異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

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第1章

第53話 待ち伏せ

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 丘の方を見ると、まだ何人かいたようだが姿が見えなくなった。周りを見ると、奴隷商が赤毛の女剣士は、つまりニーナが味方だと皆に告げていた。

 ニーナの周りも乗り合い馬車の者達が顔を覚えていて、助っ人だと分かったようで、制圧完了のようだ。

 俺はというと、丘の上の脅威をそのままにするつもりはなかった。

「ちょっとあっちを見てくるよ。さっき1人来たから他にもいると思うから」

「レオン?」

 行かないでと目が訴え掛けているが、今からやろうとしている事を考えると、とてもではないがアイリーンを連れてはいけない。その為俺は1人で飛んだ。チラッと何人かが見えたんだよな。もしも弓矢を持っていたら厄介だし、嫌な予感がするのと、放っておくとまた狙われたりし兼ねないと思ったんだ。
 小説とかだと王都に近いと治安が良い傾向だし、こんな所で襲われたのが釈然としなかった。俺達が乗っていた馬車が襲われたのは偶然?
 勿論偶然の可能性もあるけど、必然だった時の事を考えた。
 問題解決の手法だ。
 新人の頃は各係を経験させられ、渉外の特に融資の時は不渡りが出そうだったり、芳しくない会社への融資が焦げ付きそうになると、支店の窓口業務者以外が集まって分析や問題解決について話し合った。
 色々問題点を上げたりするが、偶然とか、運が悪かったとか、そんな事は考えない。必然的にそうなったと。

 甘い考えを捨てろと先輩に教えられた。また、非情な判断も時には必要だと。
 会社の再建を諦め、追加融資を打ち切って倒産させるのもありだと。追加融資をすると、ズルズルいくから、最初の見極めが大事だと教えられた。

 頭をフル回転させたが結局の所、後顧の憂いを断つ方に考えが纏まる。可能なら捕らえたいが、残念ながら俺の腕では、逃がす、全て殺す、尻尾を巻いて逃げる。この3つのどれかしか選択肢はないと思っている。運が良ければ捕らえたいが、確か捕まえる時が1番危険だったか?

 今の段階ではアイリーンに更に俺が人を殺す所を見られたくなかった。

 俺は30m位の高さに飛び、上から探っていた。
 丘の上は小さな林になっている。
 隠れる所があるので、ここを襲撃する場所に選んだようだ。

 眼下をよく見ると、動きがある場所が見えた。

 馬に乗った者が数名林を抜けて逃げようとしている。取り敢えずそのままの進路を辿ると見て、その先に向かう。

 林を抜けた先に、開けた所があったので、そこに降りて奴等が来るのを待ち受ける事にした。いざとなれば上に逃げれば良い。30mも上がればまず矢も当たらないだろう。

 そうして待つ事1分、馬に乗った5人の姿が見えた。
 盗賊の姿格好をしているが、どう見ても屈強な者達だ。

 こちらを確認すると、扇状に広がり誰何してきた。

「貴様こんな所で何をしている?まさか我らを待ち受けていたのか?」

「へー、待ち受けられる事をしてたんだ。例えば乗り合い馬車を襲っていて、仲間が返り討ちに合い、更に丘の上からの襲撃も失敗したから、仲間を見捨てて撤収したとか?」

 5人は剣を抜いた。

「見たのならば死んで貰おう!何故貴様がそれを知っている?」

「やっぱりそうか。あんたらその風体だと盗賊じゃないよな?盗賊をけしかけて結果を確認するお目付け役ってところだろう?違うか?まさか盗賊に扮したつもりだったのか?」

「隊長、こいつ知りすぎています!俺に殺らせてください!」

「おい、迂闊な事をいうな。どこで誰が聞いているか分からんのだぞ!まあ良い。好きに殺れ!」 

 端にいたバンダナを巻いた30歳前後の奴が、ロングソードを手に駆けて来た。

「貴様が何者か知らんが、我らを見たからには死ね!」

 剣の間合いに来ると剣を振ってきたが、後ろに飛び下がりながらグランザムを手にして剣を受け止めた。しかし、勢いがあり体ごと弾かれ、グランザムを落とした。

 これは敢えて受けたのだが、それは万が一犯罪者になってしまう事が怖いので、先制攻撃をさせたのであった。
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