異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

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第155話 魔物の驚異

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 国境を越えた途端、セルカッツの眼前に想像を絶する光景が広がっていた。
 空は暗く曇り、地面は血で染まっていた。 
 そこには300匹規模の魔物の群れが暴れ回っており、それらと戦う騎士団の姿が見えた。
 休憩にはまだ早いのに急に停車したと思ったら、何やら騒がしかったので馬車の外に出たところだ。
 魔物の中には、狼や熊のようなものだけでなく、人間のような姿をしたものや、巨大な蛇や蜘蛛のようなものもいた。
 騎士団は勇敢に戦っていたが、数の差は歴然としていた。
 次々と魔物に倒されていく騎士たちの悲鳴や血しぶきが、セルカッツ達の耳に届いた。

「な、なんだこれは!?」

 セルカッツは驚愕した。 
 彼は約10日前にここを通ったばかりだが、こんなに魔物が多いことはなかった。
 彼は馬車の御者に声をかけた。

「おい、何が起きているんだ!?」

「わ、分からないです!先程までは平和だったのに、突然魔物が現れて襲ってきたんです! 騎士団が迎撃に出たのですが、魔物の数が多すぎてどうも押されています!」

「くそっ、どうする?・・・くう」

 セルカッツは思案した。 
 彼は魔物と戦う力があるが、妻達はともかく、妊婦を守ることができるかどうかは自信がなかった。 
 それはゲームにない展開やイベントで、強さも分からないからだ。
 見たところサイクロプスの上位主のタイタンまでいる。幸い距離がまだあり、その手の強い魔物はまだ騎士達と距離がある。
 彼は妻達に目をやった。
 妻達は恐怖に震えてはいないまでも、不安そうにしていたが、セルカッツのことを信じていた。
 いやセルカッツの存在が頼もしかった。 
 彼は妻達に言った。

「聞いてくれ、大規模な魔物と騎士団が戦っているが分が悪い。だから俺が戦っている間、妊婦は馬車の中に隠れさせてくれ。絶対に外に出さないでくれ。分かったか?」

「は、はい・・・」

 妻達は頷いた。 
 セルカッツは妻達にキスをして馬車から降りた。
 妊婦や馬車の護衛にアイリーン、ヤーマ、アルテイシア、タニスを置いていく。また、ネイリスもだ。
 ヨルミクル、メイヤ、イザベルと共に魔物を直接倒しに行く。

 彼は剣と盾を手に取り、魔物に向かって走った。同行したのは近接戦闘が得意な者ばかりだ。
 魔物と騎士団が既に乱戦の為、広域殲滅魔法の系統は使えない。
 だから 弓と魔法攻撃が得意な者を馬車の護衛に残した。

 セルカッツの妻は皆戦えるのだ。
 セルカッツの力でレベルが普通より高いので、よほどの数に囲まれない限り大丈夫だと思っている。彼は騎士団と共に魔物と戦うことになった。

 チームセルカッツの中で、最初に魔物を倒したのはメイヤの槍だ。
 槍の最上位ギフト持ちだけあり、槍姫の二つ名の通り華麗に貫き、メイヤに続き、戦況をひっくり返さんとセルカッツは全力で斬り裂いていった、
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