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第4章

やってしまった

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 晃はガブリエルと風呂に向かっていた。ガブリエルの作戦はこうだ。
 入り口の暖簾を予め男女逆にしており、入る直前に晃を先に行かせ自分はトイレに行く。戻ってきて慌てて暖簾が逆と話をして女風呂に入った晃を連れ戻す。今の時間はまだ誰も入らないからだ。
 その後のこのこと入ってきた女性陣を晃の千里眼で覗く。覗くのが醍醐味なのだ。

 晃はアルテミスの方の屋敷の造りを知らなかったからガブリエルに案内されていた。

 浴場は男女入り口が併設されており看板が掲げられているのだが、その看板はガブリエルにより入れ替わっていた。正確に言うと暖簾のようなものでだ。入り口が見えてきてガブリエルと晃が風呂に入ろうと入り口に来たところで、ガブリエルが他の団員から話しかけられ急遽他の者の部屋に行かなければいけない用事ができてしまった。ガブリエルは残念そうにし、用事が出来たから先に一人で入っててくれと離れていった。

 晃がお風呂に入っていくのだが、風呂に入ってから20分程してからだろうか、晃はふと呟いた。

「ここの風呂は男性用の方でもピンクの壁なんだ。ふーん」

 という感じである。そうピンクを基調にした女性向けの内装が施されていたのである。

 そうしているとメイドの人にが看板を見て

「あれ?誰かが落としたのかしら。反対になってますね。直しておきましょう」

 そうやって直されていく。まだ清掃時間で本来はまだ入らない筈の時間の為中を確認しに行かなかった。

 今日はアルテミスがイザベラ主催の嫁会議のメンバーに加入した事を記念し、皆でアルテミスの屋敷のお風呂に入る事になった。晃は湯けむりが立ち込める中、湯船にもたれかかりながらうとうとしていた。

 アルテミスが言う。

「あれ?一番ぶろかと思いましたが、誰か既に入っていますわね。誰かしら?」

 などと言いながらお風呂に入って行く。女性のお風呂である。しかも華やかな美人揃いである。

 お風呂の中では晃の話が中心だ。ソレイユがはっき言う


「晃様は誰かに手を出してくれないかしら。あの歳の男性ですから、一度女性の体を知ってしまえば後はもうさかりのついた犬のように全員を求めてくるに決まってますから」

 しかしエニーは

 「晃っていつまでたっても私を抱こうとしないよね。
 私ってそんなに魅力がないのかしら?自分で言うのもなんだけども、イザベラ様をはじめ皆美人じゃない。私もこれでも見た目には自信があったのに、彼好みなおしとやかな装いに最近はしているのに」

 皆あきらが消極的であることに文句を言い、危惧をしていた

 女性だけの華やかなお風呂である。キャッキャと男性の話が飛び交う。

 晃はぼんやりしていた。女性の風呂の方から華やかな声が聞こえてくるなあと。あの声はエニーかな?などと思っていたが、急に声が近いなぁと不思議がっていた。

 そんな中体を洗い終わった女性陣達が湯船に浸かって行く。

「あらそういえば先客が一人いたわね。だれちゃんかしら」

 と言っているが晃はだんだん顔が青くなってきた。湯船に足をつけるそんなタイミングで波紋が自分のところに来たからである。そして皆が言う

「気のせいか晃様に似た雰囲気の子ね。そんな子いたかしら?」

 そんな感じであるが、勿論本物である。晃は何故だ何故だ!と自問している。まずいまずいまずいと頭の中で警笛が鳴り続けている。

 そして誰かが

「意外と晃様だったりして。私達が入ってくるのを待ち受けていたのよ。」

 エニーが

「しないしない。ないない晃に限ってそんな積極的なことするわけないじゃん。もしそうだったら今この場で私は抱かれてもいいわ」 

 等と言っていた。しかし会話に参加してこないのに訝しがっている。アルテミスが言う

「とどちら様でした?」

 アルテミスがそのしなやかな手を晃の肩に添える。その瞬間アルテミスはハッとなった。そして半ば叫ぶ

「きゃー!晃様どうしてここに?」

 皆が驚く。まさか晃がそこにいるのだ。思わず笑みとソレイユが晃の前に回り込む。

 そして晃を立たせる。

 顔を手で覆いながら

「ごめんなさい。ごめんなさい。女風呂だと思わなかったんです。看板に男湯って書いてあったんです」

 言い訳を始めるがルーシが続ける

「素晴らしいわ。今日の晃様は積極的ですわ。てっきり奥手な方だと思ってましたが、こんな大胆な事をされるとは!でもその、こんな真似をなさらずとも、私を寝室にお呼びいただければそれでよろしかったのに」

 そんなこんなで晃が慌てて湯船を飛び出し、脱衣場に向かって行った。

 エニーやルーシーが言う。

「は、初めて男の人のあれを見ましたわ。立派ですわね」などと意味深な会話が飛び交っていた。

 しかし慌てて着替えている晃の背後にエニーが回り込み

「あんたね!ちょっと外に出て座って待ってなさい!いいわね?」

 と怒られて晃がうんうんと頷いてごめんなさいごめんなさいと連呼していた。そして風呂の入口前の廊下で晃は正座し、女性陣達が出てくるのを待っているのであった。

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