上 下
115 / 147

第115話 陛下を探せ

しおりを挟む
 俺は困ったなぁと頭をポリポリしたかったが、お坊っちゃまを肩車したままなのでぼやくしかなかった。

「なあソロソロ降りないか?」

「そんな事したらつまんないよ?このままで行こうよ!兄ちゃん飛べたりしないんか?」

「飛びたいのか?よし、じゃあ飛ぶからしっかり摑まれよ!」

 俺は肩車したままテレポートを発動した。
 この子らに格好良いところを見せちゃる!
 そう思い連続で実施した。

 空中にテレポートをすると、0.5秒程落下開始しない事がわかっている。
 連続してテレポートすれば空中にずっといられるのだ。

 また、蹴り出せば足場に出来る。

 下からは凄いだのおおお!とか感嘆の声が聞こえる。
 坊主もすっげー!とご満悦で俺も誇らしい。

 趣旨を忘れて飛びまくったが、5分経過指したのか国王の母君が手を叩き、俺を呼び寄せた。

「勇者殿そろそろ時間ですわ」

 坊主は残念がっていたが、渋々戻るように言ってきた。

 で、国王の母君の前に行くが、どう見ても30代には見えない。
 20代後半だろうか。
 見た目だと女子大生と言われれば納得する若さだ。
 しかし、鑑定の結果は国王の母親だ。
 うーん。

 大人の色気にクラクラしそうだ。
 とても子供を産んだ女性には見えない。
 めっさ綺麗な女性だ。

「ソロソロ回答をお願いしますわ。そうですね。1つ質問に答えましょう」

「失礼を承知で聞きます。貴女の年齢は?」

 皆がジトッとした目を向けてきた。

「質問を1つお答えしましょう!」

 スルーされた・・・

 カレンに脇腹をこつかれたし、母君の目付きが怖かった。
 ゴゴゴゴと怒っているようなオーラを感じる。
 勿論そういう雰囲気の話だ。

「コホン。で、では私は謁見の間に来てからその人の顔を見ていますか?」

「ええ、勿論。近くで見ていますわ」

 テレポートで1度降り立ってから参列者の間を歩いたが、その時か?

「では勇者様、陛下を探せ!の回答をお願いします」

 もう1度見渡すと皆さんニコニコしている。
 変だなとは思うが、眼下にいる者の中にはそれっぽい存在はない。

 段上に立っている者の中に国王がいないのは間違いない。

 カレンに聞くも首を横に振る。
 皆が俺の回答を待っている。

 女の子を見ると、シャイなのかカレンの背中に隠れる。

 国王の・・・見えなかった。

 段上に立っている者は全員違う。

 ?立っている者?
 そう言えば1人だけ未鑑定のやつがいる。
 俺はため息を付く。

「坊主、流石に今は降りてくれ」

 そう言うと俺の前にピタッとくっつく。
 皆の視線が少し下がった。

「では回答します。国王陛下はこの人だ!」

 俺はその人物を掴むと頭上、天井スレスレに投げ、喜びの声を上げている奴をキャッチし、両脇に手を添えると高々と抱えるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

迷宮転生記

こなぴ
ファンタジー
工事現場での事故に巻き込まれて死んでしまった明宮真人。目が覚めると暗闇だった。違和感を感じ体を調べるとなんとダンジョンに転生していた。ダンジョンに人を呼びこむために様々な工夫をほどこし盗賊に冒険者に精霊までも引きよせてしまう。それによりどんどん強くなっていく。配下を増やし、エルフに出会い、竜と仲良くなりスローライフをしながらダンジョンを成長させ、真人自身も進化していく。異世界迷宮無双ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...