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第30話 魔石屋にて鑑定する

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「忙しい所申し訳ないです。1つ相談があるのですが、その前にイリーヌなのですが、実はこの町のタワーに入った事が無いので今日は1人で下層です」

「なるほど。どうなされましたか?」

「魔石についてです。商会で扱っていませんか?」

「勿論買い取りや販売をしていますよ」

「因みにギルドで売るものだと思っていましたが、カノープスさんの所で売った方が良いのか分からないのと、特定の魔石について集めたいのです」

「私としては直接商会にドロップを含め、売って頂けると有り難いです。大抵の冒険者は商会とツテがないのでギルドに売る事になります。ただ、全く売らないと不都合があると聞きますので、半々が宜しいかと。それと特定の魔石については?」  

「魔石って色が違う物があると思いますが、どう違うのかご存知ですか?」

「ギルドも商会も大きさと重さで買い取り価格を決めていますが、色は個体差だと思っておりますが違うのですか?見た目を気にするのは精々杖の先に装着する魔石位ですかね」

「違うんです。何が違い、どう使うのかについてはまだ言えませんが、扱っている魔石を仕分けして売ってくれませんか?勿論割増しで買います」

「どれ位の値段を考えていますか?」 

「手間賃がどれ位になるか分かりませんが、その魔石の1.5倍程を考えています。多分階層主とか、ボスの魔石が色が濃いと思うのです」

「どれ位の割合で有るのでしょうか?」

「正直分からないんです。100体に1体程通常の魔物が色付きを落とすかもだし、1000かも分かりません。ただ、5階層毎のボスはそうではないかと睨んでいます。俺もまだボスは地下層と地上は5階層までで、このルシアスを仲間にする切っ掛けになった騙し討ちも14階層の魔物部屋も400体倒すもボスだけ色付きで、そこにあった宝箱の中も色付きでした」

「簡単に分かるのですか?」

「カノープス様、気にしなければ気にしないと思いますが、色の濃いのをと思えば気が付きます」

「それと、それを使った商売をしたいので、その時は店舗の紹介やカノープス商会の系列店として出させて貰えないかなと思うんです。勿論目処が立ちましたら全て話します」

「そこまで考えられているのなら、私にとっても損な話ではないです。ただ、アッテンボロー様は駆け引きに疎いですぞ。私でなければ2倍から3倍と言われ兼ねませんぞ。本来1割乗せでどうかと探り、3割乗せで決着する所です」

「でしょうね。カノープスさんのところでなければそうしています。お世話になっているカノープスさんだから高い金額で話をしています。また、商売をする時にサービス提供額について相談させて下さい」

「分かりました。これに関しては恩人抜きで価格を決める事になりますが宜しいのか?」

「其の方がお互いやりやすいでしょうが、損はさせませんよ」 

「では商談成立ですな」

「ただ、俺もお金には限りがあるので、魔石の買い取りは全てではなく、払ったお金分か、設定した金額でお願いします」

「流石分かっておいでだ。早速魔石屋に行きますかな?」 

 魔石はカノープス商会の主力商品の1つでもあり、本店の直ぐ近くだった。
 家庭にある様々な魔導具の動力源になり、ランプや調理器具の熱源、暖房設備の動力源になる。

 また、魔導具の原料となり、大きくなる程反比例的に値段が上がる。

 開店前だったが、店に並んでいる魔石をまず見る事にした。
 店頭に並んでいる分はその価格で買うが、取り敢えず1つでも色付きがあれば良い。
 見本として指示を出せるからだ。

 店の出入り口にカウンターがあり、店内は魔石の大きさ別の籠が台の上に置かれ、屈まなくても良いようになっている。

 大きな魔石は貴族の屋敷に卸す分は店先に並ばないが、店先に並ぶ大きいのは魔導具の作成や杖に組み込む分で、魔石自体は重さで価値が決まるが、読んで字の如く魔力が凝縮された石であり形は様々だ。

 なので組み込用の魔石は形も大事なので、目的の形の魔石を選びに来る者もいる。
 なので、組み込み用で需要のある形の魔石は選別されており、杖用として数倍の値段になるそうだ。

 大きい魔石の方が人気がある。
 小さいと直ぐになくなるから、補充の回数を減らすのに人気だ。
 ランプ等は1番小さな魔石でも数時間持つから、小さな魔石はランプ用だそうだ。

 店先では杖用は別にされていて、後は大きさ別。つまり価格帯別に並べられている。

 杖用は別とし、並べられた魔石の7割はその日に捌けるのだとか。

 魔石を買えるのはスラムの者は無理だが、普通に仕事をしていれば魔導コンロやランプの分は買える。
 小さな魔石だと魔導コンロは10分位で使い果たすとかで、お金のない者は小さいのをこまめに補充して使うので需要はかなりあり、真っ先に無くなるのだとか。

 市井の者の日常の買い物は食料品、魔石、日曜品、衣服の順で大事になり、魔石無しの生活はありえず、その魔石を確保するのが冒険者の主な仕事だ。
 だから30階層までの低階層は人気があり、他の冒険者とかち合う事があり、それを嫌って専業冒険者は兼業冒険者が多い低層階を避けて中級層を活動の場に選んでいるのだとか。

 先ずは開店時間が近いからと俺は魔石の選定、カノープスさんとルシアスは魔石屋の店長と話をしている。

 早速小さい物の中に見つかった。


 魔石極小《ス》
 最低ランクの魔石
 スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《調理》


 魔石極小《ス》
 最低ランクの魔石
 スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《研師》

 魔石極小《ス》
 最低ランクの魔石
 スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《棒術》

 取り敢えず普通のとその3個を色の違う魔石の見本としてカノープスさんに渡した。

 数百個あるランプ用の極小はざっと見てこれだけだった。
 内容はともかく寧ろ多かったかも。

 魔石小《マ》
 最低ランクの魔石
 魔法を付与する事が出来る。
 付与可能魔法《アースホール》

 魔石小《マ》
 普通ランクの魔石
 魔法を付与する事が出来る。
 付与可能魔法《ファイヤーボール》

 魔石小《マ》
 普通ランクの魔石
 魔法を付与する事が出来る。
 付与可能魔法《ウォーターボール》

 魔石中《ス》
 最低ランクの魔石
  スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《防御力アップ》

 魔石中《ス》
 中ランクの魔石
  スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《獲得経験値アップ》

 魔石大《ス》
 最低ランクの魔石
  スキルを付与する事が出来る。
 付与スキルは《エスケープ》

 魔石大《マ》
 最低ランクの魔石
 魔法を付与する事が出来る。
 付与可能魔法《エリアヒール》

 見付かったのはこれだけだった。
 いや、これ程ではなく多いのか?だが、ダブリもあるかと思ったが、予測よりも多い。

 金額は店で扱っている中では大いので金貨10枚、中の上で金貨2枚、中の中で金貨1枚、中の下で銀貨5枚、小で銀貨1枚、極小は銅貨1枚だ。

 逆にこちらの魔石小の買い取りはギルドより気持ち多い位で、1個につき510ネカオ、つまり銅貨5枚ちょいだ。
 200個を売ると喜んでくれた。
 主力の値段帯で、魔導コンロに人気なのだとか。
 また、買値の倍近くで売っているのだから、まあ良い商売だよな。
 因みに杖用のは色付きはなかった。

 取り敢えず1ヶ月は様子見で一旦取り置いてくれて、大金貨5枚分は手持ち資金があると伝えた。
 鑑定の事が有るが、買い取りは未鑑定で行おうと思う。
 甘いかもだけど、選り好みをするのは不誠実かな。
 どんなスキルや魔法でも、商売としてやる時は欲しい人がいるかもだしな。
 これから貴族に卸す分は既に別にされていた為に見れなかったが、それ以外の店にある仕入れただけで未選別だった魔石を含め、全て見たのであった。
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