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第1章
第29話 アイリーンいぢられる
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今思えば不思議なのだが、ニーナに対して何故か洗いざらい話していったのだ。だが、異世界人と言う事をあっさりと信じてくれた。
ニーナが俺を治療をしたが、治癒速度があまりにも早く、膨大な魔力量の保持者としか考えられず、異世界人と予測をつけたという。治療魔法は己の持つ魔力と反応し、魔力量に応じて治癒力がプラスされる。治療される側が魔力無しだと、術者の魔力に依存した形でしか治療されない。
王都に行くメリットは大きい。高校生達も仲間、つまりクラスメイトを求め、その国の王都に向かう可能性が高い。大陸の各国の王都を目指して旅をするのも1つの手だ。取り敢えず落ち着いたら大陸の各国を回ろうかなと思う。可能なら彼ら彼女らの人生に少しでも力になりたい。それをするには力を付けねば危うい。決して慌ててはいけない。
ニーナはある意味男前だ。悪く言えばおっさん臭がする残念さんタイプだが、見た目は綺麗な大人の女性だ。口が少し悪そうだが。
そうしていると、食事の準備が出来た時の鐘が鳴り響いたので、食堂に行き、当たり障りのない話をする。
「ニーナさん、そ・・・」
「ニーナだ。ニーナと呼びな!」
「あっ、うん。じゃあニーナ、何故俺達と行動を共にしようとするんだい?」
「師匠がそうしろと言っているからだよ。正確にはアタイの判断だけど、師匠がアタイを日付け指定して、この町に寄越したのには理由があるはずなんだよ。少なくとも師匠はお前達をアタイに引き合わせたかったようだ。取り敢えず師匠の所に行くまではパーティーを組むぞ!」
はあ、と間の抜けた返事をした。
「何をしている?」
「何って?」
「お前がリーダーをするのだから、パーティー勧誘を早くしないか!」
あっと唸りながら俺はパーティー勧誘をした。
「ニーナがリーダーで良いだろう?」
「アタイはそんな柄じゃないし、何より面倒なのはいやだね。だからお前の仕事だよ!」
あう・・・とお兄さんが唸っていると、アイリーンがくすくすと笑っていたんだよな。
何を食べたのかあまり覚えていなかった。
食事の時、難しい話もしていたんだけど、アイリーンは黙ってお兄さんの腕に半ばしがみつきながら話を聞いていたんだよね。
食事を終えたけど、この人の事はよく分からなかった。
「ここの食事は美味いだろう!ふう。もう腹いっぱいだしお開きだな。先に部屋に行っておいて!アタイは後から行くから、鍵は閉めんなよ。それとも2時間程時間を潰して来た方が良いか?」
俺はニーナが何を言っているのか理解したが、アイリーンは分かっていない。
「俺達知り合ってから間もないんだ。アンタが考えているような事は無いから、直ぐに来なよ。時間が掛かるなら先にアイリーンに風呂に入って貰うから」
「なあーんだ。これから初夜じゃないのか。このヘタレめ!」
アイリーンが真っ赤になった。
ニーナのニタァっとした笑顔は、からかっているのだと分かる。
「アイリーン、いじられているぞ」
「えっ?いやーん!」
ニーナがアイリーンに抱き着いて頬ずりをした。
「アイリーンちゃん、かわいい!」
勿論これも確信犯だ。
アイリーンが真っ赤になりひぃーって唸っていた。
お兄さんちょいおこで、ニーナの頭にチョップしたんだよ。
「それ位にしといてやれよ。アンタわざとやっとるやろ?」
「っち。つまらないぞ!レオン、お前はこれから禁断の・・・とか思って鼻の下を伸ばしても良いんだぞ!」
「そうして押し倒そうとしたら、何興奮してんのさ、この勘違い野郎とか、スケベとか言うんだろ?」
横を向いて、鳴らない口笛を吹く。
それを見てアイリーンは、ようやく自分がからかわれていたのだと理解した。
「ニーナさん、酷いですよ!いくら私でも少しは怒りますよ!めっ!です!」
腕を伸ばし、立てた人差し指を突き付けたアイリーンはマジ天使!という位に可愛かった。
そして懲りないニーナはアイリーンに抱き着き、その顔を胸に埋めてグリグリし始めた。
「アイリーン!かわいい!お嫁さんにしたい!」
俺は羨ましいと思いつつ、ニーナを後ろから羽交い締めにして引き剥がした。
「こら!何を羨ましいじゃなくて、馬鹿な事をやっているんだ。嫌がっているだろう。まったくアンタは見た目だけはものすごい美女なのに、中身はまるでおっさんだよな。しまいにアイリーンが口を聞いてくれなくなるぞ!いいのか?」
「わ、悪かったよ。でもアイリーンが悪いんだよ!」
「何がだよ?」
「かわいい過ぎるのがいけないんだ!だからついなんだ・・・ごめんなさい」
「確かにめっちゃ可愛いけど、もうすんなよ。ってかなり酒臭いぞ。アンタ酒乱か?どうせなら脱げよ!人に迷惑掛けやがって。まったく」
ニーナはしゅんとなったが、アイリーンは可愛いだなんてとクネクネしていた。なんだかなあと思いつつ、アイリーンと共に部屋へと引き上げていったが、何故かニーナも一緒に来ていたのであった。
ニーナが俺を治療をしたが、治癒速度があまりにも早く、膨大な魔力量の保持者としか考えられず、異世界人と予測をつけたという。治療魔法は己の持つ魔力と反応し、魔力量に応じて治癒力がプラスされる。治療される側が魔力無しだと、術者の魔力に依存した形でしか治療されない。
王都に行くメリットは大きい。高校生達も仲間、つまりクラスメイトを求め、その国の王都に向かう可能性が高い。大陸の各国の王都を目指して旅をするのも1つの手だ。取り敢えず落ち着いたら大陸の各国を回ろうかなと思う。可能なら彼ら彼女らの人生に少しでも力になりたい。それをするには力を付けねば危うい。決して慌ててはいけない。
ニーナはある意味男前だ。悪く言えばおっさん臭がする残念さんタイプだが、見た目は綺麗な大人の女性だ。口が少し悪そうだが。
そうしていると、食事の準備が出来た時の鐘が鳴り響いたので、食堂に行き、当たり障りのない話をする。
「ニーナさん、そ・・・」
「ニーナだ。ニーナと呼びな!」
「あっ、うん。じゃあニーナ、何故俺達と行動を共にしようとするんだい?」
「師匠がそうしろと言っているからだよ。正確にはアタイの判断だけど、師匠がアタイを日付け指定して、この町に寄越したのには理由があるはずなんだよ。少なくとも師匠はお前達をアタイに引き合わせたかったようだ。取り敢えず師匠の所に行くまではパーティーを組むぞ!」
はあ、と間の抜けた返事をした。
「何をしている?」
「何って?」
「お前がリーダーをするのだから、パーティー勧誘を早くしないか!」
あっと唸りながら俺はパーティー勧誘をした。
「ニーナがリーダーで良いだろう?」
「アタイはそんな柄じゃないし、何より面倒なのはいやだね。だからお前の仕事だよ!」
あう・・・とお兄さんが唸っていると、アイリーンがくすくすと笑っていたんだよな。
何を食べたのかあまり覚えていなかった。
食事の時、難しい話もしていたんだけど、アイリーンは黙ってお兄さんの腕に半ばしがみつきながら話を聞いていたんだよね。
食事を終えたけど、この人の事はよく分からなかった。
「ここの食事は美味いだろう!ふう。もう腹いっぱいだしお開きだな。先に部屋に行っておいて!アタイは後から行くから、鍵は閉めんなよ。それとも2時間程時間を潰して来た方が良いか?」
俺はニーナが何を言っているのか理解したが、アイリーンは分かっていない。
「俺達知り合ってから間もないんだ。アンタが考えているような事は無いから、直ぐに来なよ。時間が掛かるなら先にアイリーンに風呂に入って貰うから」
「なあーんだ。これから初夜じゃないのか。このヘタレめ!」
アイリーンが真っ赤になった。
ニーナのニタァっとした笑顔は、からかっているのだと分かる。
「アイリーン、いじられているぞ」
「えっ?いやーん!」
ニーナがアイリーンに抱き着いて頬ずりをした。
「アイリーンちゃん、かわいい!」
勿論これも確信犯だ。
アイリーンが真っ赤になりひぃーって唸っていた。
お兄さんちょいおこで、ニーナの頭にチョップしたんだよ。
「それ位にしといてやれよ。アンタわざとやっとるやろ?」
「っち。つまらないぞ!レオン、お前はこれから禁断の・・・とか思って鼻の下を伸ばしても良いんだぞ!」
「そうして押し倒そうとしたら、何興奮してんのさ、この勘違い野郎とか、スケベとか言うんだろ?」
横を向いて、鳴らない口笛を吹く。
それを見てアイリーンは、ようやく自分がからかわれていたのだと理解した。
「ニーナさん、酷いですよ!いくら私でも少しは怒りますよ!めっ!です!」
腕を伸ばし、立てた人差し指を突き付けたアイリーンはマジ天使!という位に可愛かった。
そして懲りないニーナはアイリーンに抱き着き、その顔を胸に埋めてグリグリし始めた。
「アイリーン!かわいい!お嫁さんにしたい!」
俺は羨ましいと思いつつ、ニーナを後ろから羽交い締めにして引き剥がした。
「こら!何を羨ましいじゃなくて、馬鹿な事をやっているんだ。嫌がっているだろう。まったくアンタは見た目だけはものすごい美女なのに、中身はまるでおっさんだよな。しまいにアイリーンが口を聞いてくれなくなるぞ!いいのか?」
「わ、悪かったよ。でもアイリーンが悪いんだよ!」
「何がだよ?」
「かわいい過ぎるのがいけないんだ!だからついなんだ・・・ごめんなさい」
「確かにめっちゃ可愛いけど、もうすんなよ。ってかなり酒臭いぞ。アンタ酒乱か?どうせなら脱げよ!人に迷惑掛けやがって。まったく」
ニーナはしゅんとなったが、アイリーンは可愛いだなんてとクネクネしていた。なんだかなあと思いつつ、アイリーンと共に部屋へと引き上げていったが、何故かニーナも一緒に来ていたのであった。
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