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第41話 襲われる

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 俺は考えなければならない事が多く、イリーヌの介添はルシアスに任せっぱなしだった。

 カノープス商会を出てすぐに、ふと視線を感じたので振り向くと俺が振り向いたからか、視線の主は視線を外したようだ。
 残念ながら顔は見えなかったが多分黒髪の女だ。

「振り向くなよ。つけられている」

 俺達は通りを外れ、脇道に入る。

「素人だと思います。追い掛けてきていますね」

「私も感じるぞ!」

 2人共気配察知を持っているから感じるのだろう。俺は偶々視認しただけだ。

 更に先を曲がり、そこで待ち受ける事にした。
 足音が聞こえる。
 俺は物陰に潜み、先にはルシアスとイリーヌが待ち構えていた。

「えっ?あれ?」

 薙刀を持った黒髪黒目の美少女だった。

「俺に何か用か?お前プレーヤーだな?」

 驚いていたように振り向くが、その顔に驚いた。
 見た事がある。
 美人過ぎる薙刀少女としてテレビで見たと思うが、名前が出てこない。

「貴様!日本人として恥ずかしくないのか?奴隷を手籠めにするとは女の敵!恥を知りなさい!さあ怪我をしたくなければ今直ぐ彼女達を解放しなさい!」

「はい?」

「女の敵!貴女達、今助けます」

「意味がわからんぞ」

「せいあー!」

 いきなり薙刀を繰り出してきた。

 ひらりと躱すが、2人が動き出したので手で制した。

 狭い路地の為ぶん回せないから突きを繰り出してくる。

「危ないからやめとけ!誤解だから落ち着けって!」

「下郎が!何を言うか!」

「おいおい、俺が何をしたっていうんだよ!」

「貴様、ちょこまかと!女を汚しておいてよく言うな!」

 あかん。完全に誤解しているな。
 仕方が無い・・・
 取り敢えず捕まえるか。

「ダッシュ」

 俺は一気に距離を詰めると、その美少女の懐に入り、体を密着させ壁ドンをした。

「人の話を聞けえぇ!それと薙刀なんてこんな狭い場所で使うもんじゃないぞ!。ナイフ位にしないと壁に引っ掛かって突き位しか繰り出せないからな」

 うわっ!やっぱ綺麗だな。
 正統派の美少女で、中々ボリュームのある胸だ。
 さっきからぷるるんだった。

「くっ!は、離せ!」

 イリーヌがナイフを持ってこちらに来るとその美少女の首にナイフを突き付けた。

「主殿への無礼は許さないぞ!武器を捨てなさい」

「くっ!」

 素直に落とした。
 ルシアスが薙刀を拾うと俺は壁ドンを止めた。

「お前、何か誤解しているぞ。取り敢えず話を聞こうか」

「この2人は奴隷だな。奴隷にエッチな事をさせているのであろう!?」

「そんな事はしていないぞ。うーん、ルシアス、イリーヌ、この女性の質問に正直に答えてやってくれ」

「くう。貴女達はこの男にひどい目に合わされ、手籠めにされたのであろう?」

「主殿は柔らかな布団と温かな食事を与え、我らを奴隷としては扱わないぞ。それに私はまだ生娘だ。抱いてくれと懇願しても奴隷は抱かないと言って抱いてくれないのだ!」

「私は前の主の命令に逆らえず、アロン様を殺そうとする悪事に加担させられ、お詫びとしてこの体を好きにしてと言っても抱いてくださりません。今は恋人としてくれていますが、私もまだ生娘ですわ」

「では女として酷い事をされていないの?」

 2人は頷く。

 顔が青ざめるのがわかる。
 するとわなわなと力なくその場に崩れ、女の子座りになった。

「わ、私は・・・間違ったのか?」

「誤解は解けたって事で良いか?」

 グルルルとその女のお腹が鳴った。

「俺達これから昼食を食べに行くんだ。良かったら一緒に食べないか?誤解とかについて話をしたいし、情報を交換したい」

「しかし、私はお金が・・・」

「奢るから気にすんな」

 ぱっと明るくなった。
 服の汚れや状態からお金が無いのだと思う。
 それにまともに食っていないんだろう。

 一瞬鑑定をしようと考えたが、まだ仲間ではないのと、敵ではない者を鑑定するのはフェアじゃないと思い鑑定を止めた。

「そ、その、勘違いをしてしまったようでご、ごめんなさい」

「気にしないで。ここは始まりの町から数百キロ離れているらしいのによく来れたな。まあ、俺も腹減ったし食べながら話そうか」

「う、うん。お願い致します!」

 ペコリとお辞儀をしたが、この子意外と素直だなと思う。

 17歳か18歳かな?

 俺の横を彼女が歩き、イリーヌは睨みを効かせ、ルシアスはのほほんと後ろを歩く。

 あらあらといった具合だ。

「自己紹介とか食べながらだから今は君とかで呼ぶね」

「カレン。カレンと呼んで・・・」

 さてどうするかな。
 俺は女性には甘い。
 いや、免疫が少ない。
 この子どう見てもやつれている。
 痩せているのとはレベルが違う。
 ふっと露店で買ったパンがあったなと思い出し、ストレージから出した。

「腹減ったろ?繋で少し食うか?」

「良いのですか?」

「どうせ1日以上何も食っていないんだろ?食べろよ」

 カレンは受け取るとガツガツ食べ、噎せたので水の入ったコップを渡して飲ませた。

「慌てるな」

 カレンが食べ終ている時にルシアスが俺の横に来た。

「何者なのでしょうか?」

「俺は記憶を無くしているけど、間違いなく同郷の者だ。つまり異世界人だよ」

「どう言う事でしょうか?」

「言っていなかったっけ?俺は異世界からこの世界に飛ばされてきたんだ。俺が昨夜した事とかはそのお陰だと思うんだ。後で詳しく話すよ」

 その後店に入り定食を4つ頼んだ。
 カレンは俺の横に座らせた。

 味付けは濃くはないが、それなりにあり、ソースもある。
 食べ終わるとタワーに向かう予定を変更だなと思いつつ、名前を中心に自己紹介を始めるのであった。
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