ザ・タワー 〜俺にしかできない魔石を鑑定する能力！魔石を使っての魔法＆スキル付与！この力で最強を目指す〜

第131話 意外な客人

　来客を応接室に案内しており、俺はイリーヌを伴って部屋へ入った。

　あれっ？となった。
　見た事がある。
　何処だっただろうか。
　ただ、話をした事はないはずだ。

「アッテンボローです。初めましてではないですよね。お顔を見た事があるのですな思い出せなくて」

「私はスメール男爵家時期当主ベイルドです」

　聞いた事がないぞ・・・
　俺が首を傾げていると察したようだ。

「本来ですと当主である父が来るべき所ですが、死期が迫っており外出できないのです」

「いや、どこで見たかなって」

「コホン。主殿、城にて世話になっているのです。ではなく世話をしたと言った方が良いかと」

「ははは。明日には王都に帰りますのでその前にお礼を言いたくてお伺いしたのですよ。このような格好なので分かりにくいかもですが、その節は有難うございました」

　見事に直角になり礼をしてきた。

「あっ！その礼はあの時の騎士団長さんですか！」

　そう、国王の母君の侍女の婚約者というか夫になった騎士である。

　今は貴族の格好なので気が付かなかった。

「１つお願いがありまして、貴方に相談しろと言われました。私自身も男爵でして、スメール家の家督を継ぐと私自身が騎士団長になった時に授かった爵位を返上しなければならないのです。どのみち父が亡くなると主のいない屋敷を持つ事になり、私が得た屋敷は手放す事になります。で、ここからがお願いなのです。使用人を解雇せざるを得なく、引受先になってはくださらないかとお願いに参った次第です」

　イリーヌを見ると頷くので少し考える。

「もうセバスチャンと話していたりしますか？」

「セバスチャン氏とは話をしておりません」

「少し待ってください。屋敷の運営についてはセバスチャンに一任していますので」

　イリーヌとベイルドは首を傾げる。
　そう言えばセバスチャンとは？と。

　ドアを明け、控えていた者にセバスチャンをというと首を傾げる。

「あっ！ごめん。執事長を呼んで来て」

「畏まりました」

　その見習いメイドさんは慌てて離れていった。

　暫くするとセバスチャンが現れたが、勿論ベイルドとは顔見知りだ。

「セバスチャン参りました」

「セ、セバスチャンって改名したの？」

「ベイルド様、２日ぶりでございます。ご主人様が執事長の役職名としてセバスチャンがあると言われ、セバスチャンと呼ばれるようになり今に至ります」

「君がいるなら話が早いね。私のところの使用人を何人か引き受けて貰えないかと思ってね。私のところの事情は情報通の君なら知っているだろ？」

「その時が来たのですな。そうですな、城からの派遣者と入れ替えでメイドが欲しいですな。出来ればメイド長がいれば助かります。ご主人様にお願いして募集を掛けたく思っておりました。それと料理人もこれから募集を掛けるのですがいかがですかな？」

「助かるよ！君が主と認めた彼のところになら安心して託せるよ」

「こちらもベテランの使用人を斡旋してもらえるし、信用できる方の元で仂いていた人なら安心できます！有り難いです」

　そうして握手をした後ベイルドさんは引き上げていった。

　それと俺はメイドさん達と買い物に出る事になった。

　大物を買うのに収納持ちを探していたのだ。
　町の様子を見たいのもあり、俺は執事服を着て町に繰り出した。

　俺の正体を知る者に出くわすとめんどくさい事になるからで、何故か俺用に作られた執事服がクローゼットにあったりした。

　メイドさんは俺の事を新人執事と思ったようで、主人として聞かない方が良い愚痴を聞けたりして中々楽しかったりした。