ザ・タワー 〜俺にしかできない魔石を鑑定する能力!魔石を使っての魔法&スキル付与!この力で最強を目指す〜

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第31話 ルシアス倒れる

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 その後ショートソードと魔力回復ポーションを中心に必要な物を買い込む事にした。
 特に毒を始め、各種状態異常からの回復アイテムは必須だ。

 検証して分った事がある。
 収納カバンは時間停止がないが、ストレージのスキルは時間が停止する。

 別の魔石屋に行くついでに露天で食べ物を買いつつ他に魔石屋が無いかと探していた。
 カノープス商会の魔石屋の話だと、魔石大は人の頭程とかなり大きく、値段も金貨100枚を超えるのだとか。

 まず市場には出さないと言うか、国が戦争に備えて備蓄するのに回すのが普通なのと、市場に出しても使い道が限られるので、オーダーが入った時しか販売しないのだとか。
 勉強になる。

 ルシアスの行動には少しは目を瞑ろうと思う。
 歩くのも腕を組んでくる。
 わざとらしく胸に当てるのもお約束的な行動だ。
 まだ俺を信じられないようだ。
 手を離すと捨てられると思ってか、逃さないぞとばかりにしがみついている。

 美少女と腕を組んで歩くのは嫌じゃないけど、残念ながら今は恋人ではない。

 市場にも魔石屋があるとの事で、そちらも物色すべく2人でブラブラと彷徨っていた。
 何とか目的地に着いたが、多くの人で賑わっており、鑑定している暇はない。
 色の濃い魔石を目視で手に取って買って行くが、小が3個と中が1個確保できた。
 中はともかく、小は次々と手に取り買って行くので、いちいち鑑定などしていられないのだ。

 大体分かったが、カノープス商会でお願いしたような魔石の確保については、命を助けたカノープスの口利きがあったればこそで、1見さんの俺が単独で話をしても断られるだけだろう。

 ルシアスも俺がしようとしている事が分かるので、一緒に魔石屋を見てくれている。
 馴染みになれば仕分けをしてくれるかもだが、今ではない。
 あちこち歩き回りもう1店舗探す事が出来たが、お昼近かったのもあり1つ、しかも小しか確保できなかった。

 まだ夕方まで少し時間があるのでタワーに入る事にした。
 タワーの周りにある露天でパンに野菜が挟まれているのを買い、近くにある噴水の縁に腰掛けてササッと済ませる。

 その後タワーに入るとルシアスの手を取り、転移板に触れて5階層に行く。
 ルシアスは1~10階層に入った事がなく、ボスから行く事にした。

「俺は5階層のボスまでは倒しているから大丈夫。だから行こうか。うん。大丈夫だよ!俺が守るし、魔法の試し撃ちをしてみて」

「このような少人数でタワーに入った事が無いのですが、大丈夫なのでしょうか?」

「俺の時はソロだったから大丈夫だよ。その時はオルトロスで、双頭の獣で動きが素早かったな。突進してきたと思ったら一気に横に飛び、視界の外から襲って来たよ」

「分かりました。参りましょう!」

 覚悟を決めたのか2人でボスに挑む。

 階段の所で少し待つ事に。
 誰かがボスと戦っているようだった。
 ボスに誰かが挑んでいるとボス部屋には入れない。
 小説やアニメでよくあるやつだが、何の小説だったか思い出せない。
 知識はあるが、何の知識なのかが分からない。
 これが記憶の対価なのだろうが、実に中途半端だ。
 それとも時間経過で記憶がどんどん無くなるのか?
 まあ良い。

 そんな事より早く開けよ!
 俺の手を握るルシアスの手は汗ばんでいた。
 緊張しているようだ。
 レベルからすると余裕だとは思うのだが。

 10分程すると扉が開き、俺達は待ってましたと言わんばかりに中に入った。

 しかし変だった。
 服やら剣、ナイフに靴、どうみても2、3人分の装備が1人分ずつ固まって落ちていて、入口から離れた所に3つ首の獣がいて唖然となった。

「アロン様撤退を!」

 ルシアスの1言に慌ててルシアスの手を引き、扉へ引き返そうとしたが無情にもその扉は目の前で閉まった。

「ケルベロスだと?」

「アロン様!お気を付けください!あれは中層のボスです!何故ここに!?」

「あの装備はひょっとして?」

「私達の前に入った者達のです。つまりこのボスに殺されました」

 冷や汗が出る。急いでフラガラッハに持ち替え身構える。

「来ます!アイスショット!」

 先に動いたのはケルベロスで、ルシアスをターゲットにした。
 彼女は後方支援者だが、覚えたてのアイスショットを早速放った。

 ケルベロスはそれを避けると、避けた方にいた俺にターゲットを変えた。

 大人のライオン程の体躯に3つの頭。
 この前のオルトロスの倍位の大きさだ。

 突進して来たが、ブーツの力で大ジャンプをして躱すも振り向きざまに何かを放って来た。

 慌ててファイヤーボールを放ち相殺しようとした。
こちらの方が強かったらしくケルベロスに当たり、全身が炎に包まれる。

「やったか!」

 ついフラグ臭がするひと言を放ったが、炎の中から平然そうに、いや、活性化してゆっくりこちらに歩いてくる。

「火は駄目です!ケルベロスは火属性です」

 しまった!と思うも、次々とアイスショットを放つルシアスに向かって襲い掛かる。

「スラッシュ」

 割って入れないので、スラッシュをルシアスの少し手前に放つ。

 すると急ブレーキを掛け、俺に向いて各々の首から炎の玉を俺に放った。

「ダッシュ!」

 猛スピードで駆け出し、ファイヤーボールをフラガラッハで斬り裂きつつケルベロスに肉薄し、フラガラッハを振る。

 意表を点いたようでケルベロスは回避が間に合わず、フラガラッハが襲い掛かる。

 ケルベロスの首が2つ宙を舞う。
 同時に振られた尻尾の1撃を貰ってしまい壁に吹き飛ばされ、背中をしこたま打った。
 一気に肺の空気が抜ける。

「ぐはっ!」

「アロン様!」

 よろけている俺に止めを刺すべくケルベロスが駆け寄り、前脚が振られたが、俺の目の前にルシアスがたちはだかり身を挺して俺を守った。

「キャー」

 胸を斬り裂かれ、血を吹き出しながらルシアスが吹き飛ぶ。

 ぶっつけ本番だがテレポートでケルベロスの背後に回り、振り向き様にフラガラッハを振り抜くとケルベロスの体が両断された。
 そして約2秒のエフェクトの後に魔石とドロップを落として消えていった。

 俺は慌ててルシアスを探すと、壁に叩きつけられてぐったりしている姿を見たが、その胸は血で真っ赤だった。

 慌てて抱き上げると何度もヒールを掛ける。
 しかし、ヒールが効いている感じがしない。

「ごふっ!」

 ルシアスが口から血を吐き出した。
 俺は収納から出した布で口を拭う。

「アロン様・・・ケルベロスは?」

 ゴホッゴホッ!と噎せた。

「俺のミスだ。君のお陰で倒した。ああルシアス!何がして欲しい!?」

「わた・・・し・・・キスをした事が無いのですが、至急お情けかキスを・・・お分け下さい」

「ああ!キス位何度でもしてやる!」

 ハァハァハァ・・・

 息の荒いルシアスの手を握りながらお互いにとってのファーストキスをした。

 唇を離すとルシアスはニコリと微笑んだ。

「もう駄目です・・・申し訳ありません・・・後をおねが・・・」

 すると俺にしがみついていた手の力が抜け、だらんとなり動かなくなった。
 俺はその瞬間ルシアスううう!と叫んだのであった。
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