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第160話 台風の影響

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 朝焼けが空を染める中、彼らは馬車で出発した。
 タイタン戦の影響で道中には倒れた木や焼けた草があり、知らずに通るものはぎょっとするであろう闘いの痕跡が残っている。しかもまだ木から煙がくすぶっていた・・・
 彼らはそれを避けながら今日の目的地に向かうが、そこからは順調に進んでいた。
 しかし、段々と風は冷たくなり、空は曇っていた。 
 彼らはますます気温の低下と風が強くなっていると感じた。
 セルカッツはアルテイシアに聞いた。

「アルテイシア、今の状況はどういうことだと思う?」

 アルテイシアはセルカッツの顔を見て、困ったように答えた。

「セルカッツさん、これは台風の前兆だと思うわ。貴方なら分かると思うけど、台風というのは強い風と雨を伴う大きな嵐のことです。私の世界では、海の上で発生して陸地に上陸することがあります」

 セルカッツ以外が驚いた。
 セルカッツは台風を分かりやすく説明出来ずアルテイシアに投げたのだ。

「台風?嵐?そんなものがあるのでござるか??」

 アルテイシアは頷いた。

「はい。台風は非常に危険です。台風が来ると大雨で川が増水して氾濫したり、氾濫しないまでも橋が流されたり、木が倒れたりそれが流されてきたりします。風や竜巻によって家が壊れたりもします。私の世界では台風が来ると、人々は家に閉じこもって備え、台風が過ぎるのをじっと待ちます」

 メイヤ達は不安になった。

「そうだな。では、俺達はどうすればいいと思う?」

 アルテイシアは考えた。

「私も分かりません。私は別に気候予報師でもないし、台風は予測が難しいです。台風がどこに向かっているのか、どれくらいの強さなのか、どれくらいの時間続くのかなどは分かりません。でも、台風が直撃するものとして台風が来る前に安全な場所に避難するのが一番です」

 セルカッツは分かりやすい説明に感謝した。

「なるほど。では、台風が来る前に、今日の目的地に着くようにしよう」

 彼らは急いで進んだ。

 盗賊団の出没するエリアに入ると、彼らは警戒を強めた。 
 盗賊団の襲撃に備え、馬車を密集させ剣や槍や弓を手にして周囲を見張った。
 盗賊団の斥候と思われる者の姿を見つけるとすぐに攻撃した。
 彼らは盗賊団の斥候を迎撃していく。撃退した盗賊の死体から情報を得ようとするもめぼしい情報は得られなかった。

 結局襲撃もなく盗賊団のエリアを抜けるとほっとした。

 順調に進んでいたが、今は残りあと3日の所でのことだった。
 しかし、ついに雨が降り始め、上流では激しい雨が降っているようだった。
 セルカッツ達は川を見て唖然としていた。
 溢れんばかりに増水しており、橋が流されてしまった後だったからだ。  
 彼らは橋を渡った、つまり向こう岸近くにある町に行く予定だった。
  その橋の代わりになる橋を探したが、見つからなかった。
 迂回するしかないと判断し、時間的にも天候的にも引き返し、近くの町に宿をとることとし、やむなく踵を返すのだった。
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