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第169話 顛末

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 セルカッツは父に王妃との接点を確認するも、本当に覚えがないと分かった。タニスとメイヤに魔法で記憶を探るよう指示をし一旦この場から離した。

「お母様、まるで聞き分けのない小娘のようでみっともないですわよ」

「しかし・・・」

「義母様、当時の事を詳しく話してくれませんか?話が噛み合わないので整理させてください」

 ダイランド侯爵が別の部屋に連れられていき、落ち着いたのか話し始めた。

「私の気持ちを知っていてあの人は突然私を裏切り、ルランド公国の姫を娶り、移り住むと聞かされたのです。別れも告げづに国を去りました。父の護衛としてです。私は失意の中、以前から話があったこの国の前王へ嫁がされ、気が付いたときにはもう抱かれた後でした」

 赤裸々に話し始めたが、どうやら思考能力がかなり落ちる魔法を掛けられ、初夜が終わった時に正気に戻ったがもう遅かった。
 前王は花や蝶よと大切にしてくれたらしい。
 恐らく初夜の時の子種でアイリーンを身籠った。

 その後ダイランド侯爵がバリランに戻ったと聞いた。

 セルカッツをアイリーンと婚約させたのは、ダイランド侯爵と会う口実だった。
 しかし、セルカッツを伴って現れたダイランド侯爵が口にした「お初にお目に掛かります」の挨拶に唖然としたと話していた。

 セルカッツにも戸惑う王妃の姿に違和感を感じてはいたが、ゲームではそのような背景は描かれていなかった。
 少なくともそれらが表にでる流れは経験がなかった。

 そして父親の記憶は封印されていた。

 その封印されていた記憶を覗いたタニスから聞かされたのは、王妃からの罵詈雑言を綴られた手紙だった。
 女の敵とか、失望しましたとかだ。
 何故そのような手紙が書かれたかは、王妃が騙され、信じてしまったからだ。

 他の女と婚姻すると聞き、その女は大人の女で、宗主国の王女の1人だ。

 父王の護衛で暫くいなくなるなら、必ず一言言ってからのはずが、それもなくいなくなったのが証拠だと言われ信じてしまったのだ。

 ダイランド侯爵はその手紙を見たのは、王妃がこの国に嫁いだ1週間後で、既に婚姻が終わっていた。
 理由が分からなかった。
 何故あれだけ熱烈に好意を向けていた王女が突然手のひらを返し、知らぬ間に人妻になっていたのだ。

 自殺を試み止められる。
 そこで魔導師に記憶を封印され、彼女の事は一切合切忘れてしまったのだ。

 そしてこの悲劇の2人に真実を話した。はめられたのだと16年後の今になり知った。
 王女だった王妃は、取り返しのつかない事にその場で崩れ落ちた。
「ごめんなさい・・・私が愚かでした。どうかお許しください」
「いえ、私も考えが足りませんでした。あなたに辛い思いをさせてしまいました」

「いいえ、悪いのは私です。あの時あの人達の話を信じなければこんなことにならなかったのに。愚かな私を許してください」

「許すも何も、私はあなたを愛しています。あなたが例えどんな過ちを犯したとしても、あなたの美しさ、優しさ、思いやり、心の美しさは変わりません。だから、どうか泣かないでください」

 王妃はその言葉を聞くとダイランド侯爵の胸に飛び込み、泣きじゃくっていた。
 王妃はようやく落ち着きを取り戻したようだった。

 そしてセルカッツは王妃がここ場にいる状況の異様さに気が付き、これ・・・どうしましょう?と呟いていた。
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