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第1章 入学編
第51話 屋敷
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しかし、扉を閉めた瞬間に何かが飛んできた。咄嗟に剣で払いのけたが、風精霊の加護による矢避けは働かなかった。飛び道具の類がはじかれるのだが、飛び道具ではなくなんと槍を投げてよこしたのだ。なんだ?と啞然とするような感じでいきなり何者かに襲撃をされたのだ。
美少女に襲われ、どさくさにまみれて胸をモミモミするというような事ができる相手ではなかった。むさいじいさんだったのだ。しかしやたら素早く、やたら強かった。背丈は165 Cm 位だろうか。
この世界の成人に比べれば大柄な方だが、フォルクスから見れば小柄だ。しかし、フォルクスは段々追い詰められていくが、最初はそれこそ追い詰められたが段々と相手の速さに慣れてきた。速さだけで言うならばフォルクスの方が早いのだが、しばらくは互角だったが、向こうの剣技の方が優れていた。老練な老人が手本通りの攻撃をしてくる。
キンコンカンコンキンコンカンコンと約30合にわたって激しく切り結んだ。フォルクスがお前は何者だと言っても相手は何も言ってこない。しかも魔法を放つ間が無いので剣で切り結んでいた。
そして向こうの剣に慣れてきたとはいえ相手の方が1枚も2枚も上手だった。フォルクスはどんどんかすり傷を負っていき、このままでは勝てないとなんとなく分かった。魔法を放つ暇がないのだが、走っても部屋の中では距離を開けられない。
そこでフォルクスは風の精霊に力を借りる事にした。
「頼むシルフ。力を貸してくれ」
そう言うとフォルクスの傍に風の精霊が顕現した。但し以前見た姿ではなく幼女だ。
「ようやく私を呼んで頂けましたね。彼の者を倒せば宜しのですね」
シルフの姿を見た途端にフォルクスが対峙していた男が一言ボソッと言った。妖精様と。
一瞬だが、顕現したシルフに目を奪われ隙ができた。その隙を見逃す筈のなかったフォルクスが鋭い一撃を鳩尾に入れた。正確には回し蹴りを入れたのだ。
老人がもんどりうって倒れたところを後頭部を殴りつけ気絶させ、捕らえる事に成功した。
しかし、シルフがあっとなっていた。
「うう。ようやく呼ばれたのに、わ、私の出番が!」
とぼやいていたのであった。
その老人は甲冑を身に着けていた。まずは縛り上げて安全を確保しつつ、フォルクスはシルフの頭をナデナデしていた。
親戚の小さい子を可愛い可愛いと撫でる感じで、シルフはムスッとしていた。
「あのー、私は子供ではありませんのよ。そろそろ頭を撫でるのをやめて頂きたいのですが」
「って、おこちゃまじゃないか?」
「本来の力よりかなり弱いと伝えましたよね?貴方の力が足らないからこのような姿なのですよ。早く私を大人の姿にしてくださいね」
「今まで僕を守ってくれて有難う」
そうして両脇に手を挟み、持ち上げてから抱きしめていたが
「あっ!時間切れだわ」
一言告げるとシルフは消え去ってしまったのであった。
美少女に襲われ、どさくさにまみれて胸をモミモミするというような事ができる相手ではなかった。むさいじいさんだったのだ。しかしやたら素早く、やたら強かった。背丈は165 Cm 位だろうか。
この世界の成人に比べれば大柄な方だが、フォルクスから見れば小柄だ。しかし、フォルクスは段々追い詰められていくが、最初はそれこそ追い詰められたが段々と相手の速さに慣れてきた。速さだけで言うならばフォルクスの方が早いのだが、しばらくは互角だったが、向こうの剣技の方が優れていた。老練な老人が手本通りの攻撃をしてくる。
キンコンカンコンキンコンカンコンと約30合にわたって激しく切り結んだ。フォルクスがお前は何者だと言っても相手は何も言ってこない。しかも魔法を放つ間が無いので剣で切り結んでいた。
そして向こうの剣に慣れてきたとはいえ相手の方が1枚も2枚も上手だった。フォルクスはどんどんかすり傷を負っていき、このままでは勝てないとなんとなく分かった。魔法を放つ暇がないのだが、走っても部屋の中では距離を開けられない。
そこでフォルクスは風の精霊に力を借りる事にした。
「頼むシルフ。力を貸してくれ」
そう言うとフォルクスの傍に風の精霊が顕現した。但し以前見た姿ではなく幼女だ。
「ようやく私を呼んで頂けましたね。彼の者を倒せば宜しのですね」
シルフの姿を見た途端にフォルクスが対峙していた男が一言ボソッと言った。妖精様と。
一瞬だが、顕現したシルフに目を奪われ隙ができた。その隙を見逃す筈のなかったフォルクスが鋭い一撃を鳩尾に入れた。正確には回し蹴りを入れたのだ。
老人がもんどりうって倒れたところを後頭部を殴りつけ気絶させ、捕らえる事に成功した。
しかし、シルフがあっとなっていた。
「うう。ようやく呼ばれたのに、わ、私の出番が!」
とぼやいていたのであった。
その老人は甲冑を身に着けていた。まずは縛り上げて安全を確保しつつ、フォルクスはシルフの頭をナデナデしていた。
親戚の小さい子を可愛い可愛いと撫でる感じで、シルフはムスッとしていた。
「あのー、私は子供ではありませんのよ。そろそろ頭を撫でるのをやめて頂きたいのですが」
「って、おこちゃまじゃないか?」
「本来の力よりかなり弱いと伝えましたよね?貴方の力が足らないからこのような姿なのですよ。早く私を大人の姿にしてくださいね」
「今まで僕を守ってくれて有難う」
そうして両脇に手を挟み、持ち上げてから抱きしめていたが
「あっ!時間切れだわ」
一言告げるとシルフは消え去ってしまったのであった。
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