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第96話 俺は靴紐を踏んで・・・

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 ボスが現れるのを俺達は待った。
 しかし、中央にエフェクト等のボスが再リポップするいつもの光景が見られなかった。

 ここは直径50m程のドームだ。
 球体を半分に切った感じだった。

 今回カレンをシルフィスの護衛としている。
 先程活躍したイリーヌはルシアスの護衛だ。

 嫌な予感がしたので俺は叫んだ。

「散開しろ!互いの間合いから外れるんだ!」

 そう叫んで俺も動いたが、《偶々》解けた?ブーツの紐を踏んでしまいよろけてしまう。
 バランスを崩し、トルネアの頭がある方に向かってフラガラッハを突出す形になった。

 こりゃあ・・・みっともなくコケるなと思った瞬間、グサリとフラガラッハが何かに刺さり、その感触が手に伝わる。
 その瞬間トルネアは半歩下がり、どこから出したの?と言った巨大な鎚を振り下ろした。

 ドッゴーーン!

 次の瞬間俺は見えない何かに弾き飛ばされた。
 いや、それがフラガラッハが刺さったまま吹き飛び、フラガラッハを握った俺も巻き込まれた感じだ。

 俺はジタバタ動くそれをフラガラッハを下に押し付ける形で押さえ込んだ。

「皆さん今です!」

 ルシアスの掛け声と共にシルフィスが矢を放ち、ミリアとカレン、イリーヌが飛び掛かり3方向から襲い掛かる。
 トルネアは態勢を整えるとシルフィスの護衛に入る。

 しかしその手には巨大な鎚はない。
 代わりにモーニングスターを持っていた。

 俺は何かを床に押え込んでいる形だったが、バリバリバリとスパークしたかと思うと、青い肌で俺と同じ位の背丈の人形の魔物が現れた。

 そしてルシアスも参戦し、武器によりフルボッコにした。

「お逝になる時間ですわ」

 最後はルシアスのスタッフが頭蓋を砕き、エフェクトに沈んで行った

 ドロップの出方と扉の出現からボスを倒したと分かった。

 俺はブーツの紐を見たが、解けていた訳ではなく切れていた。

「主殿、たまたま助けられたとはいえ、ブーツの紐はきちんと結ばないと駄目だと思うぞ!」

「これを見てくれ。なぜか切れているんだ。勿論今朝ルシアスが結び目の確認をしているし、切れかかっていないのも見たんだよな」

「いつまでのんびりしているのですか?早く行った方が良いと思いますわよ。それとも怪我をしたのですか?」

 事情を知らないシルフィスに言われた。

「いや、何故か紐が切れてさ。それで命拾いしたんだけどさ」

 シルフィスが俺の所に来るとガシッと足を掴んだ。

「不思議ですね。結び目はしっかりありますね」

 皆首を傾げていたが、多分このタワーを攻略するか、魔物が外に湧き出て来た原因を突き止める必要がある。

 なので切れた所を固結びをして先を進む事にした。

 で、相変わらずドロップが好きなトルネアがカレンとドロップを回収して来た。

 魔石とアクセサリー、何かの霜降り肉と微妙な内容で、最後にトルネアがトレジャーボックスを破壊すると妙に色の薄い魔石が出て来た。

 因みにミリアは1人で警戒をしてくれていて、この階層では俺達の守りの要的に動く事にになっていたようだ。
 何やら女性陣はローテーションしているように見える。

 全員怪我がない事を確認し、先へ進む事にしたのであった。
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