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第123話 裏ミッション

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 充てがわれた客間でカレン達と話をしているとドアがノックされた。

 どうぞと言うと母君の侍女が硬い表情、覚悟を決めたような表情をしながら失礼しますと告げ部屋に入ってきた。

「脱げ」

 俺は1言だけ告げる。

「いや、下は良い。胸を見たいだけだ」

 上半身を開け、捲り掛けたスカートを直し、右胸を手で隠している。
 おいおい、左は見えとるぞ!?

「隠してたら意味がないぞ。そうだな、ベッドに座ってくれ」

「うわー!思ったより綺麗ね!」

 女性陣から感嘆の声が上がる。

「着痩せするタイプなんだな。それに意外と大きいんだな。よし、始めようか」

「皆が見ている前でなの!?」

「なんだ?2人きりの方が良かったか?俺が理性をなくしてお前を求めても止める者がいなくなるぞ」

「こ、子の持ちのお嬢様ではなく、男を知らぬ私を犯すのではないのか?病気が怖いのなら心配はない。お嬢様は旦那様しか知らぬ」

「お前何を言っているんだ?妻以外抱かないぞ。面倒だなあ。悪いがミリア暴れないように押さえてくれ」

「貴女はしてもらった事が無いから分からないでしょうが、あっという間に終わるし、気持ち良い事よ。アロンに身を委ねるのよ」

 体を強張らせ、何かを決意した感になった。

「じゃあ初体験だね!行くよ!」

 俺は左胸に手を押し当てる。
 中々のボリュームで、押し返す弾力が心地良い。

「ああん!」

 ふっと手に持っていた魔石が消えたタイミングで発せられたセクシーな喘ぎ声のような呻き声につい手元が狂い、ひと揉みしちゃった。


 ルシアスから2つ目を渡され、俺は再び左胸に右手を押し付ける。

「えっ?ま、まさか!?私に?」

 魔石が取り込まれた事により手から魔石がなくなったので、名残惜しいが胸から手を離そうとした。

 しかし驚いた侍女は俺の手を握り、胸に押し当てた。

「アロン様!わ、私にスキルなんて!」

 今度は俺の頭をその胸に抱き寄せてきたので、ペロリンチョしてやると正気に戻り、慌てて俺を床に倒して服を着ていく。

 俺悪くないよね?
 床に投げ付けないでも良いじゃないか!

 俺は咳払いをするしかなく、イリーヌに助け起こされた。

「どうしてなのだ!?どうしてスキルを私に?」

「お前の体は中々男をそそるようなので、裸を拝みたかったからだ!」

「嘘ですね!」

 ジト目を向けてくるが、美人のジト目はご褒美です。

「お前の胸を触るというか、見る口実が欲しかったんだよ」

 どうやら嘘を見抜く事が出来るようだが、スキルではない。

 因みに彼女に付与したのは【身代わり】と【メイドの嗜み】
 この2つだ。

 嘘ではない為戸惑っているのが分かる。

「俺はトイレに行ってくるからカレン、その間に頼むよ」

 カレンは頷き、俺は別に用を足す訳では無いが、時間を潰すのにトイレへ取り敢えず行き、手を洗う事にした。

「さあアロンがいなくなったから、もう1度胸を見せて!」

 唖然としていたので、イリーヌが服を脱がしに掛かると、諦めた?のか黙ってされるがままにしていた。

 カレンはそっと右の乳房に走る切り傷に触れた。
 酷くはないが、知らずに見た男を萎えさせるのに十分な傷が見て取れ、その傷に触れながら古傷を治していく。

「はい、傷がなくなったわ!見てみて」

 カレンはストレージから出した鏡を渡し、右胸を確認させた。

 胸に傷がない、つまり治った事を理解して大粒の涙を流していた。

「フフフ。アロンからのちょっとした意趣返しね。どうして私に出来るのかを知っていたのかはともかく、私達に貴女の古傷を治して欲しいと頼まれたの。でね、私は直接見て触るしかないのでこうやって受けさせたの。勿論母君様にアロンが言った事は全て演技よ。性奴隷になる等はこちらから提案した演技なの。普通に言えば陛下からの命令としないと貴女は受けないだろうし、陛下がそのような命令を出せないからひと芝居打ったのよ」

 侍女は10年程前、母君が現国王を身籠った頃暗殺者に襲われた。
 何とか倒したが、その時に侍女は胸に一生傷を負ってしまった。
 母君の治療を優先した為に乳房の傷を治療するのが遅れ、傷跡が残ってしまったのだ。

 また、胸の傷からコンプレックスとなり婚期を逃したのだとか。
 男に対する苛烈な対応はそれを隠す為の鎧だった。

 彼女を娶りたいとする者もおり、その者への恩賞が有るとか聞いており、彼女に10年以上続けられているプロポーズを拒否する理由を無くすのが今回の裏ミッションだったのであった。
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