モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ＆チート持ちだった！カードから美少女を召喚します！強いカード程１癖２癖もあり一筋縄ではない〜

第１章(高校生入学編）

第45話 お宝と忠煎廟剣

　ゼッチィーニが戻るとぼやいた。

「ちぇっ！戦っている最中に消えるなんてまったく！お楽しみの最中だったのにさ！」

　友里愛は大丈夫そうなので、状況の把握に努める事にした。

「愛姉、ゼッチィーニの話を聞いてくれる？」

「その方が良さそうね。あのね、私に近付かないでよ」

「だよね・・・水場があったりしないかな・・・って、そんな場合じゃない！父さんの剣が折れるだなんて！」

　僕は半分程で折れた剣を見て嘆いていた。

「あのう、ご主人様？剣の修理をなさらなかったのですか？」

　レイラが遠慮気味に聞いてくる。

「修理？」

「はい。最初に見た時には既に剣身にヒビを認めていたのでてっきり修理に出したものだと思っていたのです」

「えっ？」

「あの、ひょっとしてご存じなかったのでしょうか？」

「油は塗ってはいたけど、気が付かなかったよ」

「申し訳ありませんでした。ご主人様の武器の状態についてダメージがある事を認識したのにも関わらず、指摘をしませんでした。何なりと罰をお申し付け下さい」

　土下座をしそうな気配から腕を取り、実行させなかった。

「その、何で分かったの？」

「ただいまー！お宝を拾ってきたんだよ！だから許してちょんまげ！ってそんな折れた剣なんかよりこの剣は凄いっすよ！どうぞっおぉ！」

　アレクが僕に渡して来たのは１本の剣だ。

「忠煎廟剣です」

　名前を聞いて一瞬躊躇ったが手を伸ばした。

　長さと重さはずっしりとしており、見た目と違い重量感があるものの、長さは自分が使いたいなと思う理想の長さに感じる。

「なんでちゅうにびょうけんなんこだよ？」

「だってオレっちがこれ兄貴が持ったらちゅうにびょうけんだよな！って拾った時に呟いたら忠煎廟剣ってなってたんですよ！中々良い名前じゃないっすか！兄貴も十分中２病を患っているし！」

　僕はため息を付きつつ愛姉と友里愛を見るも・・・なんとアレクの言に頷いているではありませんか・・・
　アレクにだけは言われたくなかった。

「名前に納得した訳じゃないけど、剣が折れたから代わりに使おうかな。剣に罪はないし、愛姉と友里愛がそれで良いなら」

「問題ないわよ」

「益々中２病ね・・・確かに剣は少し黒光りしていて罪はないわね」

「忠煎廟剣・・・ちゅうぜんびょうけんって読むぞ！読むからね！」

　剣の光沢が消える・・・

「ちゅうにびょうけんと言わなきゃ駄目？」

　光沢が戻る・・・

　友里愛と愛姉が各々の肩に手をやり頷くので諦めた。

「わ、分かったよ。忠煎廟剣（ちゅうにびょうけん）これから僕の相棒としてよろしくね」

　皆から生暖かい目で見られた。

　その他にも装備品を持ってきていたりしたので確認をする。
　それに伴いモーモン、キーンが少し離れて周りを警戒し、ムミムナとゼッチィーニが僕らの護衛だ。

　もっともライカンスロープ達が戻ってきており、広範囲に散って警戒している。

「ジョーイ、ありがとうな」

　ワシャワシャと頭を撫でるとご機嫌だった。

　荷物になるので、アレクとジョーイが集めてきたアイテムをこの場で分配する。

　パレオのような服や友里愛が使えそうな軽量のビキニアーマーだ。
　しかも柄はセクシーな白いのと黒いので、黒いのはショーナン行き、白いのは友里愛行きだ。

「これ制服の下に着られそうね！って乙女の下着を見ないの！それとそこ、せめて背中を向けて着替えなさいよ！」

　ショーナンがトップレスになり、友里愛が慌てて僕の視線を塞ぐ。

　なんだかなあと思いつつ全体の装備をアップグレードした。

　ランクアップしたり新たに発生したラビリンスには宝箱、通称トレジャーボックスが現れ、１度開けると数ヶ月は出ないらしい。

　既にライカンスロープ達が最奥のボス部屋前まで行っており、宝箱はこのフィールド層にしかなく、それも３階への階段より先にのみだ。

　また、マンティスがいたのもそうだった。

　それと水場があるとの事で、僕は護衛としてゼッチィーニとジョーイを伴ってマンティスのくっさくさの体液を洗い落としに向かった。