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第1章(高校生入学編)

第111話 斗升の救援へ!

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「いやー!」

 友里愛が取り乱していた。
 後から分かったが、トラップを踏み抜いたのではなく4階層のボスを倒した後発動するトラップだった。

 時は少し戻り、友里愛がトラップの発動により落下し掛かった時になる。

 モーモンが身代わりになってくれた、斗升が自分をトラップから投げ出そうとしてくれた。
 その途端に穴が消え、斗升がいなくなった。
 しかも切断されたモーモンの下半身が残されており、上半身は斗升と共に消えてしまった。
 しかしグロい・・・
 血がドピューッと吹き出しピクピクとしていた。
 それらにより友里愛は取り乱していたのだ。

「布を掛けるのです!」

 レイラがいち早く指示を出すと、璃音はカバンからコートを出しモーモンの下半身の切断面に掛けた。
 足首は見えていてシュールな状況ではあるものの切断された箇所が見えないのでかなりましだった。

 特に友里愛、みーこ、アレクシアがカーヴァント達と共に穴を開けようと必死になったが、5分ほどで徒労に終わったと分かった。
 その途中モーモンの下半身が不意に消え、ラッチーがカードに戻った。

「友里愛様、ラッチーのカードを預かって頂けませんでしょうか?」

「あのう、カーヴァントって自らの意思でカードに戻れるんですか?授業で聞いたのとは違います・・・」

 勿論優等生の友里愛は書籍やネットで詳しい知識があるが、今の状況はその知識とは違う。

 基本的にカーヴァントの主、つまりマスターがカーヴァントに戻るように指示しない限りカードに戻る事はない。
 戻るようにとの掛け声は、意味が通じるワードと、ワードの次にカーヴァントの名前を告げる必要がある。

 カーヴァントが自らの意思でカードになる唯一の手段は、ラビリンスを出ようとした時のみだと探索者になるあなたへにも書かれている。

 手引書に書かれているのはこうだ。
 例えばロイという名のカーヴァントについてだが、召喚時は「出でよロイ」、カードに戻す時は「戻れロイ」とする。
 この掛け声は間違いようのない推奨ワードとする。

 但し、カーヴァントを視認又は肉声がカーヴァントに届いていなければならないが、カードに戻るとマスターの手に残る。

 但し、もしも近くにいないときに戻れと発した場合、カードはカーヴァントがいたその場に落ちるので基本的に視認できない所で戻る指示をしない事!とある。

 友里愛は混乱しており、手引書の内容を失念しただけだ。

 斗升はラッチーで試したのだ。
 それは斗升は生きている事を示す。
 色々な意味がある。
 マスターが生きているか死んでいるかは、マスターのいるカードを見れば分かるのだ。

「友里愛ちゃん、斗升は自分が生きている事を示すのに1体だけカードに戻したのだと思うわ。インカムが通じないから、少なくとも2階層は落ちたはずだし、モーモンの下半身の消え方からすると斗升がモーモンをカードに戻したのよ。モーモンが死んだら消え方は違うから」

 カーヴァントを含め全員が集まった。
 取り敢えず斗升のカーヴァントはレイラに従い、基本的にレイラは斗升の姉である璃音の指示に従う事になった。
 但し、斗升のカーヴァントは誰かのカーヴァントか人間と共に過ごす事になった。

 理由はともかく、斗升がカードに戻す可能性があるからだ。
 ラビリンス内で不意にカードに戻った場合、誰かに拾われる可能性は少ない。
 階段付近とか、メインの通路等であれば誰かが拾ってギルドに届けてくれる可能性があるが、変な隙間に嵌ったりと、誰にも気が付かれない可能性が高い。

 それから話し合い、2手に分かれる事になった。
 誰かが地上に行かなければならないのだ。
 人数の関係からハイシルエットの2人は地上に戻り、学校とギルドに知らせ、救援要請をする。

 残りは下層へ進み、斗升を助けに行く事になった。
 イレギュラーが発生したからだ。

 斗升のカーヴァントが誰と行動を共にするかを決めると、鮫島と空蒼那は地上を目指し、璃音達は階段を降りて5階層へ降りて行くのだった。
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