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第78話 ギンガイヤル子爵
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領主である侯爵さんはちょっと残念さん?な感じだが、少し親しみさを感じた。
「アッテンボローさん、ぶっちゃけ的な話をしますが、私が貴方達の後ろ盾になるのは王族に恩を売りたいからなのです。私の知人として紹介すれば陛下からの信が厚くなります。その信頼を失いたくないので私はアッテンボローさん達を可能な限り守ります」
「正直なのは良いですが、メイドさんからゴゴゴゴゴと音が聞こえそうなオーラを感じますが、大丈夫ですか?」
「夜が怖いですが、これは領主としてですから問題ありません。何が言いたいのかと言いますと、持ちつ持たれつの関係を求めています。目的の魔石を運良く入手する難しさはともかく、それさえあればスキルを意図的に付与できるとは画期的な事なのですよ。店を開きたいとの事でしたな。本来は知人だと言う事だけでカノープスを贔屓にはしたくないのですが、この力は別です。この町の領主としてお抱え商会とすればちょっかいを掛けてくる者も減りましょう。暫くすれば子爵親子が来るので、そこでカノープスを紹介し、その場にお茶を持ってくるのがメイドに扮したイリーヌとすれば、彼女を買ったのが私だと勘違いし、もう手の出せない所にいると思うでしょう・・・」
俺達は隣室にて待機する事になった。
暫くカノープスさんと侯爵さんが談笑していたが、イリーヌはメイドさんに連れられて台所にて待機だ。
どうやら侯爵さんも問題の子爵をよく思っていないらしく、これを気にザマァをしたいらしい。
別の派閥に所属していると言っていた。
王族派というのと、貴族派、中立派とあり、侯爵さんは王族派に所属しているとの事。
問題の子爵は貴族派だ。
ただ、近年力を失くしつつ有り、貴族派が台頭してきており、王族が力を示す何かが欲しく、そんな中俺が現れたと。
カノープスさんを殺そうとしたのは貴族派で、子爵の嫡男の独断か、力をつけつつある商会を潰そうとしたのかまでは分からない。
これから1週間程魔石を集め、特に戦闘に役に立つのを王族に付与したいとい言う。
貴族も護衛がいるとはいえ、最後は己の力により身を守らざるを得ない。
また、流れ矢や、油断したり不意を突かれたりして、賊が護衛をすり抜けたりする事もある。
大抵の王族貴族は近接戦闘系のスキルを持ち合わせていない。
呼び出しをしてから1時間半位だろうか、漸く子爵が来たようだ。
トントントンと応接室のドアがノックされ、部屋の中に待機していたメイドがドアを開け、来訪者たる子爵がドアの外にいる旨を伝えた。
侯爵はメイドに頷き入るように促した。
「急に悪いね。取り敢えず掛けてくれ」
子爵は息子を伴っており、ソファーに座る前に挨拶をした。
「侯爵様、お久し振りでございます。息子共々との事でしたので連れて参りましたが、急ぎの呼び出しとは何かあったのでしょうか?」
「うむ。ギンガイヤル子爵よ、これから話す故まず座ってくれ」
ギンガイヤル子爵は再度座るように促され恐る恐る座る。
コンコンコンと再びドアがノックされ、トレーを持ったメイドが失礼しますと1言言ってから部屋に入り、お茶を持ってきてテーブルの上に出して行く。
お茶を中央に5つ全て固めて置く。
毒殺対策で、客人がどれを飲むか選び、更に持ってきた者に1つ指定する。最初に給仕した者が飲み干しら次に招いた側が残ったお茶に口をつけるのが礼儀となっている。
4人がお茶に口を付けたがメイドは子爵達から見える位置、侯爵よ横に立ち控えている。
しかし子爵の息子は唖然としていた。
「ギンガイヤルよ、最近私のメイドの事を探しておるようだがどう言う事かね?」
イリーヌがお辞儀をした。
「そ、そんな・・・」
子爵は息子の様子を見て悟った。
「これは既に侯爵様がお買いになられていたのですね。知らずに失礼しました。彼女をカノープス商会が購入したと聞き購入を打診しましたが、いないとしか言わぬ為に購入者を探しておりました・・・」
「うむ。知らなかったのだな。まあそのような事だろうと思い呼んだのだ。で、本題だが、この程このカノープスを通し良き人物を紹介されその者との縁を確固たるものとする為、カノープス商会を私のお抱え商会とする事を伝えたい。それだけだ」
ギンガイヤル子爵は顔を青くして今にも泣きそうな小太りで陰気臭い息子を立たせると、逃げるように侯爵の屋敷から去っていった。
流石に売ってくださいと言わぬ自制は働いたようで、その会話を隣の部屋で聞いていた俺達は安堵したのだった。
「アッテンボローさん、ぶっちゃけ的な話をしますが、私が貴方達の後ろ盾になるのは王族に恩を売りたいからなのです。私の知人として紹介すれば陛下からの信が厚くなります。その信頼を失いたくないので私はアッテンボローさん達を可能な限り守ります」
「正直なのは良いですが、メイドさんからゴゴゴゴゴと音が聞こえそうなオーラを感じますが、大丈夫ですか?」
「夜が怖いですが、これは領主としてですから問題ありません。何が言いたいのかと言いますと、持ちつ持たれつの関係を求めています。目的の魔石を運良く入手する難しさはともかく、それさえあればスキルを意図的に付与できるとは画期的な事なのですよ。店を開きたいとの事でしたな。本来は知人だと言う事だけでカノープスを贔屓にはしたくないのですが、この力は別です。この町の領主としてお抱え商会とすればちょっかいを掛けてくる者も減りましょう。暫くすれば子爵親子が来るので、そこでカノープスを紹介し、その場にお茶を持ってくるのがメイドに扮したイリーヌとすれば、彼女を買ったのが私だと勘違いし、もう手の出せない所にいると思うでしょう・・・」
俺達は隣室にて待機する事になった。
暫くカノープスさんと侯爵さんが談笑していたが、イリーヌはメイドさんに連れられて台所にて待機だ。
どうやら侯爵さんも問題の子爵をよく思っていないらしく、これを気にザマァをしたいらしい。
別の派閥に所属していると言っていた。
王族派というのと、貴族派、中立派とあり、侯爵さんは王族派に所属しているとの事。
問題の子爵は貴族派だ。
ただ、近年力を失くしつつ有り、貴族派が台頭してきており、王族が力を示す何かが欲しく、そんな中俺が現れたと。
カノープスさんを殺そうとしたのは貴族派で、子爵の嫡男の独断か、力をつけつつある商会を潰そうとしたのかまでは分からない。
これから1週間程魔石を集め、特に戦闘に役に立つのを王族に付与したいとい言う。
貴族も護衛がいるとはいえ、最後は己の力により身を守らざるを得ない。
また、流れ矢や、油断したり不意を突かれたりして、賊が護衛をすり抜けたりする事もある。
大抵の王族貴族は近接戦闘系のスキルを持ち合わせていない。
呼び出しをしてから1時間半位だろうか、漸く子爵が来たようだ。
トントントンと応接室のドアがノックされ、部屋の中に待機していたメイドがドアを開け、来訪者たる子爵がドアの外にいる旨を伝えた。
侯爵はメイドに頷き入るように促した。
「急に悪いね。取り敢えず掛けてくれ」
子爵は息子を伴っており、ソファーに座る前に挨拶をした。
「侯爵様、お久し振りでございます。息子共々との事でしたので連れて参りましたが、急ぎの呼び出しとは何かあったのでしょうか?」
「うむ。ギンガイヤル子爵よ、これから話す故まず座ってくれ」
ギンガイヤル子爵は再度座るように促され恐る恐る座る。
コンコンコンと再びドアがノックされ、トレーを持ったメイドが失礼しますと1言言ってから部屋に入り、お茶を持ってきてテーブルの上に出して行く。
お茶を中央に5つ全て固めて置く。
毒殺対策で、客人がどれを飲むか選び、更に持ってきた者に1つ指定する。最初に給仕した者が飲み干しら次に招いた側が残ったお茶に口をつけるのが礼儀となっている。
4人がお茶に口を付けたがメイドは子爵達から見える位置、侯爵よ横に立ち控えている。
しかし子爵の息子は唖然としていた。
「ギンガイヤルよ、最近私のメイドの事を探しておるようだがどう言う事かね?」
イリーヌがお辞儀をした。
「そ、そんな・・・」
子爵は息子の様子を見て悟った。
「これは既に侯爵様がお買いになられていたのですね。知らずに失礼しました。彼女をカノープス商会が購入したと聞き購入を打診しましたが、いないとしか言わぬ為に購入者を探しておりました・・・」
「うむ。知らなかったのだな。まあそのような事だろうと思い呼んだのだ。で、本題だが、この程このカノープスを通し良き人物を紹介されその者との縁を確固たるものとする為、カノープス商会を私のお抱え商会とする事を伝えたい。それだけだ」
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