぎるから、屋敷を失う愚は起こさないと伝えた。
 確かに逃亡者を捕える事は最優先事項で、揉めている隣国に兵士を送り込めないので案外あっさりと許可が降りた。国王もどうやって捕縛する者達を送り込むか思案しており、正に渡りに船だった。
 屋敷は先祖代々受け継いできた資産だった。
 そうして許可が降りた後、馬車と食料だけは用意して貰い、城が消えた翌朝に出発した。溜め込んだ金品、宝石類は奴隷の脚や服に仕込み、馬車の荷物としては怪しまれない範囲の金品しか乗せなかった。また、戦闘奴隷の装備品として国宝級のアイテムを装備させて、実際は戻るつもりがない事がバレないようにした。また、家族帯同は隣国の警戒を緩める為に必要だとし、身辺を調べられると家族構成がすぐにバレる。家族を国元に残していると、家族を人質に取られていると怪しまれるから、密命を帯びていると間違いなくバレると納得させた。確かに過去にそれで間諜だと露見した事が多々あり、家族帯同を認められた。

 屋敷の使用人は一旦暇を取らせるとした。とはいえ、それらの人員も連れて来ており、大所帯になっていた。

 混乱していたとはいえ、この提案を皆ありがたがり、更に困っている屋敷の確保と一石二鳥だった。そしてフリオールは忠義の者として国王にハグまでされたのだと。城が無くなったから、国王を筆頭に家臣達も正常な判断ができなくなったようだ。

 フリオールは名目上は一行の主の為、旅の間はそのように振る舞っていた。また、奴隷全員に本来の俺からの指示を伝えるも、自分も奴隷になっている為に奴隷開放が出来ず、もう1つの指示である隣国の王都に行き、俺に会いに行く事を伝えた。俺なら開放ができるだろうと伝えたとの事だった。

 そうして俺達は馬車の人となり王都に向かっていくのであった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...