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第152話 出立
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舞踏会の翌朝、セルカッツは1人では起きることが出来なかった。
酒をしこたま飲み二日酔いだったからだ。
国王に注がれると飲まない分けにはいかず、結果限界を越えて飲んだのだ。
次の日の朝、客室を出ると妻となったアイリーン(ヤーマ)の友人が待っていた。
ヤーマは純白のドレスを着ていたが、そのドレスの胸元に大きなリボンをつけている。
そしてその頭には大きいシルクハットが。
シルクハットにもドレスと同じような白いレースが飾られているが、なぜかシルクハットからは大きな兎耳が生えている・・・
「ど・・・どうしたんだ?」
「あら?見て分かりませんこと?」
シルクハットと兎耳を触って見せた。
「これはあなたが選んでくださったものですわ」
そう言うと彼女はクルクルと回った。
彼女が回るたびにスカートが広がり、生地に施された刺繍が見え隠れして美しかった。
彼女の金色の髪もふわっと広がり、髪飾りも揺れる。
その姿はまるで絵本の中から飛び出してきたようだった。
いやそうじゃない!今はそれを考えている場合ではなかった。
「似合うかしら?」
彼女は目をキラキラさせながら、両手を前にし小首を傾げる様に聞いた。
「可愛らしいね」
そんな会話もあったが、メイドが朝食の時間が迫ってきたから着替えるようにと伝えてきた。
この後陛下と食事をし、アルカン王国に向け出発する。
何年後か分からないが、また戻ってくるはずなので暫しの分かれというものだ。
ただ、帰りは気楽だ。
何せ騎士団の護衛付きだ。
帰りに鏡(姿見)を持って帰るのがメインとの話もあるが、大所帯だ。
騎士団がいるのはドナルドのその妻となったミリアムがおり、ミリアムの護衛だ。
朝食後に城の庭園を散歩しながら、妻の友人のシーシャと話をした。
「何で兎なんですか?」
「なぜかしら?」
彼女は笑いながらとぼける。もちろん似合っているのは事実だが、意図がわからないと謎は解決されない。ひ
セルカッツが答えられないでいると彼女が言った。
「今日は良い天気ですね」
セルカッツの質問を無視する彼女に仕方ないので話を逸らすことにした。
「そうだね。ここの庭園はとても綺麗だね」
すると彼女は思い出したように話を振ってきた。
「そういえばセルカッツ様?あなた殿方に人気がありますね」
「ん?そんなことはないと思うぞ」
「そうですか?ドナルドさんと懇意にされていましたわよね?」
「ドナルドさんで思い出した。シーシャさん、ドナルドさんと仲良くされていましたが、どうなりました?」
「そ、んなことはどうでも良いので、それより今日はどうなされるのですか?」
シーシャは話を変えたかったのか別の質問をしてきた。
セルカッツは正直に答えることにした。嘘を言っても仕方ないし、彼女に隠し事など出来る筈もないからだ。もちろんサプライズなら話は別だが・・・
「これから城を出てアルカン王国に行きます」
「え!?もう出発なのですか?少しはゆっくりしていらしてもよろしいのに」
「そうですね。ですが私どもは先を急いでおりまして・・・」
「・・・そうですか」
ヤーマが寂しそうな顔をするも直ぐに笑顔に戻るとシーシャは更に聞いてきた。
「またお会いできますか?」
その質問に彼は妻の目を見てから答えた。
「はい。またお会いできますよ。数年以内には。陛下から移住するよう招請もありましたし。案外早いかもですよ。その時はまた彼女と仲良くしてください」
すると彼女は満面の笑顔で言った。
「約束ですよ!次は私が夫を紹介いたしますわ」
セルカッツはシーシャと再会の約束をすると、早々に馬車に向かった。
今回の旅に護衛として同行する騎士団の副団長に挨拶をするためだ。
れ彼は自分が国王になる前からの付き合いで、国の中でも信頼が出来る数少ない部下だった。見た目はイケメンだが無口で厳つい顔つきをしているが根はいいやつだ。彼に挨拶をしていると、他の騎士達も挨拶に来た。
彼らとも話をし、その後随伴者の名簿を渡され、セルカッツが確認していく。
馬車はアルカン王国の王都まで行くのだが、距離が距離なので日数は掛かる。城の前にて馬車が数台出発を待っており国王陛下が見送りに来ていた。
「君たちがいなくなると寂しくなるね」
「陛下こそご無理を言って申し訳ありませんでした」
「何、可愛い姪っ子の見送りも兼ねているから気にする必要はない。それより道中彼女の事を頼んだよ」
セルカッツは国王陛下とガッチリ握手をし馬車に乗り、大勢の人々に見送られながら出立した。
酒をしこたま飲み二日酔いだったからだ。
国王に注がれると飲まない分けにはいかず、結果限界を越えて飲んだのだ。
次の日の朝、客室を出ると妻となったアイリーン(ヤーマ)の友人が待っていた。
ヤーマは純白のドレスを着ていたが、そのドレスの胸元に大きなリボンをつけている。
そしてその頭には大きいシルクハットが。
シルクハットにもドレスと同じような白いレースが飾られているが、なぜかシルクハットからは大きな兎耳が生えている・・・
「ど・・・どうしたんだ?」
「あら?見て分かりませんこと?」
シルクハットと兎耳を触って見せた。
「これはあなたが選んでくださったものですわ」
そう言うと彼女はクルクルと回った。
彼女が回るたびにスカートが広がり、生地に施された刺繍が見え隠れして美しかった。
彼女の金色の髪もふわっと広がり、髪飾りも揺れる。
その姿はまるで絵本の中から飛び出してきたようだった。
いやそうじゃない!今はそれを考えている場合ではなかった。
「似合うかしら?」
彼女は目をキラキラさせながら、両手を前にし小首を傾げる様に聞いた。
「可愛らしいね」
そんな会話もあったが、メイドが朝食の時間が迫ってきたから着替えるようにと伝えてきた。
この後陛下と食事をし、アルカン王国に向け出発する。
何年後か分からないが、また戻ってくるはずなので暫しの分かれというものだ。
ただ、帰りは気楽だ。
何せ騎士団の護衛付きだ。
帰りに鏡(姿見)を持って帰るのがメインとの話もあるが、大所帯だ。
騎士団がいるのはドナルドのその妻となったミリアムがおり、ミリアムの護衛だ。
朝食後に城の庭園を散歩しながら、妻の友人のシーシャと話をした。
「何で兎なんですか?」
「なぜかしら?」
彼女は笑いながらとぼける。もちろん似合っているのは事実だが、意図がわからないと謎は解決されない。ひ
セルカッツが答えられないでいると彼女が言った。
「今日は良い天気ですね」
セルカッツの質問を無視する彼女に仕方ないので話を逸らすことにした。
「そうだね。ここの庭園はとても綺麗だね」
すると彼女は思い出したように話を振ってきた。
「そういえばセルカッツ様?あなた殿方に人気がありますね」
「ん?そんなことはないと思うぞ」
「そうですか?ドナルドさんと懇意にされていましたわよね?」
「ドナルドさんで思い出した。シーシャさん、ドナルドさんと仲良くされていましたが、どうなりました?」
「そ、んなことはどうでも良いので、それより今日はどうなされるのですか?」
シーシャは話を変えたかったのか別の質問をしてきた。
セルカッツは正直に答えることにした。嘘を言っても仕方ないし、彼女に隠し事など出来る筈もないからだ。もちろんサプライズなら話は別だが・・・
「これから城を出てアルカン王国に行きます」
「え!?もう出発なのですか?少しはゆっくりしていらしてもよろしいのに」
「そうですね。ですが私どもは先を急いでおりまして・・・」
「・・・そうですか」
ヤーマが寂しそうな顔をするも直ぐに笑顔に戻るとシーシャは更に聞いてきた。
「またお会いできますか?」
その質問に彼は妻の目を見てから答えた。
「はい。またお会いできますよ。数年以内には。陛下から移住するよう招請もありましたし。案外早いかもですよ。その時はまた彼女と仲良くしてください」
すると彼女は満面の笑顔で言った。
「約束ですよ!次は私が夫を紹介いたしますわ」
セルカッツはシーシャと再会の約束をすると、早々に馬車に向かった。
今回の旅に護衛として同行する騎士団の副団長に挨拶をするためだ。
れ彼は自分が国王になる前からの付き合いで、国の中でも信頼が出来る数少ない部下だった。見た目はイケメンだが無口で厳つい顔つきをしているが根はいいやつだ。彼に挨拶をしていると、他の騎士達も挨拶に来た。
彼らとも話をし、その後随伴者の名簿を渡され、セルカッツが確認していく。
馬車はアルカン王国の王都まで行くのだが、距離が距離なので日数は掛かる。城の前にて馬車が数台出発を待っており国王陛下が見送りに来ていた。
「君たちがいなくなると寂しくなるね」
「陛下こそご無理を言って申し訳ありませんでした」
「何、可愛い姪っ子の見送りも兼ねているから気にする必要はない。それより道中彼女の事を頼んだよ」
セルカッツは国王陛下とガッチリ握手をし馬車に乗り、大勢の人々に見送られながら出立した。
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