異世界の約束：追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります！〜

第161話 台風一過

　セルカッツ達は地図を見て別のルートを探した。
　騎士が何班かに別れて川沿いに進み、渡し船のある場所を目指した。 
　この天候では襲ってくるものはいないだろうと、護衛を捜索に回したのだ。

　しかし渡し船の場所に着いたとき、彼らは失望した。 
　渡し船は台風の影響で沈んでしまっていた(流されていた) 。

　彼らは川を渡る方法がなくなったことに気づいた。 
　彼らは迂回するしかないと判断し、地図を見てもう一つのルートを探した。 
　彼らは川を遡って、別の橋を探し目的の橋を見つけたが、それも台風の影響で壊れていた。
　彼らは橋を渡ることができなかった。
　やはり迂回するしかないと判断し、彼らは地図を見て最後のルートを探した。 
　川から離れて山道を通った。
　彼らは山道を通って目的地に向かったが、台風の影響で道が険しくなっていた。
　馬ならなんとか進めなくもなかったが、馬車が通れない道進まざるを得ず断念した。

　しかし、台風は彼らの行く手を阻んだ。 
　強風と豪雨が彼らを襲った。
　彼らは視界が悪くなり、道に迷うおそれがあると判断して道を引き返した。
　そして近くの町にて宿を取り台風が過ぎるのを待った。

　セルカッツは宿の中でイザベルとアルテイシアと話をしていた。

「くそっ、こんなところで足止めを食らうとはな。台風はいつになったらやむんだ？」

　セルカッツは怒りと焦りを隠せなかった。

「セルカッツ様、落ち着いてください。台風は自然の力です。どうすることもできません」

　アルテイシアはセルカッツをなだめた。

「私も台風についてあまり詳しくは分かりません。でも、台風は通常数日で去るものだと思います。子供の時何度か直撃コースをたどっていましたけど、外に出ないのが１番だったわ。もちろん日本のことね」

　アルテイシアは慰めるように言った。

「そうか。数日か。それならば、まだ間に合うかもしれないな。魔王絡みで屋敷に何も無ければよいのだが」

　セルカッツは少し希望を持った。
　彼は台風について経験がなかった。日本ではニュースを見て大変だなあと思うも、台風が殆どこない地方に住んでいた。

「セルカッツ殿、台風というのはすごいのでござるな。建物が吹き飛びそうで怖いでござる」

　イザベルはセルカッツの手を握った。

「この建物なら大丈夫よ。心配いらないわ」

　アルテイシアはイザベルとセルカッツの肩を叩いた。

「ありがとう。イザベル、アルテイシア。君達がいてくれて、本当に良かったよ」

　セルカッツは感謝の言葉を述べた。

　彼らは台風の音に耐えながら、互いに励まし合った。

　台風は二日もたたないうちに彼らの上空を通り過ぎた。 
　彼らは台風の後に、青空と虹を見て喜んで馬車で出発した。 
　しかし、台風の被害を目の当たりにした。 
　倒れた木や流された家や壊れた橋を見た。 
　アルテイシアとセルカッツ以外は台風の恐ろしさを感じた。 　
　彼らは台風の被害に遭った人々に、助けの手を差し伸べたのだ。　 
　食料や水や薬や毛布を分け与え、人々に感謝されたり、人々を励ましていった。

　彼らは目的地に早く行きたかったが、迂回せざるを得なく１週間もの時間をロスしていた。 
　焦る気持ちを押さえていたが、遠くに城が見えた時は歓声が上がったものだった。