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第140話 やり過ぎ

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 カノープスさんはこいつらが気の毒に思う程引っ張った。

「・・・当家では奴隷に対しても糞尿まみれになるような作業はさせていません。そのような事をさせる犯罪者は取り扱ってはおりません。それで貴方方に依頼をしたいのは当家の警護任務です」

 5人が生き返った。
 目に生気が戻った感じだ。
 俺の方を見てきたが・・・つい目を逸らした。
 この瞬間、これまで糞尿まみれになるかのような言動はブラフだと気が付いたようだ。

 地獄から天国に登った気分だと言っても信じる程晴れやかな顔をしていた。

 しかし1つ言っておくが、俺は1言も彼らの仕事内容について話していない。

「カノープスさん。こいつら1回アホな事をやりましたけど、猛反省もしているし、相手の度量や力量を見定める目を持つ必要に気が付いただろうからもう馬鹿はしないと思います。どうかこき使ってやってください」

 俺は感謝されつつカノープスさんに無事面倒事を押し付けじゃなく、前途ある若者が道を逸れてしまうのを防ぎ、カノープスさんに託した。

 カノープスさんも依頼の引受け手を確保したし、彼らも矯正の機会を得たしとWin-Winだよね!
 ヨカヨカ。

 しかし・・・
 メイドさんから全てを聞かされた妻達は呆れていた。

 そのジト目ごちそうさまです!
 とはいかず人目の無いところに連れ込まれた。
 そして正座をさせられた・・・

「やり過ぎ!」

 5人がハモった。
 相変わらずトルネアだけはどうででも良いという感じだ。

「いくらあの者達が無礼を働いたからと言ってちーとやり過ぎではないのかと思うのだが。それにしても叔父上も叔父上ではないか!」

「イリーヌ姉、男ってそんなもんだよ」

 珍しくトルネアがイリーヌに意見した。

「わかってはいるのだ。ふう・・・主殿、甘い物が食べたいぞ!」

 えっ?と唸るしかないが、ここは機嫌を取る所だ。

 甘い物と言ってもこの、世界の甘味は大して甘くない。
 ほんのり甘いって感じだ。
 砂糖の生産量が少ないんだ。
 正確にはこの世界で砂糖の役目を果たしている植物の生産量が物凄く少ない。
 その為高価なので市井の者がおいそれと食べられるものではない。

 しかし、爵位を貰ったので貴族御用達店に行けるのだ。
 イリーヌ達にせっつかれていたんだけど、忙しいのでまた今度ねとしていたんだ。

 この状況で断れるはずもなく店に・・・
 ケーキのような柔らかいお菓子が金貨10枚と普通の人の月給相当だ。
 それも1人分でだ。ホールだと100枚程にもなる。

 カレンと俺は正直美味しいと感じなかったけど、ルシアスが泣いて食べていたからこの世界基準だと超高級の絶品となるお菓子だ。

 お土産も買い、流石にそのままタワーへ向かった。


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