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第118話 褒賞について
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俺とカレンはこの世界にどうして来る事になったのかについてや、召喚した者がもうこの世にいない事を知った。
文句のひとつも言いたかったのに、最早その相手がいない。
帰る手段があるのかないのか分からない。
ただ、帰る手段があっても帰るつもりはない。
イリーヌ達を愛しているから。
今まで彼女達を抱かなかったのは、帰る事になった場合生き別れになるだろうから、その時にきれいな体のままにし、別れた後幸せになって欲しいとの想いからだ。
「召喚された者達は元の世界に帰る事ができるんですか?」
母君が首を横に振る。
「いえ。コアを使っての完全なる召喚であれば、別のコアを使えば帰す事が可能だと聞いております。その場合でも帰す時には術者の命を対価にすればです。しかも召喚した当人がいなければなりません。ですので残念ながら召喚された者達が元の世界に帰る事は叶いません・・・」
コアは1度の召喚で壊れてしまうとの事だ。
俺はともかく、せめてカレンだけでも帰してやれればなとの想いから、やはりまだ抱いていなかった。
結婚したのにまだ夜の営みがない理由だ。
勿論願掛けもあるが、俺はずっと誰にも言えなかった想いから開放される。
カレンが俺の手にそっと手を重ね、頷く。
俺は馬鹿だった。
カレンも俺の事を本気で愛しているのだ。
だから俺と離れる選択肢はなかったのだ。
1番恐れていたのは、例えば最古のタワーを攻略した時に、意図せずに強制返送される事だ。
どうなるか分からなかったから、彼女達にはタワー攻略前に身籠ったら困るからと言っていたのだが、強制される事もないそうだ。
俺とカレンが落ち着いたのを見計らい摂政が続く。
摂政は中年だが白髪の多いがっしりしたおっさんで、文官というよりも武官だろ?といった感じの強面だ。
「カルアール候爵、彼らはまだ屋敷を持っておらぬと聞いておる。直ぐに住める屋敷はムランジュにあるかね?」
「屋敷ですか。うむ。先日取り潰しになった子爵家の屋敷なら比較的新しいですな」
「陛下、コアの買い取り対価としてその屋敷を彼らに下賜される事をお勧め致します」
母君がそっと息子たる国王に耳打ちをしていた。
「お師匠様。どうか屋敷を受け取ってもらえないですか?気に入らなければ仮住まいとし、新たな屋敷を建てます。勿論それだけでは足りないでしょうから、望みを言ってもらえればと思います。それと名誉職として男爵の地位を貰ってほしいです。それと我が姉を娶りませんか?」
俺の斜め後ろに立っていたイリーヌが耳打ちをする。
「摂政殿は主殿をこの国に縛ろうとしていると思う。悪い話では無いと思うのだがどうだろうか」
成る程。
爵位と屋敷で俺達をこの国に縛るのか。
この国を気に入ったし、屋敷を買おうとしていたから悪い話ではない。
いや、それどころかラッキーだ!
鑑定の結果使い所のないコアが屋敷に化けるのだ!
「分かりましたが、姉君を娶りませんかと言うのは有り難い話ですが辞退させて頂きます。私が独身ならば婚約者になりますが、既に彼女達6人と婚姻しているのと、年齢が離れ過ぎております。代わりにお願いが有ります」
「分かりましたが、願いとは?」
「私には魔石を使い後からスキルを付与する事が出来ます。ですのでスキル付与屋を開きたく許可を頂きたく思います。もしよければ陛下と姉気味に自衛の為にスキルを付与します。魔石には・・・・」
そこからスキル付与について説明していき、タワーに入るのと、生活を豊かにするスキルは認めるが、例えば隷属スキル等、特殊でやばいスキルの付与を認めない等、細かい話を摂政と詰めて行くのだった。
文句のひとつも言いたかったのに、最早その相手がいない。
帰る手段があるのかないのか分からない。
ただ、帰る手段があっても帰るつもりはない。
イリーヌ達を愛しているから。
今まで彼女達を抱かなかったのは、帰る事になった場合生き別れになるだろうから、その時にきれいな体のままにし、別れた後幸せになって欲しいとの想いからだ。
「召喚された者達は元の世界に帰る事ができるんですか?」
母君が首を横に振る。
「いえ。コアを使っての完全なる召喚であれば、別のコアを使えば帰す事が可能だと聞いております。その場合でも帰す時には術者の命を対価にすればです。しかも召喚した当人がいなければなりません。ですので残念ながら召喚された者達が元の世界に帰る事は叶いません・・・」
コアは1度の召喚で壊れてしまうとの事だ。
俺はともかく、せめてカレンだけでも帰してやれればなとの想いから、やはりまだ抱いていなかった。
結婚したのにまだ夜の営みがない理由だ。
勿論願掛けもあるが、俺はずっと誰にも言えなかった想いから開放される。
カレンが俺の手にそっと手を重ね、頷く。
俺は馬鹿だった。
カレンも俺の事を本気で愛しているのだ。
だから俺と離れる選択肢はなかったのだ。
1番恐れていたのは、例えば最古のタワーを攻略した時に、意図せずに強制返送される事だ。
どうなるか分からなかったから、彼女達にはタワー攻略前に身籠ったら困るからと言っていたのだが、強制される事もないそうだ。
俺とカレンが落ち着いたのを見計らい摂政が続く。
摂政は中年だが白髪の多いがっしりしたおっさんで、文官というよりも武官だろ?といった感じの強面だ。
「カルアール候爵、彼らはまだ屋敷を持っておらぬと聞いておる。直ぐに住める屋敷はムランジュにあるかね?」
「屋敷ですか。うむ。先日取り潰しになった子爵家の屋敷なら比較的新しいですな」
「陛下、コアの買い取り対価としてその屋敷を彼らに下賜される事をお勧め致します」
母君がそっと息子たる国王に耳打ちをしていた。
「お師匠様。どうか屋敷を受け取ってもらえないですか?気に入らなければ仮住まいとし、新たな屋敷を建てます。勿論それだけでは足りないでしょうから、望みを言ってもらえればと思います。それと名誉職として男爵の地位を貰ってほしいです。それと我が姉を娶りませんか?」
俺の斜め後ろに立っていたイリーヌが耳打ちをする。
「摂政殿は主殿をこの国に縛ろうとしていると思う。悪い話では無いと思うのだがどうだろうか」
成る程。
爵位と屋敷で俺達をこの国に縛るのか。
この国を気に入ったし、屋敷を買おうとしていたから悪い話ではない。
いや、それどころかラッキーだ!
鑑定の結果使い所のないコアが屋敷に化けるのだ!
「分かりましたが、姉君を娶りませんかと言うのは有り難い話ですが辞退させて頂きます。私が独身ならば婚約者になりますが、既に彼女達6人と婚姻しているのと、年齢が離れ過ぎております。代わりにお願いが有ります」
「分かりましたが、願いとは?」
「私には魔石を使い後からスキルを付与する事が出来ます。ですのでスキル付与屋を開きたく許可を頂きたく思います。もしよければ陛下と姉気味に自衛の為にスキルを付与します。魔石には・・・・」
そこからスキル付与について説明していき、タワーに入るのと、生活を豊かにするスキルは認めるが、例えば隷属スキル等、特殊でやばいスキルの付与を認めない等、細かい話を摂政と詰めて行くのだった。
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