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第29話 朝チュン?

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 チュンチュン、チュンチュン。
 窓から見える小鳥が囀っている。

 朝か・・・
 暖かく柔らかな布団。心地良い朝だな。
 俺の胸には2人の女性の頭が。

 両手は何か柔らかい物に触れていて、更に手の甲には柔らかく暖かな感触がある。
 取り敢えず揉んでみる。
 至極の感触。
 しかし、アアンと2人からセクシーな呻き声が聞こえて、己の手を見ると・・・2人の胸をがっしりと掴んでいた。

 急激に意識が覚醒してきた。
 どう見ても朝チュンだ。
 2人の美少女と・・・
 やったのか?あれ程格好をつけたのに、大人の階段を登ったのか?

 ただ、今のこの状況が分からない。
 ただ、彼女達の温もりと柔らかさが心地良いのと、手に伝わる胸の感触が堪らんという事だ。

 しかし、ある意味寒い。己の行った事に寒気を感じた。

 でも記憶がない。
 体の関係になった記憶が。
 恐る恐るステータスを見ると、新しいスキルとしてテレポートがある。
 これは覚えている。
 昨夜俺、ルシアス、イリーヌ、各々に1つずつスキルを付与した。 
 だがその後の記憶がない。

 しかし、己の事を確認するとほっとした。
 まだやっていなく、童貞のままだった。

 俺は記憶がないのに何故自分が童貞なのかが判ったかというと、自分のなら良いが、他人のだと見てはならない項目をステータスの奥深くに発見していたのだ。

 経験人数・・・0だったんだ。
 それと第2職業に英雄があったからだ。
 一般人とエッチするのは良い。
 だが、娼婦と奴隷とするのは不味い。
 俺は今頃だけど思い出したんだ。
 奴隷及び娼婦と本番、つまり俺の如意棒を秘密の花園に挿入すると第2職業から英雄が消える。
 これは絶対にまずい!
 でもキスや胸を触るのはセーフのようだ。ほっ!

 しかし、流石に胸を触りっぱなしだと本当に大人の階段を昇り兼ねないから引き離そうとするも・・・がっしりとホールドされていて離せられない。

「2人共起きてるんだろ?おはよう」 

 ・
 ・
 ・

 反応がない。

 胸から手を離せないが、指を器用に動かしてこちょこちょとすると、2人はキャハハハと悲鳴を上げながら半身を起こした。

 朝日に照らされた裸体にはエロさはなく、神秘的な女神にさえ見えた。

「おはよう。綺麗だよ。でも綺麗過ぎて目の毒だ。服を着てくれないか?」

 俺は背を向け服を着る。
 2人は手を出してこない俺をジト目で見つつ、服を着て行った。
 手は出したいよ!でもね、奴隷に手を出したら命取りなんだよ!?
 これ絶対女神とかが、俺が美少女に手を出せずに悶々とする様を見て楽しむやつだろう?

「失礼しました。アロン様、おはようございます!昨夜はスキルを頂きありがとうございます!」

「主殿!おはようございます!スキルを下賜して頂き驚きました。それよりも、お情けを頂けなかったのは、私では不満だからなのでしょうか?」

「俺は主人の立場で女は抱かないの!」

「でも私達の裸に興奮し、胸も揉んでいたのに!何故なのだろうか!?」

「そりゃあ君達のような美少女の裸に興奮しない訳ないだろ。主人と奴隷の関係じゃなかったら多分抱いたと思う。それが答えだよ。それに寝起きに何か触れていたら揉むだろ?胸だと思って揉んだんじゃないんだ」

「どうか売らないでください!」

「絶対に手放さないよ!だから心配しないで」 

 2人は俺の言葉に安心したようだ。

「お情けを頂けないのに売られないのですか?」

「俺は記憶をなくしているって言ったでしょ?1人じゃジリ貧だし、ルシアスから聞いているかもだけど、騙されて殺され掛けたんだ。だから君達の様に裏切らないと確証の持てる人以外とはタワーに入りたくないんだ。だから絶対に売らない」

「私達は絶対に裏切りません。例え奴隷から解放して頂いても」

「うん。分かっているよ」

 ギュルルルル
 誰かのお腹が鳴った。

「取り敢えず飯を食べようか」

 朝食を黙々と食べる。
 本当は和気あいあいに話をしながら食べたかった。
 だが、2人の反応からスキル付与はチートっぽいから、今何か話すとそれが口に出ると分かっているから食事は基本的に黙食とした。
 後で口止めしておかなきゃだ。

 タワーに行く前に部屋で装備を身に着けて行く。
 鎧を着たりだ。
 鎧と言ってもイリーヌはビキニアーマーの上にローブ等を着、ルシアスも肌着の上に皮の胸当てをし、その上に神官服を着る。

 俺も胸当てと肩当てをし、装備のチェックだ。

 俺は2人にお互いの装備のチェックと、俺の持っている収納カバンに1日分の食料と回復ポーション類を入れ、イリーヌに身に着けさせた。
 それと魔力を上げ、補正を均等に振る。

 魔力を上げる前は
 魔力 82(26)+補正61
 3つ上げられるな。

名前 アッテンボロー
レベル 42
体力 60(4)+補正15
魔力 -2/85(29)+補正16
体強 59(3)+補正15
魔強 59(3)+補正15
ボーナス残り 0
第1職業 魔法剣士
第2職業 英雄
【称号】
 盗賊討伐者
 ルーキー
 賞金稼ぎ
【魔法剣士固有スキル】
 ダブル
 魔力回復小
【英雄固有スキル】
 鑑定 レベル1
【エクストラスキル】
 強化
【一般スキル】
 転移 レベル1
 言語理解
 棒術 レベル1
 剣術 レベル2
 ストレージ レベル3
 アイテムドロップ率向上
 身体能力向上 レベル1
 狂乱
 NEW テレポート レベル1

【魔法スキル】
 ヒール
 ファイヤーボール

 俺とルシアスの予定はカノープス商会にてポーション類を買い、それをストレージにしまったり魔石の買い出しだ。
 イリーヌはここのタワーには入った事が無いと言っていたので、今日は別行動だ。
 つまり地下層に1人で行かないとなのだ。
 地下層はクリアするともう入れない。

「主殿、1つ質問というか、提案があるのだが宜しいだろうか?」

「どうした?」

「提案の前に確認したいのですが、スキルの事ですが、買った魔石では付与は出来ないのでしょうか?」

「あっ!その手があるのか!取り敢えず試そう!」

「それで提案ですが、それはスキル付与を生業とする事なのです」

「どういう事?」

「はい。恐らく隠そうとしてもいずれバレると思うのです。であれば、特殊能力としてお金を取り、スキル付与をすれば良いのではないかと」

 スキルは後天的に中々得られないそうだから、大金を叩いてでもスキルを欲しがる者は多いと言う。

「なるほど。確かに隠そうとしても何処かでバレるもんだよな。よし、カノープスさんに相談だな。でも今は付与出来る魔石がないな。それと地下層のは俺の感想だと、当人が必要とするのだと思う。買おうがどうしようが関係ないはずだ」

「分かりました。魔石は全て主殿に見て貰う事を忘れないように気を付けます」

 出発前に改めてイリーヌに持ち物を確認させ、1人で地下層を突破するのが大丈夫そうか聞くも余裕そうだった。

 俺はつい予備のショートソードも良い方を渡し、俺の予備の分は改めて買うとした。

 取り敢えず2人で15階層と言い掛けたが、俺はその間を通っていない事を思い出し、改めて3人で肩慣らしを兼ねて行こうと思った。 

 そうしてタワー入り口に来た時にイリーヌへお金を渡していないのだと気が付き、入場料と多少の装備を買えるだけのお金を渡して別れた。

 そのままカノープス商会に赴き、カノープスさんと話をする事にした。
 開店前だったのもあり、直ぐに応対してくれて魔石について相談する事にしたのであった。
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