164 / 173
第164話 魔人化
しおりを挟む
キルカッツは話しながらセルカッツに対し剣を振り下ろした。
セルカッツは振られた剣を安々と受け流すと、首を振りつつキルカッツに言った。
「キルカッツ、お前は俺の弟だ。それに俺の数少ない血の繋がった家族だ。ここで魔王と決別して引き下がるなら見逃してやる!」
キルカッツはつばを吐きながら後ろに飛び、火傷でひどい顔を更に歪めながら何かをしようとしていた。
キルカッツは自分の胸に刻まれた魔王の紋章を掌で押さえ、魔王の名を呼んだ。
正確に世間一般的に名前と言われるような名前は魔王にはなく、魔王というのが名前なのだ。
「魔王様、僕に力をください!僕に兄さんを倒す力をください!僕に兄さんの妻たちを奪う力をください!僕に兄さんを滅ぼす力をください!代償に魔王様の真の配下になります!」
キルカッツの紋章が赤く光り始めた。
するとキルカッツの体が変化し始め、その髪が白くなり、目が赤くなる。
それだけに収まらなかった。
顔の傷がなくなると牙が口から伸びて鋭くなり、更に爪が伸びた。
キルカッツの体は徐々に筋肉質になり、背中に黒い翼が生え、魔物としか思えない姿へと成り果てたのだ。
キルカッツの体には人のそれとは違う量の魔力が満ち溢れた!つまり魔人と化したのだ。
キルカッツは魔人化すると、理性を半ば失った。
「がっ!がっ!がでべぶ!だへ!がへ!がああああ!」
キルカッツはひとっ飛びでセルカッツの目の前に飛びかかると、力任せにセルカッツに向かって剣を振り回した。
更にキルカッツはセルカッツに魔法を放ちつつ叫んだ。
対した魔法ではないが、数が多かった。
「兄さん!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!くけけけけけ!」
しかし、セルカッツは最少の動きだけでキルカッツの攻撃をかわした。 キルカッツの動きを読んだのだ。
更にセルカッツはキルカッツの隙を突いて反撃に転じつつキルカッツに言った。
「キルカッツ、お前は俺の大切な家族だ。お前は俺にとって何でもないなんてことはない。俺にとってお前は弟だ。だから・・・殺さない。お前を救う」
セルカッツはキルカッツの紋章を狙って剣を振り下ろした。
セルカッツはキルカッツの紋章を切り裂こうとしたのはキルカッツを殺す為ではなく、魔人化を解こうとしたのだ。
まだ強大な力に振り回されており、キルカッツの攻撃は速くパワーがあるものの、理性が働かず単調で大振りだった。
それでも紋章が弱点だと分っているようで、紋章を庇うのに手傷を負う。
キルカッツも必死にガードするが、セルカッツは攻撃目標を手足の腱を切ることに変え、両手の動きを封じ、紋章を狙った時に逸れてその横などを切り裂いていた。
やがてフラフラになり、トドメをと駆け出した。
しかし、そのときキルカッツの仲間が現れた。
黒尽くめでフードを被っており顔もわからないが、どうやら現れた仲間は魔王の尖兵だ。
そいつは煙幕を張ると瀕死のキルカッツを抱き上げてなりふり構わずに逃げた。
メイヤの槍とアイリーンの矢が刺さるも速度は落ちなかった。
キルカッツはセルカッツに言った。
「今日の所は兄さんの勝ちだ!また会おうね!次こそは殺すからぁぁ!全てを奪いぃぃ滅ぼすうぅ。また会うまでそこのあばずれ共としっぽりやってなよおぉぉ!あでぃおうすう!めいやぁ!次は僕の色に染めたげるからねえぇ!くけけけけけ!キュヒヒイィィィン」
キルカッツは何故か高笑いをしていた。
キルカッツに逃げられたが、セルカッツは追いかけられなかった。
あまりの事に掛ける言葉が思いつかず、変わり果てた姿のキルカッツが逃げるのをただただ眺めるしかなかった。
セルカッツは振られた剣を安々と受け流すと、首を振りつつキルカッツに言った。
「キルカッツ、お前は俺の弟だ。それに俺の数少ない血の繋がった家族だ。ここで魔王と決別して引き下がるなら見逃してやる!」
キルカッツはつばを吐きながら後ろに飛び、火傷でひどい顔を更に歪めながら何かをしようとしていた。
キルカッツは自分の胸に刻まれた魔王の紋章を掌で押さえ、魔王の名を呼んだ。
正確に世間一般的に名前と言われるような名前は魔王にはなく、魔王というのが名前なのだ。
「魔王様、僕に力をください!僕に兄さんを倒す力をください!僕に兄さんの妻たちを奪う力をください!僕に兄さんを滅ぼす力をください!代償に魔王様の真の配下になります!」
キルカッツの紋章が赤く光り始めた。
するとキルカッツの体が変化し始め、その髪が白くなり、目が赤くなる。
それだけに収まらなかった。
顔の傷がなくなると牙が口から伸びて鋭くなり、更に爪が伸びた。
キルカッツの体は徐々に筋肉質になり、背中に黒い翼が生え、魔物としか思えない姿へと成り果てたのだ。
キルカッツの体には人のそれとは違う量の魔力が満ち溢れた!つまり魔人と化したのだ。
キルカッツは魔人化すると、理性を半ば失った。
「がっ!がっ!がでべぶ!だへ!がへ!がああああ!」
キルカッツはひとっ飛びでセルカッツの目の前に飛びかかると、力任せにセルカッツに向かって剣を振り回した。
更にキルカッツはセルカッツに魔法を放ちつつ叫んだ。
対した魔法ではないが、数が多かった。
「兄さん!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!くけけけけけ!」
しかし、セルカッツは最少の動きだけでキルカッツの攻撃をかわした。 キルカッツの動きを読んだのだ。
更にセルカッツはキルカッツの隙を突いて反撃に転じつつキルカッツに言った。
「キルカッツ、お前は俺の大切な家族だ。お前は俺にとって何でもないなんてことはない。俺にとってお前は弟だ。だから・・・殺さない。お前を救う」
セルカッツはキルカッツの紋章を狙って剣を振り下ろした。
セルカッツはキルカッツの紋章を切り裂こうとしたのはキルカッツを殺す為ではなく、魔人化を解こうとしたのだ。
まだ強大な力に振り回されており、キルカッツの攻撃は速くパワーがあるものの、理性が働かず単調で大振りだった。
それでも紋章が弱点だと分っているようで、紋章を庇うのに手傷を負う。
キルカッツも必死にガードするが、セルカッツは攻撃目標を手足の腱を切ることに変え、両手の動きを封じ、紋章を狙った時に逸れてその横などを切り裂いていた。
やがてフラフラになり、トドメをと駆け出した。
しかし、そのときキルカッツの仲間が現れた。
黒尽くめでフードを被っており顔もわからないが、どうやら現れた仲間は魔王の尖兵だ。
そいつは煙幕を張ると瀕死のキルカッツを抱き上げてなりふり構わずに逃げた。
メイヤの槍とアイリーンの矢が刺さるも速度は落ちなかった。
キルカッツはセルカッツに言った。
「今日の所は兄さんの勝ちだ!また会おうね!次こそは殺すからぁぁ!全てを奪いぃぃ滅ぼすうぅ。また会うまでそこのあばずれ共としっぽりやってなよおぉぉ!あでぃおうすう!めいやぁ!次は僕の色に染めたげるからねえぇ!くけけけけけ!キュヒヒイィィィン」
キルカッツは何故か高笑いをしていた。
キルカッツに逃げられたが、セルカッツは追いかけられなかった。
あまりの事に掛ける言葉が思いつかず、変わり果てた姿のキルカッツが逃げるのをただただ眺めるしかなかった。
11
お気に入りに追加
219
あなたにおすすめの小説
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる