ダンジョンから始まる異世界生活〜異世界転移した勇者なのに誰も拾ってくれませんから、ダンジョン攻略しちゃいます〜へなちょこ勇者の成長記

第５章

クリア

　その夜、晃と莉佳子は莉佳子に割り当てられた部屋で話し込んでいた。
　ダンジョンの事やお互いのこれまでの事の詳細だ。

　また、晃が言いにくくて切り出せなかったエンピアルやレニー達の事だが、莉佳子の方から

「えっと、先輩じゃなくて、晃君じゃなくて、あ、晃はエンピアル様を始め、エニーさん達も娶るのでしょ？」

　と言われ、土下座して謝った。

「その、もう莉佳子と会えないと思い、こっちで骨を埋めなきゃならないから、彼女達と結婚を約束したんだ。でも、まだ誰も抱いていないし、莉佳子の事を一日たりとも忘れた事は無いよ」

　そう伝えると満足したようで、にっこりと微笑んで、

「エンピアル様に言われ、皆で晃を共有する事になると分かっているから大丈夫ですよ。流石に晃が選ぶ人だから皆凄いよね。だから気にしないで。皆と仲良くしていけそうだから。ね。」

　莉佳子は風呂に入り身体を綺麗にし、ゆったりとしていた。

　髪も晃に梳いて貰い、本来の見事なストレートになった。

　二人は夢中になり話していた。学校での事、あの日の事。

　莉佳子の収納にはバレンタインのあの日に渡す筈だった手作りのチョコが有った。

　それを渡すと晃は泣いていた
　。

　莉佳子の愛の込められた貴重なチョコなので、二人で泣きながら食べていた。

　そして二人は肩を寄せ合い語り合っていたが、やがて見つめ合い、熱いキスを交わす。

　久し振りの再開と元々両想いだったのもあり、二人の想いはもう誰にも止められなくなり、二人は夢中になり愛し合った。

　翌朝同じ布団で目覚め、挨拶代わりのキスをし、昨夜の事を思い出し、二人共真っ赤になっていた。

　また、急に新たな力を授かった事が分かった。
　恐らくバイエルから得られたスキルで、莉佳子も朝になり新たな力が感じられると言っていた。

　昨夜今後について話し合った。莉佳子が加わった後、晃は莉佳子のパワーレベリングを行う事になり、約一週間の期間を掛けてレベルを上げ、ダンジョンアタックを行う事になる。

　地上のタワーの攻略にはまず地下ダンジョンを攻略していないと駄目なので、先ずは地下をクリアする。

　そう、いきなりボス戦に連れて行く事にした。

　ダンジョンは通過点にしか過ぎなかった。既に地上ダンジョンをクリアする為のピースが揃い、晃はダンジョンに挑む。更なる力をエンピアル、アルテミス、イザベラから授かる事になる。

　莉佳子が晃と再開した翌月、地上ダンジョンが晃達のクランと、大輔達のクランによりクリアされたとギルドに連絡が入った。

　しかし彼らは忽然と姿を消した。

　一説によれば、元の世界に帰ったとか、大輔達を攻め、莉佳子を捕らえた国の討伐に行き、そこでかの国を支配した等様々な憶測が流れた。
　神界に行き、晃が新たな主神となった説もある。
　そしてダンジョン都市ではいつの頃からか晃が主神として祀られていたりもする。

　理由は不明との事だったが、少なく共ダンジョン都市にてその後の目撃例はなかった。

　ただ、何故か屋敷の中には侵入できなくなったが、何故か時折窓が開け閉めされ、明かりが灯っていたそうだ。

　晃は愛する妻達と冒険をしているのだろうと言われ、やがてダンジョン神と呼ばれ長きに渡り人々の間に語られるのであった。


　Fine